僕は、ちょっと不思議な生き物に興味をそそられる。その代表格が「ナマケモノ」だ。ほとんど動かず、木にぶら下がって一生のほとんどを過ごす哺乳類だ。名前の由来も、全然動かない怠け者のようだから「ナマケモノ」。安直だがこれほどわかりやすいネーミングはない。
ナマケモノが生き残ってきた理由
普通、動かない生き物は捕食されやすいため、絶滅してしまう可能性が高い。しかしナマケモノは現在でも野生で生息している。
ナマケモノが生き残っている理由にはいくつかある。主食としている「セクロビア」という植物は毒性が強く、ナマケモノしか食べられない。そのため食事に困らない。
また、哺乳類としては珍しい変温動物。そのため、体力の消耗を最小限に抑えることができる。
そして、木の上で一生のほとんどを過ごすため、地上で生活する動物に比べると敵が少なく安全。
以上が、ナマケモノがこれまで生き残ってきた主な理由と言われている。「戦わずして生き残る」。それがナマケモノなのだ。
海の不思議生物、ナマコ
地上に比べ、海の生き物はさらにわけがわからない。深海魚などは独自進化を遂げたものが多く、非常に興味がそそられる。
しかし、結構身近な海の生き物で、僕の理解を遥かに超えたものがいる。それが「ナマコ」だ。
そもそもナマコは、目、鼻、耳、舌といった感覚器官を持たない。故に、それらから入ってきた情報を処理するための脳も持っていない。
あるのは口と肛門。そして肛門から砂を食べて生きている。すでにもう、生き物としての存在意義がちょっとわからなくなりかけている。
『世界平和はナマコとともに』(本川達雄・著/CCCメディアハウス・刊)は、ナマコ研究家の著者が記した作品だ。
そもそもナマコは、目もなく、耳も鼻も舌もない、心臓もない、脳もない。脳死が死だと言うのなら、ナマコは生きていないことになる。
(『世界平和はナマコとともに』より引用)
もう、ナマコって何のために生きているのか、どうやって生きているのかよくわからない。
ナマコの武勇伝
ナマコは、見た目や生き様が変なだけではない。生態もかなり変だ。
ナマコは、外敵から身を守るために、外から刺激を与えると皮膚が固くなる。そして、さらに刺激を加え続けると、今度は液状化するのだ。
それだけではない。そのまま海水の中にいると、二週間ほどして元通りの姿に戻るというのだ! アンビリーバボー!!
また、これはよく知られていることだが、ナマコは見の危険を感じると、肛門から腸を吐き出す。敵がこの腸(このわた)を食べている間にナマコは逃げる。吐き出した内臓は自然と元通りになる。
その上、身体を半分に切っても、それぞれが再生するというのだから、不死身じゃないのだろうか。
こういうことを知ると、ナマコに俄然興味が湧いてくる。ナマコすげえ。
お正月はナマコを買って
以前、ナマコに興味をもってから、食べてみたことがある。魚介類は大好きなので、ナマコもいけると思ったのだが、思ったほどではなかった。味というより、食感がダメなようだ。
でも、『世界平和はナマコとともに』を読んでいると、もう一度ナマコにチャレンジしてみようかと思う。まったく食べられないというわけではないので、とびきり美味しいナマコを食べたら、好きになるのではないだろうか。
正月、実家に帰るときにナマコでも買っていこうか。そういえば、親父がナマコが好きなはず。一緒に日本酒でも飲みながら、食べようかと思う。