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世界を〝職場〟としてとらえた5人の男女

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「ハワイの盆踊りって、『ビューティフル・サンデー』でみんなノリノリになるんですよ」。
今年の4月。ハワイに行ったときに知り合った、オアフ島のとある観光施設で働く若い女性とした話。大学卒業後百貨店に勤めていたが、入社後ちょうど1年で、学生時代から抱いていたどうしても海外で働きたいという気持ちが抑えられなくなったそうだ。

「ビューティフル・サンデー」で思い出したこと

「ビューティフル・サンデー」はダニエル・ブーンというイギリス人アーティストが1972年にリリースしたシングル曲で、ホノルルに限らず、ハワイ州のあちこちで行われるボン・ダンスでは一番盛り上がるタイミングでかかる定番曲らしい。
実はこの曲、『おはよう720』(1975年9月~1976年9月まで放送)というテレビ番組で使われたことから日本で大ヒットした。レポーターが世界各地を旅行するコーナーのテーマ曲で、当時小学生だった筆者が抱いていた海外への漠然とした憧れに直結する。
さて、彼女と話していて、20代半ばあたりの年齢だった頃の自分を思い出してみた。筆者も、新卒で入った会社を2年で辞め、ワーキングホリデーでオーストラリアとニュージーランドを行ったり来たりしていた。

挫折に終わったオーストラリア移住作戦

ワーキングホリデーから帰ってきて、数年間通信社に勤め、その間にさまざまな英語関連の資格試験を受けた。具体的なプランはゼロだったが、何らかの目に見える尺度が欲しかったのだと思う。
フリーランスになった後は海外志向がさらに強まった。昔働いていた免税店のルートを使ってニュージーランドで仕事を探したが、これはまったくうまくいかなかった。80年代半ば、ニュージーランドは移民受け入れ政策が進んでいて、極論すればある程度の条件を満たした日本人なら先着順で永住権が与えられるような時期があった。あの時、移民局に行っていれば…。帰国してから3年くらい経った時、ものすごく後悔したのを覚えている。
そこで、考えた。とても暮らしやすかったオーストラリアでできる仕事はないか? フリーなので、仕事はどこにいてもできる。あるいは、経験があるホスピタリティ産業で働けないだろうか? オーストラリア大使館に行ったり、海外で働くノウハウを教えてくれるグループに入ったりして情報を集めた。
オーストラリア移住を本格的に考え始めたのは、確か2000年の暮れだ。漫画の原作者をはじめ、文筆業に携わる人たちが多く住んでいることを知り、文章を書く仕事という方向性でなんとか方法を探そうとした。そしてたどり着いたのが、オーストラリア政府が発給する翻訳・通訳の国家資格NAATIである。説明会に何回か通って段取りを理解し、留学して専門コースを取り、試験に合格という流れが見えてきた頃、もろもろあって、結局実現はできなかった。

とりあえず動き出す

今思うのは、やってする後悔よりもやらなかったことに対する後悔の方が計り知れないほど大きいという事実である。今でこそネットの情報が充実しているが、筆者が海外進出を目指していた時代は体を動かさなければ何も知ることはできなかった。
主観だけで言う。海外で働きたいという思いが少しでもあるなら、とにかくトライしてみることだ。それも、できるだけ若いうちに。筆者はエイジストではない。でも、ある程度まで年齢が行くと、無視できないしがらみがいろいろ出てきて、初動が遅くなり、足取りも鈍ってしまう。だからこそ、海外で働くことがより実現可能なものとなり、探す気になればピンポイントな情報がいくらでも得られる今の時代の特性を活かさない手はないと思うのだ。

海外で働く。それは夢ではなく選択肢

とは言え、気持ちだけではどうにもならない部分もある。そこで紹介したいのが、 『セカ就! 世界で就職するという選択肢』 (森山たつを・著/朝日出版社・刊)だ。男女5人(20代4人、30代1人)が、海外で働くという選択肢を実現させるまでのプロセスが詳しく書かれている。実話をもとにした〝就活ノベル〟というキャッチが付けられているので、ある程度話が盛られているところもあるだろう。でも、手続きや段取りといった、体験者でなければ知り得ないリアルな情報が収録されていて、ハウツー本としても使い勝手がいい。
夢ではなく、選択肢について書かれた本だ。そういう立ち位置は、まえがきの次のような文章からも推し量ることができる。

中国や東南アジア各国は60年代の日本のように圧倒的な勢いで経済成長しています。そして、その多くの国で、そうした成長に貢献する優秀な人材を求めています。
チャンスを求めて地元から東京に上京するように、日本から世界に引っ越しする時代がきたのです。

『セカ就! 世界で就職するという選択肢』より引用

ラスト2行、まったくその通りだと思う。この文章のニュアンスに共感する人は、得るものが多いはずだ。もう一回強調しておきたい。やってする後悔よりも、やらなかったことに対する後悔の方が計り知れないほど大きいのだ。

(文:宇佐和通)

セカ就! 世界で就職するという選択肢

著者:森山たつを
出版社:朝日出版社
働く舞台は日本だけじゃない! 「セカ就」(=世界で就職すること)にも目を向ければ、選択肢はぐんと広がる。〈普通〉の男女5人が海外でチャンスをつかむ、実話をもとにした〈就活ノベル〉。「朝日新聞GLOBE」に寄稿し「NHKニュースウォッチ9」でも活動が紹介された、いま話題の「海外就職研究家」が贈る、実用情報満載の〈リアル〉なストーリー。
★電子版だけの特別コンテンツとして、「セカ就!」漫画(4頁)を収録!「大学を卒業するとそこは、ブラック企業だった」川崎君夫。23歳。俺は居酒屋の店長だった。売上ガタ落ちの店を立て直すべく毎日19時間労働。もう体力も気力も限界……と、ふと手に取った「海外就職」のチラシ。そんなおいしい話、あるわけがない。でも半年後、俺はインドネシア・ジャカルタで働いていた。ほんの少し勇気を出して海外へ飛び出した、若者5人の成長物語。

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