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パスポート・免許の更新拒否に逮捕……海外の養育費不払い罰則はこんなに厳しい!

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日本で養育費を払ってもらえていないひとり親家庭は80%にものぼる。そのこともあって、ひとり親家庭の貧困率は50%以上となっており、児童扶養手当等の費用が増し、行政の負担も大きくなっている。もし、日本の養育費の不払いがゼロになったらどうだろうか。ひとり親家庭の貧困率は下がり、行政の負担も減るはずだ。不可能なことではない。海外には養育費不払いがゼロパーセントを達成している国もあるからだ。

国が養育費回収を代行

養育費の未払いがない国は、スウェーデンである。養育費補助法というものがあり、養育費が支払われなかった場合、国が立て替えてくれる。その後国が、父親に対し税金のように徴取をし続けるのだという(必要に応じて減額や免除もあるようだ)。日本では養育費が支払われなかったら公正証書などがあれば強制執行をかけられるが、その面倒な書類などの手続きは母親が時間を作って行わなくてはならないし、銀行口座に強制執行をかけた場合、お金が入っていなければ口座をおさえたところで1円にもならないのだ。

日本では、養育費を支払わなくても、強制執行以外の罰則はない。要は父親と母親の個人間での取り決めというだけで、自治体や国はそこに介入していないのだ。しかし海外では国や州が税金のように取り立てをしてくれるところがある。こうした取り組みは他にもアメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、ニュージーランドなどで導入されている。

逮捕、そして刑務所

特にアメリカの養育費不払いへの罰則は厳しい。養育費履行強制プログラムというものがあり、不払いの父親には、パスポートの発行拒否や自動車運転などの免許の更新停止を行う州もあるという。さらに滞納が一定期間続くと、逮捕されたり刑務所に収監される場合もある。2007年には歌手のボビー・ブラウンが、養育費の滞納により実際に収監された。ラジオ局が滞納金を肩代わりしてくれたので出ることができたけれど、アメリカでは養育費の不払いは犯罪という扱いなのだ。

女性と子どもの貧困』(樋田敦子・著/大和書房・刊)によると、シングルマザーの就業率は80%もあり、生活保護受給率は14.4%しかない。この数字だけでも、社会に迷惑をかけず、自分の力でなんとか苦境を切り抜けようと懸命に頑張る彼女たちの努力が見てとれる。本の中でも金策に苦慮し、窮地に追いやられる母親が大勢出てきて、皆、子どもを養うために必死だ。対して養育費不払いの父親が80%と、働くシングルマザーと同じ率だけいるのはどういうことなのだろうか。彼女の子どもを真っ先に支えなくてはならない実の父親は、一体、何をしているのだろうか。

シングルマザーと元夫

年収が140万円以下と少なく、養育費を支払うことが経済的にできないという父親は、わずか19.5%である。収入が500万円以上と平均以上の額があっても、74.1%もの父親は養育費を支払っていない(「第2回子育て世帯全国調査(2012)」JILPT)。その理由は再婚する父親が59.1%もいるということもあるのだろう(「離別父親の実態と養育費施策のありかた」大石亜希子)。自分たちの生活も大変なので、払わなくても済むものは払いたくない。そんな言い訳がまかり通ってしまう現状のままでは、シングルマザーをますます追い詰めるだけである。

離れて暮らしていても父親としての養育責任はある。外国にならったなんらかの罰則を養育費不払い者に対して取り入れようという動きは、少しずつ日本でも始まっている。なにかと話題になるシングルマザーの貧困だが、その裏に養育費の不払いをする父親が8割も存在している。多くの人がシングルマザーに支援の手を差し伸べようとしているなか、見て見ぬふりを続けている父親達の存在も、私たちは思い出したほうがいいのかもしれない。

(文・内藤みか)

女性と子どもの貧困

著者:樋田敦子
出版社:大和書房
なぜ普通の主婦がヤミ金にまで手を出してしまうのか、なぜ普通の学生が奨学金を返せず借金地獄に陥るのか。シングルマザー、ヤミ金、奨学金滞納、40歳風俗嬢、無戸籍問題、医療ネグレクト、虐待、DV、ホームレス高齢女性、ワーキングプア、ネットカフェ難民……貧困と女性、そして子どもたちに、今、いったい何が起きているのか。新聞にも載らないような小さな“事件”も含めて一つひとつ丁寧に取材した渾身ルポ。

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