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人生に必要な知恵はすべて駄菓子屋で学んだ

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40代以上(特に男性)なら、ほとんどの人が子どものころに駄菓子屋に行ったことがあるだろう。1日のお小遣いである30円、50円を握りしめて、小さな駄菓子屋に行き、10円、20円のお菓子を買ったものだ。

駄菓子屋で学んだいろいろなこと

小学生のころ、学校から帰ってくると、親にお小遣いをもらいそのまま駄菓子屋へ直行。暑い日はアイスが食べたいのだが、持っているお小遣いでは1個しか買えないので、10円、20円のお菓子を数個買うことになる。それをちまちまと、長い時間をかけて食べる。

たいていの子どもは、初めてお金を払ってものを買うという行為、そして自分の持っている金額でできるだけ満足度の高い買い物をするということを、駄菓子屋で覚えたことだろう。

また、駄菓子屋の店主はおばちゃん率が高い。汚い手で店内のお菓子を物色していると怒られたものだ。あと、ぎゃあぎゃあ騒いでいても怒られた。ひどいときは、親に通報されたりして、家でも怒られたりする。お店では静かにしないといけないということも学んだ。

コストパフォーマンスというものを知ったのも駄菓子屋だ。同じ商品でも、できるだけ食べごたえがあり長持ちするものを選ぶ。

そう、駄菓子屋は子どもたちの学びの場所だった。社会生活における基礎的なことは、駄菓子屋で身に付けたのだ。

あんこ玉から学んだこと

まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ 〜駄菓子編 改訂版〜』(初見健一・著/大空ポケット文庫)は、1960〜70年代の駄菓子が100点掲載されている。しかも、現在でも製造・販売されているものに限られているのがすごい。

ページをめくっていくと、「これ毎日食べてたわ」というものも「見たことないなー」とういうものもある。

僕がとても思い出に残っているのが「元祖植田のあんこ玉」だ。あんこを丸めたものにきなこがまぶしてあるだけのシンプルな駄菓子だが、あんこのなかに白い小さな飴が入っていると「当たり」。もう1個もらえるというシステムだ。

僕は、このあんこ玉の当たりを見分けられた。だから、駄菓子屋であんこ玉を買うときは、当たりのものを買う。当たる、次も当たりのものを選ぶ。当たる。つまり、1個買ったら、箱のなかにある当たりを全部食べてしまう。

最初は駄菓子屋のおばちゃんも「あんた運がいいね」などと言っているが、そのうち僕が当たりを選んでいることに気が付いたらしく、あんこ玉を置かなくなってしまった。

ここで学んだことは、「ほどほどにしておかないと痛い目に遭う」ということと、「いいことは長い間は続かない」ということだ。

親NGが出た「すもカップ」

もうひとつ、はまったのが「すもカップ」。すももの甘酢漬けが四角いプラ容器に入っている。アイスケースで凍らせているバージョンと、常温のものがあり、僕が好んだのは常温のもの。ストローを突き刺してその汁を一気に飲むのが快感だった(たまにむせる)。

着色料のせいなのか、食べるたびに舌が真っ赤になる(現在販売されているものはならないらしい)。ほぼ毎日食べていたので、常に舌が真っ赤。うちは両親ともあまり口うるさくはないので、駄菓子屋に通っていること自体は怒られたりしなかったが、毎日真っ赤な汁にひたされたすももを食べて舌を真っ赤にしている子どもを見て、さすがに体によくないと思ったのか、母親に「すもカップ禁止令」を言い渡された。

そのほか、「ミナツネのあんずボー」や「さくら大根」「モロッコフルーツヨーグル」などもよく食べていた。

駄菓子自体は今でも売っているのは知っているが、さすがにあまり口にすることはない。大人になったものだ。

本物の「駄菓子屋」に子どもたちは行っているのだろうか

当時の駄菓子屋は、子どもたちの社交場であり、駄菓子屋のおばちゃんに怒られたりしながら、親から教えられることとは違う、“知恵”を身に付ける場所だった。

今でも、ショッピングモールの中などに駄菓子屋“風”のお店があるので、駄菓子自体は買える。懐かしい駄菓子があるので、たまに買ってみたりもする。

しかし、若いアルバイト店員がPOSレジでバーコードをピッとやってお会計をするシステムは、情緒がない。エプロンをしたおばちゃんが自宅の居間に繋がったところに腰掛けていて、騒ぐ子どもたちに「静かにしな!」と怒鳴ったり、たまにお釣りを間違えたり、外にある10円ゲームが壊れても「直し方がわからない」と放置していたり。

そういうところも含めて「駄菓子屋」なのだと思う。今、全国にどれだけ駄菓子屋があるのだろうか。そこに子どもたちは集まって、人生に必要な知恵を学んでいるだろうか。

(文:三浦一紀)

まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ ~駄菓子編 改訂版~

著者:初見健一
出版社:大空ポケット文庫
1960~70年代、いわゆる高度成長期に発売された駄菓子の中から、「え?これ、“まだある”の?」と叫んでしまうものを100点セレクト。カチカチに凍らせた「あんずボー」、「梅ジャム」を塗って食べた「ソースせんべい」、何度も挑戦した各種駄菓子くじなど、昭和っ子たちの記憶に残り続ける、“懐かしいのに現役”のロングセラー駄菓子をオールカラーで一挙紹介。

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