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爆買いの中国人に依存する日本経済。本当に大丈夫?

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最近、取材で銀座に行く。平日も休日も目に付くのは“爆買い”の中国人だ。その消費の勢いは昨年に比べて落ちたと言われるが、依然として凄まじい勢いがあることには変わりがない。団体客を乗せた観光バスはひっきりなしにやってくる。銀座の三越の前に立っていると、まわりで中国語が飛び交っていて、中国にいるように錯覚してしまう。

どんどんオープンする中国人相手の免税店

ForbesJapan 2016年5月号』(アトミックスメディア・刊)に掲載された川村雄介氏の記事によると、訪日外国人旅行者は昨年1973万人にも達したという。その消費額は3兆4771億円。うち中国人が1兆4174億円で、約41%を占めているため、銀座には中国人観光客を相手にした免税店や家電量販店が進出している。

私がとある時計店に話を聞いたところ、100万円ほどするロレックスのレアモデルなどは、店頭に並ぶとすぐに中国人がかっさらっていくのだそうだ。実際、札束を積み上げて数百万円単位の買い物をしている中国人を見たことは、一度や二度ではない。いまの銀座はチャイナ・マネーによって支えられているのだ。

中国人と欧米人の消費スタイルの違い

爆買いの中国人は、低迷する日本経済を活性化させる切り札といわれる。しかし、川村氏は爆買いに頼り切った状態は危ういと警鐘を鳴らす。中国経済はいつ失速するかわからないし、免税が効いて安いからという理由で日本を訪れている中国人が多いからだ。高級ブランド品を買い漁るタイプの旅行者がそれに当たるが、安さだけを求めて来日する旅行者は、別に買い物の場所が日本である必要はない。

さて、外国人旅行者の消費スタイルを比較してみると興味深いことがわかる。記事中に、中国人と欧米人の旅行者を比較したデータがあったので紹介しよう。

買い物を例にすると、中国人の1人あたりの消費額は16万円で欧米人は3万円ほどだから、約5倍もの開きがある。確かに私も銀座で爆買いしているアメリカ人を見たことはない。一方で、宿泊費・滞在費を見てみよう。中国人7万円に対し、欧米人は12万円なのだ。記事によると、欧米人は日本にじっくり滞在して、日本の文化に触れようとする傾向が強いと分析されている。

旅行の満足度もこんなに違う

旅行満足度のアンケートも興味深いものだった。「日本の旅を満足したか」という質問に対し、「大変満足」と答えた中国人は44%、韓国人に至っては25%に過ぎなかった。ところが、イギリス人、フランス人、イタリア人、ロシア人は8割以上が大変満足と答えている。アメリカ人も79.5%と極めて高い。

彼らは津々浦々、日本人も行かないような地方都市にだって旅行する。以前に白川郷に旅行したときにも欧米人の姿が目立った。いくら世界遺産とはいえ、日本人でもなかなか訪問が難しい場所を旅しているのだから、日本文化に対する関心の高さがわかる。こういう日本ファンの旅行者こそが、長い目で見れば真の日本経済活性化の切り札かもしれない。

日本人の銀座離れが怖い

もちろん、中国人が日本に来て買い物をしてくれるのはありがたいことだ。買い物を通じて日本ファンになってくれる人も多いはずだ。それ自体はいいとしても、安易にそういった客目当ての店を開店しまくることで、銀座の品格が失われないかが心配である。銀座が安売りの店ばかりの、どこにでもある街になってしまってはたまらない。儲け一辺倒で店を作ってしまう日本人側にも問題がある。

とあるブランドの店を取材した際、馴染みの日本人顧客からクレームが相次いでいるという話を耳にした。これまで銀座の店を贔屓にしていた日本人が、日本橋などの中国人が少ないエリアに移っているという話もあった。日本人が銀座離れを起こしてしまっては、たまったものではないだろう。

爆買いブームは、いつまで続くかわからない。一過性のブームに踊らされては、後で大変なことになるのではないか。救世主に頼ってばかりではいけないのだ。地道に日本を愛してくれるファンを増やすことが大切なのではないだろうか。

(文:元城健)

ForbesJapan 2016年5月号

著者:atomixmedia Forbes JAPAN編集部
出版社:アトミックスメディア
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