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感度の高い消費生活も、田舎暮らしも。埼玉県ならすべてが叶う!

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私は東北地方の田舎町の出身で、現在は埼玉県に暮らしている。東京都の新宿区に住んでいたこともあったが、埼玉県を選んだのは、仕事先の東京に近くて家賃の安いという理由からだ。典型的な“埼玉都民”である。

埼玉県は中途半端でダサい?

ライターが埼玉県の記事を書くときに、真っ先に思い浮かぶのが“ダ埼玉”という言葉だ。1980年代に、埼玉県とダサイを融合させた言葉“ダ埼玉”という言葉を生み出したのはタモリさんである。タモリさんの影響力はすさまじく、時代を席巻した。現在、この言葉を使う人は少なくなった(知っている人は年齢が結構バレる気がするので要注意だ)。しかし、ダサい埼玉県というイメージはいまだに引きずっているようで、2014年に博報堂が発表した都道府県のブランド力調査でも、埼玉県は佐賀県と最下位を競っている

確かに埼玉県は北海道のような大自然もなければ、東京都のようなハイセンスな街並みもない。中途半端なポジションにある。ところが、「越谷レイクタウン」といった日本三大ショッピングモールは埼玉県にある。東京にはすぐに行くことができるので、流行の感度は決して低くない。

東京出身者が憧れる埼玉県

埼玉化する日本』(中沢明子・著/イースト・プレス・刊)の著者・中沢さんは、東京出身で埼玉県さいたま市浦和に移住したという経歴の持ち主だ。中沢さんは高校時代を原宿の竹下通りやキラー通りを散策できる環境で過ごし、渋谷や新宿の繁華街にもでかけるという、地方出身者からすると羨ましいほど、東京ならではのハイセンスな品々で溢れる環境で過ごした。

そんな人が書いた“埼玉論”なのだから、さぞかし埼玉をディスる内容になっているのだろうと思ってページを開いたらそうではなかった。目からウロコの埼玉像を提示してくれている。ある日、中沢さんは埼玉県にある「イオンモール与野」(現在のイオン与野ショッピングセンター)を訪れ、衝撃を受けたという。

「なにこれ! 超楽しい! 意外といろいろ揃っているし、気取っていないし、なんだか、ちょうどいい。いいなあ、埼玉にはこんな場所があって」

(『埼玉化する日本』より引用)

その衝撃が頭を離れず、次第に埼玉県に引かれていった。満を持して埼玉県民となった中沢さんは、現在の暮らしをこのように語っている。

「都会っ子ならではの生きづらさ」から解放され、適当な時に適当なだけ最先端をチョイスできる今の感じが「ちょうどいい」と感じている。

(『埼玉化する日本』より引用)

東京での生活に疲れた、けれども流行を追いかける消費スタイルを捨てたくない人にとっては、埼玉県は理想郷なのだといえる。

地方出身者にとっての理想郷

最寄り駅まではクルマで30分、商店街はシャッター通りなので買い物はイオンでするしかないという生活を体験してきた、典型的な地方出身者の私にとっても、埼玉県はこの上なく心地よい空間だ。東京に近い便利さに加え、地方で生活していた時のライフスタイルも両立できるためである。

私の故郷ではクルマがなければ生活できなかった。ところが私のマンションの近くには、徒歩5分で東京に直通電車が出ている駅前に行くことができ、かつてはクルマで行くしかなかったイオンのショッピングモールには徒歩3分で行くことができる。しかも映画館まで入っているのだ。

近所には「食べログ」で評価も高いイタリアンやおいしいスイーツの店もある。JAが運営する農産物の直売所もあり、地元の農家のおじさんが毎朝採れたての野菜を持ってきているのでいつも新鮮だ。

そう、埼玉県なら、東京と地方のライフスタイルを融合させた生活ができるのだ!

理想の暮らしは埼玉県にあった!

中沢さんは、埼玉県で生活するメリットをこう記している。

上昇志向のギラギラした日々は、成功への熱意がよほど強い人でないと、疲れて失速しそうだが、日常生活をほのかにキラキラさせて生きる日々なら、誰でも持続可能ではないか。そして埼玉はそんな「普通の人」が心地よく無理なく暮らせる、さまざまな装置と環境が一通り揃っている典型的な場所ではないか。

(『埼玉化する日本』より引用)

ふと思った。日常的に便利なショッピングモールで買い物ができ、それでいてたまにハイセンスな商品を買ったりできる非日常な生活も送れる、そんな環境は埼玉県にしかないのだ。中途半端でダサいと思われていた埼玉県の風土が、実は唯一無二の個性だったのである。

東京出身者にとっても、地方出身者にとっても居心地がよい埼玉県。なんて素晴らしいところなんだろうか。声を大にして叫びたい。埼玉県は日本の理想郷なのだ!

 (文:元城健)

埼玉化する日本

著者:中沢明子
出版社:イースト・プレス
埼玉には「何もない」。たいした観光地もなく、のっぺらぼうな郊外と、ありがちな風景が広がるファスト風土……。しかし、埼玉には三大ショッピングモールがある。また、ショッピングモールにはないような東京の高感度ショップにも、簡単にアクセスできる位置にある。つまり、マス消費も高感度消費も手に入れられる理想の地方であり、普通の人が心地良く無理なく暮らせる装置と環境が揃っているのだ。ちょっといい、ちょうどいい、それが埼玉。埼玉から見える日本の消費の行方を、埼玉在住の著者が愛と毒舌たっぷりに考察した一冊。

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