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ポジティブ思考の落とし穴

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ライターズブロックという言葉をご存知だろうか。原稿がまったく進まない状態だ。原因はいろいろあるだろうが、ときどきこういう状態に陥ることがある。響きのいいフレーズも、しゃれた感じの言い回しもまったく思い浮かばない。しかもこれ、忙しい時に限って訪れる。

考えるな! キーボードを叩き続けろ!

筆者が師と仰ぐUFOリサーチャーの先生は、こうおっしゃっていた。「特に忙しい時にそうなったら、とにかくキーボードを叩き続けるしかない。起きてる間はずっと叩き続ける。そのうち何とかなるという気になるよ」
この方法は確かに効果がある。
今の時代、ブログを書いている人たちも多いと思う。ネタに困ったら、今自分がいる部屋の様子とか、テレビを見ているならその時放送されている番組とか、CMでもいいから、それについて文章を書くといい。何かをきっかけにして、すーっと流れていくことが多い。

智の女神を呼び込む方法

どんな仕事にも壁はつきものだ。それをなんとかやり過ごしたい。いや、二度と悩まされないように克服したい。そうするための確実なメソッドがあったら…。筆者もいろいろ試している。欠かさず行っているのは近所の神社のお参りと、仕事を始める前に机とラップトップ、そしてスマホを除菌ウェットティッシュできれいに拭くことだ。
かなり前、スティーブン・プレスフィールドという作家のインタビュー記事を読んだことがある。『バガー・バンスの伝説』などの小説や、1986年のハリウッド映画『キングコング2』の脚本を書いた人物だ。
この人は、ライターズブロックを〝レジスタンス〟という言葉で表現していた。書こうとする気持ちにあらがいながら頭の中でもやもやしているもの、と言ったらいいだろうか。これを取り除くためには、〝ミューズ〟(智の女神)の助けが必要だ。助けを得るためには身ぎれいにし、仕事場も整理整頓しておかなければならない。
筆者の毎日の儀式は、スティーブン・プレスフィールドの言葉の実践にほかならない。

祈りがもたらした大ヒット曲

プログレッシブ・ロックが好きな人は、カンサスというバンドをご存知のはずだ。確か1980年初頭の『ローリングストーン』誌だったと思う。作曲を担当していたケリー・リヴグレンのインタビューが掲載されていた。
アルバムを3枚出した時点で、カンサスには代名詞となるようなヒット曲がなかった。4作目のアルバムで何とかしなければならない。プロデューサーからも、次がダメなら契約を解除する、というようなことまで言い渡されていた。
大きなプレッシャーにさらされながらリヴグレンがしたことは、とにかく祈ることだったという。祈りに祈って、さらに祈ったある夜、メロディーラインと歌詞が〝降りて〟きた。
それが『伝承』という曲で、これを収録した『永遠の序曲』というアルバムは400万枚のセールスを記録した。

考えるより行動しよう

プレスフィールドの言葉を実践する筆者の毎日の儀式も、ケリー・リヴグレンの祈りも、行き詰った状態を打破するため、そしてそもそもそうした状態が生まれないようにするための具体的な行いだ。何もしないでただ悩むだけではなく、ものごとが好転するように、ポジティブで具体的な行いを起こす。ひたすらキーボードを叩き続けるのも、同じアイデアだ。そしてこうした行いは、必ずポジティブな結果をもたらしてくれる。ただし、〝ポジティブネス〟の方向性を間違いさえしなければ、の話だ。

無理なポジティブネスは逆効果

『もっと結果を出せる人になる「ポジティブ脳」のつかい方』(茂木健一郎・著/学研プラス・刊)は、〝ポジティブネス〟の正しい方向性を指し示してくれる実用性の高い一冊だ。まえがきから文章をいくつか紹介したい。

「くよくよしないで、もっとポジティブに考えましょう」
「もっと前向きに、元気出そうよ。次はきっとうまく行くはず!」
 落ち込んでいるときに、誰かからこんなふうに励ましてもらった経験は、みなさんにもありますよね。
 これらの考え方は、前向きでポジティブなものに思えるかもしれません。
 でもこれ、じつは本物の「ポジティブ」ではないことをご存知でしょうか?

『もっと結果を出せる人になる「ポジティブ脳」のつかい方』より引用

筆者も、励ましの言葉に違和感を覚えることがある。
「くよくよしないで、もっとポジティブに考えましょう」→じゃあ、今の状態で、何をどうポジティブに考えればいいの?
「もっと前向きに、元気出そうよ。次はきっとうまくいくはず」→いやいや、そうおっしゃるなら具体的な方向性を教えてくださいよ。
めんどくさい性格だと思うでしょ? でも、真のポジティブネスはその場の言葉の勢いで得られるものではない。茂木さんによるニセモノ・ポジティブの説明を見てみよう。

なぜなら〝前向きな考え方〟とは、脳のエネルギーを消費して、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいがちな存在だからです。

キラキラした「素晴らしい考え」に取りつかれてしまうと、脳はパワーダウンしてしまい、「行動」にも「結果」にも結び付きません。

『もっと結果を出せる人になる「ポジティブ脳」のつかい方』より引用

落ち込んだり、行き詰ったりしている自分やほかの人たちに対して必要なのは抽象的で精神論的な言葉ではなく、すべき行動に関する具体的なアイデアだ。それがポジティブな結果をもたらしてくれる。この仕組みを知っている筆者は、今日も起きてからずっとキーボードを叩き続けてます。

(文:宇佐和通)

もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方

著者:茂木健一郎
出版社:学研プラス
人生が大きく開ける”本物のポジティブ思考”を実現するには「フラットな脳」が必要だ。自分らしく、リラックスして生きると、いつの間にか「大きな結果」がついてくる!大ヒット作『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』に続くシリーズ第2弾!

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