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若者がテレビよりネット動画を見るようになった理由

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私は小学生時代、大のテレビっ子でした。アニメ『ドラゴンボール』は欠かさず見ていましたし、お笑い番組やドラマなども熱心に視聴していました。テレビに登場するタレントや歌手は憧れの存在でした。

当時、テレビを見ていないと翌日のクラスの話題に取り残されてしまうという理由で、見ている人も多かったはず。そのくらい、テレビは子どもたちの話題の中心だったのです。

ユーチューバーに憧れる子どもたち

ところが、最近は、小・中学生の話題の中心がテレビではなくなっています。明らかにYouTubeやネット動画を熱心に視聴する人が増えてきているのです。

先月、近所のイオンのフードコートに行ったら、小学生が人気ユーチューバーの「はじめしゃちょー」の動画を話題に盛り上がっていて、驚きました。

子どもたちがネット動画を見る時代になったのか? と半信半疑でしたが、5月1日に配信されたオリコンスタイルの記事によると、大阪府内のある小学校が4年生の男子に、“将来の夢”を聞いたところ、3位に“ユーチューバー”が入ったといいます。子どもの話題がテレビからネットに移りつつあるのは、どうやら間違いないようです。

テレビ局の個性がなくなった

私の周囲でも、テレビを見なくなったという人が少なくありません。地デジ化のタイミングでテレビを買い換えず、見なくなったという友人もいます。彼は禁煙は失敗しまくっているのに、テレビ絶ちはいとも簡単に成功してしまいました。その理由は、テレビがマンネリ化して、同じような番組ばかり流れているからだと言っていました。

韓流のブームが巻き起こったとき、どこの局も韓国ドラマを放送しました。視聴者のニーズに応えた結果なのかもしれませんが、同時に、テレビ局の個性を失うことにもなりました。こうした状況を嘆いているのが、『誰がテレビをつまらなくしたのか』(立元幸治・著/PHP研究所・刊)の著者です。最近、テレビがつまらなくなっている理由は、ひとたびヒット番組があらわれると、すぐにそれに追従する“パクリ”が横行しているためだといいます。

ネットに対抗するには

ネットの強みはニッチな需要に応えることができる点です。確かにユーチューバーが作る動画は、いずれも強烈な個性が発揮されていて、テレビでは絶対に放送されない内容のものばかりです。

ネットに対抗するためには今こそ、テレビ局が安易にヒット番組を真似るのではなく、独自の企画をつくる努力をするべきでしょう。ところが、残念ながら、どのチャンネルでも似たようなクイズ番組、お笑い番組が流れている状況になっています。いくら視聴率のためとはいえ、金太郎飴のように似たような番組ばかり放送されていては、視聴者も飽き飽きしてしまいます。

テレビを視聴する人が減少しているのは、ネットのせいではありません。ネットに対抗する方法を十分に考えてこなかった、テレビ番組の製作者側に問題がありそうです。

テレビを復活させる方法

面白いテレビを復活させるにはどうすればいいのでしょうか。

著者は、チャンネルの匂いと、局のカラーを復活させるべきだと言います。かつては、報道のA社、ドラマのB社といったイメージがあったのに、いまではそれがなくなったそうです。極端な例ですが、ワイドショーはやらない、韓流には絶対に乗らないといった、いい意味での頑固さがあってもいいと解説しています。

そういう意味で、注目に値するのがテレビ東京です。他の民放がやらない個性的な番組が評価されて、視聴率を伸ばしています。テレビ東京は昔からニッチな番組を作るスタイルを貫いていて、やっていることはずっと変わっていないのですが、ぶれずに局の個性を守り続けてきたからこそ、差別化を図ることに成功しているのです。テレビ東京から学ぶことはたくさんあるといえるでしょう。

(文:元城健)

誰がテレビをつまらなくしたのか

著者:立元幸治
出版社:PHP研究所
タレントを集めてバカ騒ぎ、「答えはCMの後で」の連発、どっちを向いても「韓流」……。このワンパターンは本当に視聴者の要望か? 薄っぺらな「笑い」や「感動」の押し売りは、もうウンザリ! 本書では、元NHKチーフプロデューサーが、テレビが抱える病理に鋭く斬り込む。

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