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もしも、自分の体が1cmサイズになったなら。

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誰しも一度は「ドラえもんの四次元ポケットがあったらなぁ」なんて想像したことがあると思う。実際、もしもひとつだけひみつ道具が手に入るとしたら、何が欲しいだろうか。どこでもドア、タイムマシン、タケコプターあたりが人気の道具だろう。ちなみに私は、四次元ポケットのスペアポケットが欲しい。それは邪道だというならば、暗記パン。今でこそ使う機会がほとんどないが、学生時代はテスト前になるといつも「暗記パンがあったらなぁ」と現実逃避していたものだ。

ある日突然、体が小さくなったら……どうする?

同じ質問を友人数人にしたところ、意外にも「スモールライト」という回答がいくつか返ってきた。懐中電灯のような形の道具で、光を当てるとその物体が小さくなってしまうという代物だ。これを自分自身に当てれば、当然こびとのようなサイズに変わる。その状態で、大好きな物、例えばケーキをお腹いっぱい食べたり、ドローンに乗って空の旅を体験したり……いろいろと使い道はある。確かに楽しそうだ。

そういえば、ドラえもん以外にも、体が小さくなってしまう物語は多い。映画『ミクロキッズ』はまさにそのものだし、ドラマ『南くんの恋人』やアニメ『スプーンおばさん』も然り。人間には、体が小さくなった世界を体験してみたいという秘めたる願望があるようだ。

ミクロの世界は敵だらけ!

もしも実際に自分の体が1、2㎝ほどの大きさになったら、この世界はどう見えるだろう? そんなSFの世界を疑似体験できるマンガが『昆虫ワールド大脱出!』(ミクニシン・絵、 岡島秀治・監修/学研プラス・刊)だ。ある日、空から降ってきた不思議な生物・コロナによって体を小さくされてしまった子どもたちが、昆虫の世界に迷い込んでしまうという物語。昆虫好きの主人公・マコトによるナビゲートで、昆虫のからだのヒミツや性質が自然と学べる作りになっていて、昆虫に詳しくなるコラムも散りばめられている。子どもはもちろん、大人も楽しんで読める内容だ。

まず体が小さくなったことで気づくのが、ほんの少しの距離を移動するにも、ものすごく時間がかかるということ。普段は数分で行ける場所まで、どんなに急いでも3~4時間はかかる。そして何より、いつもは気づかずに踏んづけてしまっているアリのような小さな虫が、巨大な生物としてそこらじゅうを歩きまわっているから、油断すると反対に踏み潰されかねない。そう、ミクロの世界は敵がいっぱいなのだ。

視点が変われば、見えてくるものがある

『昆虫ワールド大脱出!』では、カマキリに襲われたり、トンボの背中に乗って空を飛んだり、蜂の巣の中に潜り込んだりと、様々な危機に瀕しながらも、子どもたちが機転を利かせて乗り越えていく様が描かれている。そして、自分の体が小さくなったことで気づくのだ。普段昆虫たちにとっては、人間という巨人が住む世界で、物理的にも私たち人間とはまったく異なった暮らしを営んでいることに。
主人公のマコトは、こう教えてくれている。

 人間をふくむ「ほ乳類」はたったの約4500種。
それに比べて昆虫は 発見されているものだけでも100万種もいるんだ。

(『昆虫ワールド大脱出!』より引用)

地球上には名前のついている生物だけで約200万種いるといわれている。そのうち動物が140万種を超え、動物の4分の3以上が昆虫。だから、この地球は「昆虫の星」ともいえるのだ、と。人間は、ついつい自分たちが一番だと勘違いしがちだが、それは完全なるあやまりだ。
そして物語の終盤で、これまで虫嫌いだった女の子・モモヨがこう述べている。「昆虫も子どもを育ててなかまを守って……わたしたちと同じように必死に生きてるんだって! それってなんかスゴイことだよね……」と。虫が苦手で、一匹でも家の中にいようものなら、すぐに退治している私にとって、ぐさりと突き刺さる台詞だった。単なる子ども向けの冒険マンガだと侮るなかれ、多くの気づきが散りばめられている一冊だ。

 (文・水谷 花楓)

昆虫ワールド大脱出!

著者:ミクニシン(絵)、岡島秀治(監修)
出版社:学研プラス
面白いストーリーと、ためになる科学知識が満載の新学習まんがシリーズ。ふしぎ生物コロナによって小さくされ、昆虫世界に迷い込んでしまった3人。次々に襲いかかる巨大昆虫から逃れて無事に元にもどれるか。昆虫に詳しくなるコラムつき。オールカラー。

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