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“ゴロで覚える参考書”の無理がありすぎるゴロたち

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学生時代「夏休みを制するものが受験を制す」という言葉を塾講師から浴び、意気込んで色んな参考書に手を出すも、夏が終わる頃にはどれも中途半端で自己嫌悪…となった事がある。この苦い経験を繰り返すまいと、それからは多くの参考書に手をつけず、まずは一冊の参考書をやりぬいて自信をつける方法に切り替えた。その時、手始めの参考書として選んだのが「ゴロ合わせで暗記する参考書」だ。

ゴロ合わせの参考書の多くはイラストが多めに使用されていて文章量や練習問題も少なく、最後まで目を通すのにそこまで時間がかからない。そして「このゴロ、無理があるだろ!」とツッコミを入れながら読み進めるのが個人的に好きだった。

今回はそんな学生時代に戻った気分で『ゴロで覚える中学歴史』(学研プラス・編/学研プラス・刊)からいくつか独断と偏見で無理があると心の中でつっこんだ「ゴロ合わせ」を紹介していきたい。

詰め込みすぎ系ゴロ

『ゴロで覚える中学歴史』の全体的なゴロの特徴として、ひとつのゴロにあらゆる歴史のキーワードが詰め込まれている。物によっては詰め込まれすぎているといっても過言ではないかもしれない。奈良時代の暮らしぶりを暗記するためのゴロが、かなりの詰め込み系だった。早速みていこう。

6班添い寝超特急

(『ゴロで覚える 中学歴史』より引用)

この一文だけ見て「はいはい、奈良の税についてのゴロね!」と分かる人がいたら、ゴロと歴史の達人に違いない。ちなみに、この短い文章の中に8つの暗記すべきワードが隠れているというのだが、分かった方いるだろうか?きっと全て分かった人はゼロに近いと思うので、ひとつひとつ見ていきたい。

まず、冒頭の「6班」。これは6歳以上のすべての人々に口分田を与える「田収授法」のキーワードだ。なので5班でも7班でもなく「6班」と覚えなくてはならない。そして次からがスゴイ。口分田の面積に応じて納めなくてはならない税の呼び名と内容がゴロの中にあるのだが「布」以外は漢字の変換が必要なのだ。
そもそも奈良時代の人々はどんな税を納めていたかというと、主に3種類の税負担があった。
租(そ)という口分田からの収穫量の約3%の稲。
調(ちょう)は、絹や糸などの特産物、庸(よう)という名の税は布を納めていた。
これが今回ご紹介したゴロの中では租・稲→「添い寝」調・特産物→「超特急」庸・布→「布を用意」という単語に込められていたのだ。
中でも、調の特産物を「超特急」と別の意味を持つワード3文字にギュッとさせた強引さがたまらない。

さらなる強引系ゴロ

次にご紹介するものもけっこうな強引系ゴロだ。ゴロ自体でまとまった文章と世界観が成立しているからこそ暗記すべき事項からかけ離れてしまったような、なんともいえない矛盾を抱えたゴロをご覧いただきたい。

堂々リンリンと洋裁するのはパンダのシンシン

(『ゴロで覚える 中学歴史』より引用)

こちらも前出のゴロ同様、一目見ただけでは「え?どういう意味?」と言わずにはいられない。しかし、このゴロの真意をキチンと知れば平安時代末期から鎌倉時代にかけて開かれた新しい仏教とそれを開いた人の名前を混乱することなく暗記できるのだ。
ではまた、ゴロを分解しながらひとつずつ見ていこう。

まず、冒頭の「堂々」だが、という人が開いたを指している。ここはまだ序の口だ。次に登場するリンリンの「リン」済宗を指し、その臨済宗を開いた人の名前が洋裁に込められた栄西だ。栄西と書いて「えいさい」とも「ようさい」とも呼ばれていたという、なんともゴロ合わせを作る側にとってはありがたいであろう呼び名の持ち主だ。そして最後の「シンシン」という表記。これはという人が開いた浄土というキーワードを指している。

お気づきだろうか?

ゴロの文中の「パンダ」は何のゴロ合わせにも使用されていない。おそらく「リンリン」「シンシン」のゴロが先に生まれ、後付けされたのだろう。可愛らしいパンダをイメージさせる名前と、新しい仏教を開いたお坊さんの名前が結びついたこちらのゴロ。強引さを通り越して、もはや奇跡的なゴロ合わせと言ってもよいのかもしれない。

この他にも「力士は平気でお新香食べる」「フランスパン欲しいといきなり拍手でジャンケン大会」などといった気になるゴロがゴロゴロ掲載されていた。という言葉遊びはさておき、ご紹介したような自分の中で引っかかりがあるゴロの方が記憶に残りやすい気がするのだが、これを読んでくださっているあなたはどうだろうか?

検証した人がいたら、ぜひ教えて頂きたい。

(文:凧家キクエ)

ゴロで覚える 中学歴史

著者:学研プラス(編)
出版社:学研プラス
「どうせ勉強するなら楽しく!」という中学生にぴったりの、ゴロ合わせで中学歴史を覚えられる参考書。ゴロには面白いイラストがついているから、脳にイメージが定着し、絶対に忘れない。確認問題もついているから、テストに通用する実力がしっかり身につく。

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