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巨乳はつらいよ。Hカップを克服するためにやったこと

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目には青葉
山ほととぎす
でかい乳

なんでもひとつだけ願い事が叶うとしたら「みんな巨乳にな~れ~♪」と、お願いしたい。私利私欲からではなく、世界平和を実現するために。景気だって良くなるかもしれない。

巨乳は世界を救う!?

もしも、女性の乳房がもれなくEカップ以上に大きくなったとしたら……。

「世界同時多発巨乳」現象は、ブラジャー特需をもたらすだろう。アベノミクスならぬ「ブラノミクス」の幕開けだ。上着のサイズも合わなくなるから、アパレル特需とあわせて関連株が急騰するにちがいない。

巨乳はうらやましいか』という良質なドキュメンタリーを読み終えた勢いで、つい妄想に走ってしまった。

本書の著者は天然のHカップ、すなわち「巨乳」のジャーナリストだ。彼女――スーザン・セリグソンは、持ち前の「常軌を逸した肉のかたまり」を、日頃からいまいましく思っている。

なぜなら、スーザンはウンザリするほど痴漢にあったりセクハラを受けてきたからだ。それに見合った役得があるならまだしも、職場では「気が散るから、胸元が目立たないような服を着るべきだ!」という注意を受けたこともある。ひどい。

こんな悩みは、女友達に相談できない。「胸が大きすぎて損ばかりする」なんて、自慢にしか聞こえないからだ。

自分の「規格はずれの持ち物」に対して、ついに強迫観念をおぼえるようになったスーザンは、うっぷんを晴らすために「現代のおっぱい事情」を徹底取材することを決意する。

なぜ、胸がふくらむのか?

なぜ、女性の乳房は必要以上にふくらむのか? 母乳を蓄えるためなら、せいぜいCカップやDカップで事足りるのに。

ヒトの乳房が際限なく膨らむのは「おしりを擬態するため」という仮説がある。
動物の交尾はたいてい後背位(バック)だが、進化にともない正常位でも交尾するようになり、オスの発情をうながすため胸元にも尻に似たものがあれば繁殖がはかどる。もっともらしい話だ。

美容整形の闇

著者はアメリカ人だが、欧米の女性たちがみんなデカパイとはかぎらない。AカップやBカップで成長が止まり、胸の大きさに満足していないアメリカ人の女性はたくさんいる。

米国の中流家庭を皮肉った映画『アメリカン・ビューティー』では、ジェーンという女子学生が、豊胸手術の費用をかせぐために子守りのアルバイトをしていた。実際、アメリカでは年間30万件の豊胸手術がおこなわれているという。

Hカップ巨乳のスーザンは、取材がなければ無縁だったであろう豊胸手術を見学して、それを実況中継さながらに詳しく書き起こしている。

豊胸手術の患者は、女性だけとはかぎらない。本書には、女装趣味が高じてついに手術を決心した男性も登場する。しかも銀行勤めの既婚者だというから、さすがは自由の国アメリカだ。

コンプレックス無限地獄

ところで、本書『巨乳はうらやましいか』を読んでいるときに『ぼくらはみんなハゲている』という本のことを思い出した。現役ハゲの著者が手がけた、日本の頭髪事情にまつわるルポタージュだ。

巨乳とハゲ。劣等感のベクトルは正反対だが、国籍が異なるふたりのジャーナリストの問題意識は共鳴しあっているように思えた。取材の結末も似ており、豊胸やカツラなどのコンプレックス産業に共通する「かならずしも断罪できない実態」を目のあたりにして、ふたりの著者は立ちつくすことしかできなかった。頭髪業界や美容業界の闇は、果てしなく深い。

バストにまつわる美容整形は「豊胸」だけではない。「減胸」手術もおこなわれている。性的被害、乳裏のあせも、重度の肩こり……など、巨乳であるがゆえにこうむるマイナス要因が存在するからだ。

一方で、男性の場合は「増毛・植毛」はあっても「頭髪の減毛」をしたいという話は滅多に聞かない。女性のほうが悩みは深刻なのだ。

(文:忌川タツヤ)

巨乳はうらやましいか Hカップ記者が見た現代おっぱい事情

著者:スーザン・セリグソン(著) 実川元子(著)
出版社:早川書房
規格外の巨大な乳房に生まれついた著者スーザンは、巨乳に対する羨望と嘲笑を浴びて生きるうちに、大いなる疑問をもつに至った。はたして巨乳は女の武器なのか、それとも弱点なのか? 大きすぎるおっぱいの女性たちは、自分の胸にどんな感情を抱いているのか? そこで、現代社会におけるおっぱいの価値観と理想のバストを調査するため、スーザンは体当たり調査を敢行した! 近所のご婦人方からブラジャー販売員、デカパイ雑誌の編集長、美乳整形医、爆乳ストリッパー、乳房俗語研究者まで、バスト業界最前線に生きる人々が語る究極のおっぱいとは? 『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』、『アトランティック・マンスリー』などの一流誌で筆を振るう著者が、これまでにない規模と勢いでおっぱいにまつわるすべてを語りつくす。

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