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みんな違ってみんないい! ダムライター/ダム写真家・萩原雅紀さんに聞く「ダムの魅力」

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学研プラスから発売されているダムの写真集『ダムに行こう!』。ダムライター/ダム写真家である萩原雅紀さん、カメラマンの庄嶋與志秀さんのダム写真と、ダム初心者にもわかりやすいダムの基本的な解説、そして書籍版にはダムの放流やドローン映像が収録されたDVDも付属する(電子書籍版にはDVD映像は付きません)という、かなり豪華な写真集です。

実際、写真集を見ると、ダムの迫力に圧倒され、「ダムってすごいなー」という小学生並みの感想しかでてきません。

近年、ダム愛好者が増加傾向にあるようです。そこで今回は、『ダムに行こう!』の著者である萩原雅紀さんにインタビューを敢行。ダムに惹かれる理由や、ダムの魅力についてお話を伺いました。

この記事を読み終わるころには、ダムに興味が湧いてくること間違いありませんよ!

ダムにハマったきっかけはホームページのネタ作り!?

――まず、萩原さんがダムに興味を持ったきっかけを教えてください。

子どものころ、家族で山のほうへドライブに行くときに、ダムを目的地にすることが多かったんです。ダムには駐車場やトイレ、軽食スペースなどもあって、休憩しやすかったからだと思うんですけど。それが印象に残っていました。

本格的に興味を持つようになったのは、大人になって自動車の免許を取ってからですね。当時、よくドライブをしていたんですが、行くところがなくなってきて飽きてきたときに、たまたま近くでダムが建設中だという話を聞いて行ってみたんです。そのときは工事中で近づけなかったのですが、なんとなく気になってその後も何回か訪れました。

1年ぐらいしてから再び訪れると、工事が終わっていて通行止めが解除されていたんです。駐車場があって、そこに車を停めて遊歩道を歩いて行ったら、いきなり目の前に高さ150mのコンクリートの壁ができあがっていて。子どものころは、ダムの上から見下ろしてばかりだったんですが、初めて真下から見上げたダムがすごいインパクトだったんですね。そのとき「ダムってすごいな」と思ったんです。それが、神奈川県の宮ヶ瀬ダムです。

――それから、ダムにハマっていくわけですか?

直接ハマったきっかけは、インターネットですね。1998年くらいにインターネットが普及し始めたときに、ガスタンクばかりの写真を掲載したりといった、変わったホームページを見つけました。

かっこいい建築物の写真をアップしているのを見て、じゃあ僕はダムをアップしてみようと思って。でも、誰かがやってるだろうなと調べてみたけど見つからなかった(笑)。それじゃあ、僕がやろうかと思って、ヤフオクで中古のコンパクトデジカメを5000円で購入して、地図を見て、ダムって書いてあったら、とにかくそこへ行ってみようという感じで見に行ったのが最初ですね。24か25歳のときですね。

――きっかけは自分が作っていたホームページのネタのためだったと。最初に行ったダムはどこですか?

多摩川の一番上流にある小河内ダムです。

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小河内ダム。

 

――それから、いろいろなダムに出かけるようになったわけですね。結構なペースで行かれていたのですか?

ホームページを作る際に、コンテンツをある程度ドンと出したいなと思っていたので、半年間で関東近郊のダムを20〜30ヶ所くらい回りました。

――そしてホームページを開設。反応はどうでしたか?

最初は「こんなホームページがあったなんて感動しました」「実は私もダム好きで」みたいな、カミングアウト的なメールが来ましたね。PVで言うと、開設当初一番アクセスが多かった時期で、1日数百アクセスだったと思います。

いろんなダムの写真を撮るためにダム巡りをした結果、ダムには同じ形のものが存在しないということに気付いて。ダムごとの個性も見えてきたので、ますます興味を覚えていきました。

ダムそれぞれの用途を知るとダムの個性が見えてくる

――萩原さんは、ダムのどんなところに魅力を感じているのでしょうか。

個人的には、山や川、植物といった自然の中に、コンクリートの人工物がズドーンとある非日常感のようなものが好きです。あとは、壁一枚で水深100mくらいある水辺と絶壁が隣り合っている迫力や、ダムそれぞれが持つ用途、ダム建設の過程のドラマなども魅力的だと感じています。

――ダム初心者が、ダムを楽しむために知っておきたい基礎知識などありますか?

僕のスタンスは、何も情報を持たずに見に行って、「大きいな」とか「かっこいいな」とか、そういう感じでいいと思うんです。でも、もしちょっと興味が出てきて、ほかのダムも見てみたいと思ったら、そのダムがどういう目的のためにあるのかを知ると、より深く楽しめるのではと思っています。

たとえば、黒部ダムは日本一大きなダムですけど、ここは発電しかやっていません。そのほかのダムでは、発電だけではなく、洪水を防いだり、下流に住む人々のために飲料水や農業用水を供給したりと、いろいろな役割を持っています。それぞれのダムの目的や用途がを調べると、おもしろいかなと思います。

――夏に渇水の話題がニュースになることがありますが、そのニュースで黒部ダムが出てくるということはないわけですね。

ダムの目的や用途によって、設備も変わってくるんです。水門の数や位置などですね。ダムごとに違うので、そこがおもしろいかなと思っています。

ダムブームのきっかけは膨大な水が流れる「放流」

――ダム初心者にオススメのダムはどこでしょうか。

黒部ダムは高さが日本一なので、やはりオススメですね。存在感も別格なところがありますし。関東地方であれば、宮ヶ瀬ダムもいいでしょう。今は高速道路も近くに通って行きやすくなりました。このダムは、2週間に3回くらい、観光放流といって、水門を開けて放流を見せてくれたりもします。

この放流というのは、ダムが水量調整のために水を放出することです。以前は試験放流、点検放流というものをこっそり平日の午前中などにやっていたんです。しかし、我々のようなダム好きな人がその情報をかぎつけて見に行ったりしているうちに、ダム側も放流をすると人が来るということに気が付いて、最近では2週間くらい前にプレスリリースが出て、さらに地元の観光協会などが屋台を出したりすることもあります。

――ダム側も、放流をすることを知らせれば、ダムが好きな人たちが集まるというのがわかってきたわけですね。

今、ちょっとずつ盛り上がっているところですね。全部のダムでやっているわけではありませんが、去年今年くらいからプレスリリースを出すダムが増えてきました。

――ダム側が放流をアピールしだしたきっかけは何だったんですか?

矢木沢ダムが、毎年点検放流をしていました。しかし2011年の東日本大震災以降、電力不足もあって、数年間やっていませんでした。そして一昨年に久しぶりに点検放流を行ったら、いきなり1200人の見学者が来たんですよ。2011年以前は、十数人だったんですけどね。僕が、インターネットのメディアで「ダムの放流に1200人集まった」ということを記事にしたら、その翌年は1400人に増えました。その矢木沢ダムの盛り上がりを見て、うちのダムも放流をやろうという感じで増えてきているみたいですね。

――放流を見るのにオススメのダムはどこですか?

手軽に放流が見られるダムということであれば、宮ヶ瀬ダムは毎週観光放流をやっているのでオススメです。また、大雪が降る地域のダムは、4月、5月に雪解け水を放流することが結構あります。そういう意味で言うと、矢木沢ダムの隣にある奈良俣ダムが結構きれいです。

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奈良俣ダムの放流。

――DVDの放流映像を見ると、かなり激しいですよね。

矢木沢ダムは、放流量が増えてくると、水しぶきが思いっきりかかってくるんですよ。慣れている人は雨合羽を着ています(笑)。知らない人は突然ずぶ濡れになりますし、結構子どもがその辺で泣いていたりしますよ(笑)。

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矢木沢ダムの放流。

――結構なエンターテイメントですよね、それ(笑)。

ダムに興味が湧いたら『ダムに行こう!』

個人的に、ダムに行ったことは何度かあるものの、湖を見たり、ボートに乗ったりするくらいで、ダムそのものを見たり楽しんだりすることはあまりありませんでした。

しかし、萩原さんの話を聞いていると、ダムというのはとても魅力的な建造物であり、アミューズメント施設でもあるということがわかりました。

『ダムに行こう!』を読むと、ダムの魅力が伝わってきます。巻頭にはわかりやすい解説もあるので、初心者でも楽しめます。

興味が湧いた方は、ぜひ近くのダムに行ってみましょう。今まで見えていなかった、ダムの魅力に気付くことでしょう。

(文:三浦一紀)

01萩原雅紀
ダムライター、ダム写真家。
1974年東京生まれ。偶然たどり着いた宮ヶ瀬ダム(神奈川県)の崇高な姿に魅了されてダムに目覚め、以後ライフワークとして「ダムめぐり」を続けている。これまでに訪れたダムは国内外合わせて500か所以上。2007年に配布開始されたダムカードの発案にも携わる。

ダムに行こう!

著者:萩原雅紀、庄嶋與志秀
出版社:学研プラス
ダムの第一人者・萩原氏とプロ写真家・庄嶋氏が厳選した「今、見ておくべきダム」の魅力を詰め込んだ、マニアも初心者も必見のダム写真集。放流シーンを満載した全86基の写真集&ガイド!

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