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松岡修造が尊敬するメンタルトレーナーの格言

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修造チャレンジをご存じだろうか。松岡修造さんが主催している、テニスのジュニア選手向けの強化合宿だ。18歳以下のテニスプレーヤーをジュニアという。

あるとき、修造チャレンジの合宿中に珍事が起こった。ボール拾いに来ていた無名ジュニアが、チャンピオンのジュニア選手を負かしたのだ。

世界的なテニス大会であるウィンブルドン選手権でさえ、番狂わせや下克上のようなことは起きる。ビギナーズラックだったのか?

このとき、チャンピオン選手からの「もう1度だけ」という申し出によって再戦がおこなわれた。しかし、結果は同じだった。2度目の試合でもボール拾いのジュニアが勝ってしまった。

じつはボール拾いの選手が「無名時代の錦織圭だった」というオチではない。格下相手にチャンピオン選手が負けた理由を解説しているのが『起きあがりことば 心の筋肉に効いていきます』(佐藤雅幸・著/朝日出版社・刊)だ。

著者の佐藤雅幸さん(専修大学教授)は、スポーツ心理学の専門家だ。プロテニスプレーヤー時代の松岡修造さんを「メンタルトレーニング」面で支えていた。ジュニア選手向けの強化合宿「修造チャレンジ」にもスタッフとして参加している人物だ。

学生チャンピオンが格下選手に負けた理由

負ける人は勝つ可能性が90%でも、
10%の不安に引きずられて負けてしまう。

(『起きあがりことば』から引用)

ジュニアチャンピオンの敗因は何だったのか? それは「格下の選手には絶対に負けられない」というプレッシャーだった。

メンタル(こころ)を鍛えるのはむずかしい。恵まれた素質があっても、強靭な肉体を持っていても、たとえ誰よりもたくさん努力しても、ここ一番のときにメンタルが耐えられなければ、勝ちを逃してしまう。

心を鍛える方法は? メンタルの不調を脱する方法は?

自分と対話するためにやるべきこと

現状を文章にするクセをつけよう。
自分を客観的に見る目が養われる。

(『起きあがりことば』から引用)

松岡修造さんも、プロテニスプレーヤだった現役時代には日記をつけていたという。

家族からの資金援助ゼロ。両ヒザの損傷。右足首のじん帯断裂。じつは挫折経験が多いテニスプレーヤーなのだ。

修造さんは「現役時代は、必死になって自分で自分のことを応援していた」という。だからこそ、誰よりも声援がもたらす力を信じている。

悩みごとは小さく分解して考える

大きな肉は、小さく切ってから食べる。
問題解決も同じ。
一気に解決しようとしない。

(『起きあがりことば』から引用)

わかりやすい例えだ。1kgのビーフステーキを切り分けずに食べる人はいない。焼いた肉のかたまりを目の前にすれば、自然にナイフを求める。一口サイズに切り分けながら食事を楽しむ。

悩みごとも小さく分解したほうが解決しやすい。たとえば、長いあいだ恋人がいない問題を解決したいとする。慣れない合コンに参加したりナンパをするのは難易度が高い。

問題を小さく分ける。とりあえず「恋愛対象の性別の相手とイチャイチャしたい」という欲求だけを満たしてみる。予算を決めてキャバクラかホストクラブに行くことで実現可能だ。小さく切り分ければ解決するための難易度が下がる。大きな山をすこしずつ切り崩していく。

これはけっして悪ふざけのアドバイスではない。キャバクラやホストクラブで飲んで食べてしゃべって笑えば、たいていの人は気が済んでしまうからだ。望めばイチャイチャできる。その日の夜だけでも悩みが消える。ぐっすり眠れる。さわやかに目覚める。がんばれる。

悩みぬくことによって達する心境とは

誰かに悩みを相談したいと思ったら、
それは復活の兆しである。

(『起きあがりことば』から引用)

あるテニスプレーヤーは「ネットプレーがうまくいかない」と悩んでいた。どれだけ練習しても上達しないので、メンタルトレーナーに相談した。

返ってきたアドバイスは「本番でネットプレーをしなければ良い」だった。そのとおりにしたら試合で勝てるようになったという。

悩んでいる、つまり問題を解決できないのは、自分が答えを知らないからだ。誰かに悩みを打ち明けたい、相談したいと思うときには、うぬぼれや思いあがりが消えている。つまり、どんなアドバイスでも受け入れる態勢が整ったということだ。

ただし「もうダメかもしれない」は単なる弱音にすぎない。やみくもに他人をつかまえて不安な気持ちをうったえても意味がない。心の底から「良くしたい」「改めたい」と思いつめることを悩むという。その気になるまで自問自答することが大切だ。

(文:忌川タツヤ)

起きあがりことば 心の筋肉に効いていきます

著者:佐藤雅幸
出版社:朝日出版社
心がくたくた……。そんなあなたに読んでほしい、一流アスリートを支えてきた言葉。人は必ず転びます。転んだとき、落ち込んだとき、疲れたとき……あなたは、起きあがるための「ことば」を持っていますか? 一流アスリートを支え、奮い立たせてきたスポーツ心理学の第一人者・佐藤教授。その30年間の指導の実績から生まれた「起きあがるためのことば」を、323個収録しました。読むだけで、いつの間にか心の筋肉が強くなってきます。松岡修造さんの応援メッセージつき!

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