わたしは「リリカルなのは」を崇拝している

がんばるとき。つらいとき。運を天に任せるしかないとき。わたしは胸中で「神さま、仏さま、魔法少女リリカルなのは様」というフレーズを唱える。勇気がわいてくるのだ。これまでもたくさんの試練を乗り越えてきた。

わたしが無病息災や五体満足でいられるのは、すべて『魔法少女リリカルなのは』のおかげだ。末永く加護を受けられるよう、かならず食事の前には「りりかる…まじかる…なんまんだぶ…なんまんだぶ」という祈りをささげている。

カルト思想や新興宗教の類ではない。『魔法少女リリカルなのは』とは、2004年に放映されたテレビアニメだ。全13話。記念すべきシリーズ第1作。至高の聖典。奇跡のはじまり。人類のあらたなる夜明け。

豊穣のなかで生まれた女神

2016年現在からさかのぼること12年前に、神アニメ『魔法少女リリカルなのは』が放映された。2004年。何もかも懐かしい。同年に放映されていたアニメ作品をピックアップしてみよう。

1月には『マリア様がみてる』の放映が始まった。原作は少女小説であり、キリスト教系の私立リリアン女学園にかよう身も心も清らかな乙女たちの日々を描いている。

2月には『ふたりはプリキュア』の放映が始まった。プリキュアシリーズの第1作目だ。くしくも「変身ヒロインもの」であり「魔法少女もの」だが、わたしが信仰するまでには至らなかった。2016年現在でも続編が放映されており、わが国では最大級の勢力をほこる。

ちなみに同年10月、2004年の秋ごろから放映されていたアニメ作品を挙げる。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『舞-HiME』『ローゼンメイデン』『神無月の巫女』など、まさに傑作ぞろいのアニメ大豊作の年だったことがわかる。

熱心なアニメファンによる偶像崇拝の信仰心が高まりに高まっていた2004年だからこそ、我らの唯一神『魔法少女リリカルなのは』が降誕するに至ったのかもしれない。もはや定説。むしろ必然。まさに奇跡だ。

なのは教における正典と外典

言うまでもなく、テレビアニメ『魔法少女リリカルなのは』は奇跡の産物であり、そんなミラクルの一部始終を光ディスクに記録したDVD版ならびにBlu-ray版『魔法少女リリカルなのは』は、なのは教における聖典だ。

2016年現在、テレビアニメ『魔法少女リリカルなのは』は第4シリーズまで存在している。

魔法少女リリカルなのは
魔法少女リリカルなのはA’s
魔法少女リリカルなのはStrikerS
魔法少女リリカルなのはViVid

わたしたち信仰者のあいだでは、2004年に成立した聖典を「無印」と称する。続いて「A’s(エース)」「StrikerS(ストライカーズ)」「ViVid(ヴィヴィッド)」と読む。

光ディスク収録の『魔法少女リリカルなのは(無印)』は旧約聖書であり、同じく『魔法少女リリカルなのはA’s』は新約聖書にたとえることができるかもしれない。

正典とは、信仰者がしたがうべき基準を記述したものをいう。
旧約聖書(Old Testament)ならびに新約聖書(New Testament)は、キリスト教における正典(Canon)だ。

キリスト教には、正典には収録されなかった「外典(Apocrypha)」というものがある。われらが『魔法少女リリカルなのは』においても、いくつかのアポクリファが存在する。(代表的なものとして「ベルカ式作画」がある)

リリカル・マジカル・全力全開!

代表的な外典のひとつである『魔法少女リリカルなのはA’s THE COMICS』(都築真紀・原作 長谷川光司・漫画/学研プラス・刊)は、その名のとおり、正典『A’s(エース)』の内容をコミカライズしたものだ。

単純なコミカライズ(漫画化)ではなく、正典では明らかにされていなかったエピソードをおもに収録している。外典とはいえ、信仰者ならば必読すべき1冊だ。

たとえば、唯一神「高町なのは」が「光あれ(スターライトブレイカー)」の声と共にくりだすミッドチルダ式の魔法体系は、われわれの世界における物理や数学の法則とほとんど変わらないことが明らかにされている。現実世界において小学3年生である「なのは神」は、AAA級の魔道士であることを活かして、算数や理科のテスト結果はクラス上位をキープしているようだ。

正典『A’s(エース)』の大部分を占める「闇の書事件」の当事者たちについても詳しい。後年、なのは神による教化を受けることになる「ヴォルケンリッターの守護騎士たち」の知られざる一面が興味ぶかい。鉄槌のちびっこ騎士であるヴィータが老人会のゲートボールに参加していたり、紫電一閃の女騎士シグナムは近所の剣道場にて非常勤講師を務めていたらしい。

外典をひもとくことによって『魔法少女リリカルなのは』への理解が深まった。これからも信仰に励んでいきたい。りりかる…まじかる…なんまんだぶ…なんまんだぶ……

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