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いまどきの山暮らし・週末ログハウス事情

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わたしの母方の実家は、由緒正しき農民の家系だ。数百年にわたって来る日も来る日も田畑を耕してきた。十代のころには、祖父と祖母を手伝うために田植えや稲刈りを手伝いに行ったこともある。

現在のわたしは、人工的な街路樹を眺めては毎日アスファルトの上を歩いて暮らしている。なにか物足りない。そのせいか、1年半ほど担当している当コラムでも、山暮らしや田舎暮らしの話題について何度も取り上げてきた。

妻に捨てられた60歳の男が山奥で自給自足の生活をはじめる話。秋田県の山奥でクマなどの野生動物を狩って暮らしているマタギの話。山奥の6畳しかない庵で暮らす世捨て人の話。食い詰めた漫画家が限界集落の空き家を借りて自給自足生活にチャレンジする話……など。

こうして振り返ると、わたしは「山暮らし」と「自給自足」にあこがれているようだ。つい最近も『まんが新白河原人 ウーパ!』(守村大・著/講談社・刊)という作品を読んでみたら面白かった。

『まんが新白河原人 ウーパ!』とは?

いままでデスクワークばかりしていた男(当時40代後半・体重80kg・体脂肪率30%)が、あるとき一念発起して、自給自足の山暮らしを決意する。住まいはもちろん丸太組みのログハウスだ。

男が購入した土地は、約1万2千坪(東京ドーム1個分の広さ)だ。取得価格は約500万円(1坪あたり約400円)。一戸建てやマンションが数千万円なのだから、庶民にとっては山を買ってログハウスを建てたほうが現実的かもしれない。

薪(まき)を割ったりログハウスの材料を加工するためのチェーンソーは16万円で購入した。ログハウスを建てるためには整地する必要があったので、無数の切り株を除去するために中古のパワーショベルカーを購入した。地元業者から80万円で払い下げてもらったという。オプション付きの軽自動車よりも安い。ショベルカーは、ログハウスを組み立てるときにはクレーン代わりにも使える。なるべく費用を抑えて調達しており、けっして富裕層の道楽ではないことがわかる。

『まんが新白河原人 ウーパ!』は、山暮らしの自給自足マンガだが、文明の利器を否定していない。毎日の排泄のためにコンポストトイレを真っ先に導入している。発電機をもちこんでいるので冷蔵庫などの家電製品もある。守村さんの奥さんの要望を取り入れたものだ。

いわば「世を捨てない山暮らし」を実現している。男のロマンをかなえつつも、家族にガマンを強いることのない自給自足生活。「都会暮らしが長い人でも挫折しにくい」山暮らしのガイドブックとしても読むことができる。

あのDIY専門誌も『ウーパ!』に注目している

『まんが新白河原人 ウーパ!』は作り話ではない。マンガに登場する男(漫画家)みずからが、自分の実生活を描いたドキュメンタリーだ。作者である守村さんの山暮らしは10年以上続いている。

『ウーパ!』に登場する手作りログハウスを『ドゥーパ!2016年6月号』(ドゥーパ!編集部・編/学研プラス・刊)が特集している。

漫画家・守村大さんがインタビューに答えており、木材の伐採や加工から組み立てまでをすべて1人でおこなったログハウスの実物写真を見ることができる。日本の東北地方なのに、まるでカナダやスイスの山中であるかのような優雅な印象を受ける。うらやましい。

1万2千坪の広々とした敷地内に建てた自作ログハウスは、2016年6月現在、サウナ小屋をあわせて4棟に達しているようだ。最新刊である『まんが新白河原人 ウーパ』の第3巻では、釣ってきた鮭を自作の燻製器でスモークサーモンにしたり、ついには「炭焼き」まではじめている。

燻製器やバーベキュー炉やピザ釜の自作も流行っている

『ドゥーパ!』は日本で唯一のDIY・日曜大工マガジンだ。生活に関わるものを手作りしたり自分で修理するという心がけ「DIY(Do It Yourself)」にフォーカスしている。

木工だけにとどまらず、ピザ窯やバーベキュー炉、ストーブなどの手作り特集もある。近ごろは、燻製3点セット(燻製器・風乾箱・収納台)をDIYする特集が人気のようだ。誌面にはスモークしたチーズや干し肉などの写真が掲載されており、読んでいるうちに自分でも作ってみたくなった。

さきほど紹介した、山暮らし漫画家・守村大さんのインタビューが掲載されている『ドゥーパ! 2016年6月号』では、「手作りガーデンハウス&週末小屋」を特集している。ふつうの勤めをしている人が、週末などの空き時間を利用してコツコツと自作したログハウスを写真付きで紹介している。

気になる「自作ログハウス」の費用は?

さまざまな事例をながめていると、ログハウスの材料費は意外と安いことがわかる。建築確認申請が不要である10平方メートル未満のログハウスならば、実費は30万円~100万円でおさまるようだ(土地の購入費用は含まれていないのだろうが、先に紹介した1坪400円でもわかるとおり市街地に比べればタダ同然の安さだろう)。

自作のログハウスといっても、建てる場所は山奥とはかぎらない。二畳にも満たない手作りログハウスを自宅の庭に建てるDIYユーザーも珍しくないからだ。ウッディな物置きを自分好みに設計して自作するのも楽しそうだった。初心者向けには、組み立てるだけで完成するログハウスキットもあるようだ。

月刊誌『ドゥーパ』の編集者は、DIYユーザーを取材するだけにとどまらない。編集部員には、当然のようにDIY実務経験が求められる。

なかでも編集長がもっともDIYにハマっているらしく、誌上企画として『ドゥーパ!号』の製作にチャレンジしている。軽トラックの荷台を利用して「キャンピングカー」を自作しようという企画だ。積載重量(最大350kg)や高さ(地面から2.5m以内)や車体長(10%まではみ出しOK)などに気をつければ、軽トラをキャンピングカーに改造してもノープロブレムだという(宮型霊柩車もDIYできそうな予感……!)。

『ドゥーパ!』のバックナンバーでは、何度も「軽トラキャンパー」を取り上げている。軽トラックをカスタムして作るキャンピングカー・ドゥーパ!号が完成したあかつきには、日本全国の取材へ向かうときに活用するつもりだそうだ。

(文:忌川タツヤ)

ドゥーパ!2016年6月号

著者:ドゥーパ!編集部
出版社:学研プラス
日本で唯一のDIY・日曜大工マガジン。ウッドデッキやピザ窯・パン窯、ガレージ&カーポート、フェンス、アプローチ、ガーデン小屋、工房、BBQ炉などの庭づくりから、木工、収納、リフォームまで、わが家のことはすべて手作りできるテーマを毎号大特集。

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