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耳ヲ貸スベキ日本語ラップの魅力

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みなさんは『ヒップホップ』と聞いて、どんなイメージをお持ちですか?
「ちょっと怖い」「不良の音楽」「お金とか女の歌が多い」などなどちょっとネガティブな印象をお持ちの方が多いかもしれません。しかーし! 2016年は、日本語ラップの歴史においても重要な年になること間違いなしなのですっ! そこで「全くヒップホップ聞いたことな~い」という人でも楽しめるように、日本語ラップを聞き始めて早15年の私が、独断と偏見でご紹介させて頂きます。

実はヒップホップ用語だった!?

「お前にディスられる筋合いはないけどな(あなたにけなされる筋合いはないです)」

「先輩、まじリスペクトっすよ!(先輩、尊敬します!)」

「お前の言うこと全然リアルじゃねぇな(あなたの言うことに信憑性がないですね)」

「この店、ドープだわ~(このお店、いいね)」

 

ディスリアルなど、日常でも知らず知らずのうちに使っている人も多いのではないでしょうか? これらの単語は、日本語ラップの歌詞でも多く使われています。『ヒップホップ・ドリーム』(漢 a.k.a. GAMI・著/河出書房新社・刊)でも、「リアル」を以下のように書いているのでチェックしてみましょう!

 

二〇〇二年、DABOは「恋はオートマ」という曲をリリースしている。そのミュージック・ビデオでDABOはあたかも車を運転しているように見せているが、あるインタヴューで自分は免許を持っていないと語っている。この時点でMSCのリアル・ルールからするとアウトだ。

(「ヒップホップ・ドリーム」より引用)

 

か、かっこいい…!この後、著者である漢 a.k.a. GAMIは『FREAKY 風紀委員』という曲で「おい、はきちがえんじゃねーよ」とDABOをディスり、ビーフ(楽曲を通じての悪口の言い合い)に発展しています。ビーフに発展すると、日本語ラップファンとしては「待ってました!」と、めちゃくちゃ盛り上がるのです。(すったもんだあった後、この2人は和解しています。)

※1 DABO:【NITRO MICROPHONE UNDERGROUND】という8人組グループのMCのひとり
※2 MSC:新宿を拠点に活動する、漢 a.k.a. GAMIの所属するグループ

 

フリースタイルバトルはすべて即興

ビーフだと「リリックを書き、トラックを作り、ビートに乗せて、リリースする」と時間がかかりますが、その場の対面で勝敗をつけるのが「フリースタイルバトル」です。漢 a.k.a. GAMIも出演しているテレビ番組「フリースタイルダンジョン(テレビ朝日)」をご覧の方はわかるかもしれませんが、フリースタイルバトルとは、8小節ごとに流れるビート(楽曲)に合わせて2ターンごとに交互で即興ラップを披露し、勝敗をつけるラップバトルです。

「どうせ台本あるんでしょ?」

と、思う方も多いかもしれませんが、そんなことはございません! なぜなら、どんなことでディスられるか本人たちはバトル中でもわからないからです。もしも舞台裏で、

「今日、お前の顔についてディスるわ」

「わかりました。じゃあ僕は、先輩の体型についてディスります」

と言った所でそれしか悪口は言えないですし、事前に作ったリリックを暗記する方が大変ですから! 勝敗のつけ方は、お客さんの拍手の大きさでジャッジする、審判がジャッジする、複数の審査員がジャッジするとバトルによって様々。

現在では、「高校生RAP選手権」や「口説きMCバトル」などに発展し、様々なフリースタイルを楽しめるようになりました。

 

そして今年、20年ぶりに「あの」伝説のイベントが帰ってくる!

日本語ラップの素晴らしさが少しでも伝わってくれればと思うのですが、いかがでしたでしょうか? この記事がディスられてしまったらとても悲しい気持ちになりますが、愛のあるディスはお受けいたしますっ!

そして、2016年7月『さんぴんCAMP』が遂に開催されます。私が、15年前、岩手の田舎町で日本語ラップを聞き始めた時、ビデオで見ていた伝説のイベント『さんぴんCAMP』…これが今年開催されるのです! 初めて開催された20年前と現在で、シーンにどんな変化があったか、そしてこれからのヒップホップドリームはどう進んでいくのか、今から楽しみでなりません。

【関連URL』
・フリースタイルダンジョン(http://www.tv-asahi.co.jp/freestyledungeon/)
・高校生RAP選手権(http://www.bs-sptv.com/bazooka/rap/)

(つるたちかこ)

ヒップホップ・ドリーム

著者:漢 a.k.a. GAMI
出版社:河出書房新社
ラッパー・漢 a.k.a. GAMIの初の自伝にして、日本のヒップホップシーンの壮絶なるリアルを描き出す前代未聞のドキュメント。
新宿のストリートで育ったMC漢が見た東京と日本の風景、強者ラッパーたちとの出会いや壮絶なるビーフ、凶暴な不良たちとのヒリヒリする関係、ラップの技術論からストリート・ビジネスとギャングスタ・ラップの真髄、そしてLIBRAとの繰り広げたビーフの最暗部までを赤裸々に語る。日本社会に蔓延る矛盾を飲み込み、善と悪の彼岸でヒップホップの〈リアル〉を追求する「ヒップホップの哲学」にして、ゼロ年代以降の日本ラップ史に重要な足跡を残す証言多数。ファン必携の書!

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