ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

行きつけの店を持てば、仕事も人生も好転する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

行きつけの店。それは、別にお酒を飲むような店でなくても構わない。自分のことをよく知っていて、何かと融通をきいてくれる、時にはちょっとしたサービスもしてくれる。そんな店、ありますか?

「いつものやつ、お願い」

かつて会社勤めをしていた頃。会食をする機会が多い業種だったこともあり、若い頃は本当によく、社内外の先輩方にいろいろなお店に連れていってもらった。普段は行かないようなジャンルの店。隣のお客さんと自然に仲良くなれるような居酒屋。一人では足を踏み入れることすら躊躇われるような高級店。もちろん、仕事帰りにちょっと一杯……てな流れから、行き当たりばったりで初めてのお店に入ることもあったが、大体は連れていってくれる先輩行きつけの店だった。

店に入るやいなや、「あれ、久しぶり!」とお店のおばちゃんが声をかけてきたり、「とりあえず、適当に持ってきてもらえる?」で通じたり。とりわけ「いつものやつ、お願い」という一言は、田舎から出てきたばかりの私にとって、なんだか都会の魔法のような言葉に聞こえた。

「想い出の焼きそば、持ち帰りでお願い」

あれは、同じ会社の大先輩の送別会でのこと。とあるBarを貸し切りにして盛り上がっていた二次会で、主役の先輩がどうやら小腹を空かせている様子に気づいた。すごくすごくお世話になった先輩、最後に何か喜んでもらえることがしたい!と思った私は、ふと近くにある居酒屋のことを思い出した。あの店の焼きそば、先輩は大好きだったっけ。持ち帰りなんてやってなさそうだけど、でも、最後にあの店の焼きそばを食べてもらいたい! そう思うやいなや、カラオケで盛り上がる中を一人そっと抜け出し、Barのマスターに許可を得て、その居酒屋に駆け込んだ。事の経緯を早口で、でも熱意たっぷりに説明。何度も顔を出していたおかげで、店の大将が私のことを覚えていてくれ、突然の無理なお願いに快く応えてくださった。

そして、先輩が大好きな焼きそばを片手に二次会の店に戻り、サプライズは大成功。大喜びしてくれた先輩の顔が、今でも忘れられない。

行きつけの店は、相手との距離をぐっと縮める

行きつけの店、つまり自分の名前を覚えてもらっている店があるというのは、あらゆるシーンで強みとなる。先のようなケースはあまりないかもしれないが、たとえば付き合いたての恋人とのディナー。たとえば親しい友人たちとのランチ会。一緒に行くメンバーによって、どこの席がベストか、どんなメニューが合うか、サプライズの演出がしたい場合の相談まで。顔が見えているからこそ、いろいろと融通がきくことも多く、また店側から細やかなサービスを受けられるというメリットがある。

中でも特に効果を発揮するのが、ビジネスシーンでの食事会ではないだろうか。仕事相手を食事会でもてなす際、どんなに口コミやネットでのレビューが良かったとしても、一度も行ったことがない店をセッティングするのは危険だ。実際に行ってみると味は良いけれど雰囲気が悪かったり、大切な話をするにはうるさすぎたりと、相手方を不愉快な想いにさせてしまう恐れがある。このことに関しては、『できる人の会食術 仕事ごはん部下ごはん』(CCCメディアハウス・刊)に詳細が描かれている。著者は、平原由紀子氏。ファッション広告業界では知らぬ者はいないほど、女性の地位を築き上げたパイオニア的存在だ。平原氏は、実に会食7000回、手土産1万個を実践してきており、その豊富な経験に基づいて、会食が持つビジネスの可能性から基本的な作法までを、丁寧に指南してくれている。

会食をうまく仕切って、ビジネスで飛躍せよ!

仕事相手との会食のときの支払いはどちら? 予約の電話で気をつけるべき点は? 案内メールはどう書くと親切? 当日のお出迎え方法から会話術、トイレに立つタイミング、翌日のお礼の伝え方などなど……イマドキこんなに詳細に、赤裸々に教えてくれる人は、社内にだっていないだろう。本書は、入社したての社会人にとって、ものすごく実用的でタメになるマナー本でもある。そして、肝心の「行きつけの店を作る術」も書かれているので要チェックだ。

平原氏いわく、行きつけの店がいくつかあると、取引先だけでなく部下との食事会にも一役買うという。とはいえ、ただ行きつけの店を持っているだけではダメだ。会食をうまく仕切れる人は、すなわち気遣い上手な人。そして、気遣いができるか否かは、生まれ持った才能やセンスだけではない。いかに普段から周りを意識しているか。ほんの少しの気配りで、面白いほど人間関係が良好になったりするのである。

たかが食事会、されど食事会。「ただ一緒に食事をした相手」で留まるか、「食事会を機に、ビジネスパートナーとして認められた相手」となるかは、まさにあなた次第。その鍵は、行きつけの店の有無と、平原氏の教えの中にある。

(文・水谷 花楓)

できる人の会食術 仕事ごはん部下ごはん

著者:平原由紀子
出版社:CCCメディアハウス
仕事相手と、部下と。人間関係も仕事も、大事なことは食事会で決まる。不況で経費が自由に使えない時代、めっきり減った仕事相手や部下との食事会。そのため、仕事関係者との食事のもたらす価値を理解していない世代が増えてきた。仕事の成果を上げるために、社内外の人間との食事会がいかに重要か。食事会をコミュニケーションの手段として有効に活用するための、セッティングの仕方、会話の仕方、メニューの頼み方、お礼メールの送り方などをきめ細やかに指南します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事