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ハイスコアガールの鬼塚さんがアレをさわりたがる理由

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漫画『ハイスコアガール』のなかで「チンチンに骨があるのか確かめさせて」という有名なセリフがある。「鬼塚さん」という女子がそう言いながら、クラスメイト男子の股間をさわろうとするのだ。鬼塚さんにさわられたくない男子は逃げようとする。何度読んでも笑えるギャグシーンだ。

ご存じのように人間のおちんちんに骨はない。硬くなるのは陰茎海綿体によるものだ。常識といえる。鬼塚さんはどういうつもりで「チンチンに骨があるのか確かめさせて」と言ったのだろうか?

たいていの読者は「男子の股間を触りたいがゆえに鬼塚さんがわざと無知なフリをしている」と決めつけがちだ。いわく「鬼塚さんはスケベである」と。ほぼ疑いようのない見解ではあるものの、はたして鬼塚さんは本当にエロ塚さんなのだろうか。そうとはかぎらない。鬼塚さんの名誉を守るために弁護を試みたい。

知られざる陰茎骨

たしかに人間のおちんちんに骨はない。しかしながら、全てのほにゅう類における8割以上のペニスには骨がある、という事実をご存じだろうか。おちんちんに骨がないヒト科は、ほにゅう類のなかでは少数派なのだ。

コウモリの仲間(翼手目)、肉食獣・海獣類(食肉目)、ネズミの仲間(齧歯類)、サルの仲間(霊長目)には、陰茎骨という骨がある。200種類近くいるサルの仲間で、ヒトは例外的に陰茎骨を持たないのだ。

(『すごい動物学』から引用)

鬼塚さんは知っていたのかもしれない。多くのほにゅう類動物のペニスには骨があるということを。つまり、鬼塚さんは知的探求心にもとづいてクラスメイトの男子のおちんちんに骨が有るのか無いのかを確かめたかったのかもしれない。もしも『ハイスコアガール』を手に取ることがあれば、そのあたりを注意深く読んでみてほしい。

乳首の数は何で決まるのか?

ほにゅう類とは何か。あなたは正確に答えられるだろうか。わざと「ひらがな」で書いた。漢字では「哺乳類」と表記する。「哺乳びん」と同じ字面からもわかるように、子どもを母乳で育てる動物のことを「哺乳類」という。

母乳といえば「おっぱい」だ。おっぱいに付いている「乳首」を吸うことによって、子どもは母乳を体内に取りこむ。

乳首の数は何で決まるのか? これが難題で厳格な法則はないが、おおむね産仔数の2倍あると考えてよい。哺乳類にとっては重要な装置なので、スペアを備えているのだ。

(『すごい動物学』から引用)

ちなみに、哺乳類といえば胎児を出産すると思いがちだが、卵を産むカモノハシも哺乳類に分類される。なぜならカモノハシは母乳で子どもを育てるからだ。ただし、乳房や乳首を持ち合わせていない。カモノハシは皮膚から汗のように母乳を分泌する。

誰かに話したくなる動物トリビア

すごい動物学』(新宅広二・著/永岡書店・刊)には、意外な動物トリビアが数多く収録されている。わたしたちは、わたしたち以外の動物のことをあまりにも知らない。

たとえば「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」という有名な格言がある。我が子にあえて厳しい試練を与えて成長をうながすという意味だ。獅子(しし)はライオンのこと……ではない。幻獣の名称であって実在しない。中国に虎はいても野生ライオンはいない。実際のライオンの子育ては、谷へ突き落とすどころか、むしろ過保護すぎるほどだ。

繁殖期におけるオシドリのオスとメスが寄り添うところから「おしどり夫婦」という言いまわしがある。長きにわたって仲睦まじい男女のことをあらわす。しかし、オシドリは「乱婚型」に分類される鳥であり、繁殖するときは毎年相手を変えるという。

ほかにも「ゾウの鼻毛はすごいのか」「草食動物=草食男子説を検証する」「正常位というけれど、それは異常位」など、雑談用の持ちネタが増えること間違いなしの内容だ。

(文:忌川タツヤ)

すごい動物学

著者:新宅広二
出版社:永岡書店
100m以上滑空する毒ヘビがいる、ハイエナのメスにはペニスがある、42.195kmを走り続けられる動物は人間だけ……いろいろな動物のすごい生態や意外な性質、動物に関する人間たちの思い込みを覆す知識が満載。動物行動学の専門家であり、テレビや映画などの監修なども数多く手がける著者が深く語る、「思わず誰かに話したくなる動物雑学」。知って楽しい、話して楽しい情報を得られる一冊。

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