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日本旅行の最新トレンドは生活体験

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最近、ジムでも電車の中でも、そしてお惣菜を買いに行く近所のスーパーでも、外国から来た人たちに会う機会がものすごく多くなった。筆者が住んでいる街でそうなのだから、新宿や渋谷ではもう完全に日常の一部、と言うのが正しいだろう。

突如日常に現れる海外からのお客様

筆者の日常にも、海外からのお客様が登場する機会が激増している。ここ2、3日に絞って考えても、少し前ではありえなかったシーンに巻き込まれた。筆者は毎日、近くの神社にお参りに行っている。おととい、いつものように一礼して鳥居をくぐったところに、高そうなカメラとビデオをそれぞれ手にした欧米人カップルがいた。ああ、いるな。ここはそんなに大きな神社じゃないし、ガイドブックにも載っていないだろうけど、こういう場所にも興味があるんだな。
そんなことを思いながら手水舎で手を洗い、口をすすぎ、ひしゃくを傾けて柄の部分を浄めて振り返ったところで、二人から声をかけられた。筆者がしていたお参り前の一連のルーティーンがえらく気に入ったらしい。もう一度やってくれと頼まれ、断る理由もないので、ちょっと大きめの所作でもう一回して見せた。ふと気がつくと、ビデオを構えている彼女の方が一部始終を撮影していた。

公園デビューもしちゃうのか?

二人はイタリアから来たのだという。ベタなところで本田選手と長友選手の話から始め、打ち解けたところで、お参りする意味とか、ごく簡単ではあるものの神社の施設の話を10分くらいして別れた。別れ際に、彼女―ラファエラという名前だった―がこう言った。「イタリアに帰ったら日本旅行のビデオを作ってユーチューブにアップするから、探してみて!」
そして、昨日はこんなことがあった。近所の公園で遊ぶ子ども達の群れの中、きれいなブロンドの女の子が二人混じっていた。ママたちの方に視線を向けると、こちらにもきれいなブロンドと青い瞳をした若い女性がいた。でかいスーツケースを二つ持っていたので、近所に住んでいる人とは思えない。空港に行くまでちょっと時間があるから、子どもを遊ばせとこう。そんな感じだ。

商店街英語化計画

小江戸と呼ばれる埼玉県川越市は、首都圏有数の観光地だ。この街でお店をやっている友人に話を聞いたら、ここ3年くらいで外国人観光客の数が爆発的に増加したという。お土産屋さんではないのでそれほど接触はないだろうと思ったら、そうでもないらしい。最初のうちは日本語だけで通していたが、それではいけないということで去年の夏から接客英語の勉強を始めたと言っていた。店内の表示もできる限り英語にした。
彼の気持ちが通じたからではないだろうが、川越市に本社を置く株式会社エスプリライン―爆発的に売れている、あの聞き流し英語教材の会社―が、2015年10月に川越商店街限定バージョンをリリースした。お団子屋さんのおばちゃんとか、芋煎餅屋さんの若旦那とかが、顔を合わせると「ハーイ、ハウ・アー・ユー?」なんて声を掛け合ってるらしい。

ホテル増築か、民泊関連の法整備か

世界中から観光客が押し寄せる中、日本国内では宿泊施設の数が圧倒的に不足している。都心、たとえば銀座エリアではホテル開発ラッシュが顕著になっているが、観光客が泊まる場所はホテルとは限らない。欧米でいうB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)的な施設も増加の一途をたどっている。こうした施設の中には、いわゆる民泊というカテゴリーに収まるものもある。
ただ、日本は宿泊施設に関する規制が欧米諸国ほどゆるくないので、民泊実施の実際のスピードに法制度が追いつけないのが実情のようだ。集合住宅では住人と宿泊客との間に起きるトラブルも少なくない。物件によっては(京都市内のマンションなど)、すでに住人と宿泊客の比率の逆転現象も起きている。
こうした中、インターネット上で日本人にとっては目新しいサービスが注目を集めている。全世界192カ国、3万3千都市の民泊施設をリストして、部屋を貸したい人と借りたい人を結び付ける〝Airbnb〟(エアビーアンドビー)というサイトだ。2008年にアメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコで立ち上げられ、日本では2011年から本格的に稼働している。この種のサイトはまだまだ増えていくに違いない。

何でそんなに日本が好きなの?

そもそも、なんでこんなに外国人観光客が増えたのか? そういうプリミティブな疑問に答えてくれるのが、 『LOVE JAPAN 世界は日本を愛している(J-CASTニュース編集部 著/ジェイ・キャスト・刊)だ。
コミックやJポップ、アイドルといったわかりやすいアスペクトから日本人論まで、すべての方向からの意見がバランスよく盛り込まれている立体的な作りの本だ。最近の日本旅行のトレンドは、観光ではなく生活体験らしい。海外の旅行会社のサイトを見ても、エクスペリエンスという言葉がやたら目立つ。程度の差こそあれ、外国人観光客のみなさんは、日本人であることとは何かを体験しに来てくれているのかもしれない。ならば、神社でのお参りも公園デビューも、一歩踏み込んだエクスペリエンスとして納得できる。そしてこれから先は、ロングステイ型の旅行が主流になっていくんじゃないだろうか。

(文: 宇佐和通)

LOVE JAPAN 世界は日本を愛している

著者:J-CASTニュース編集部
出版社:ジェイ・キャスト
世界的に「日本ブーム」が起きている。アニメ、漫画に代表される「クール・ジャパン」。きめこまやかな「お・も・て・な・し」。世界が愛する日本の食、製品、カルチャー、観光、日本人などに関する記事をピックアップしまとめた。さらには政治的には微妙な関係にある中国、韓国からの「愛」も紹介している。空前の日本ブームを多彩なニュースから読み解くタイムリーな一冊だ。

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