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MRJは久々にかっこいいメイド・イン・ジャパンの製品だ

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2013年に公開された「風立ちぬ」を最後に、宮崎駿氏は長編アニメ映画制作から引退を決めた。宮崎氏は有数の航空機マニアとしても有名だ。その偏愛ぶりはものすごい。「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」「紅の豚」などなど、印象的な空を飛ぶ乗り物が登場する作品は数多い。「風立ちぬ」はそんな宮崎氏の最後の長編作品にふさわしく、ゼロ戦の開発者である堀越二郎を主人公に据えた大作となった。

戦前は航空大国だった日本

第二次大戦で敗戦し、多くの犠牲者を出すことになった日本だが、ゼロ戦は完成当時、機動力の高さで他国を圧倒する戦闘機だった。堀越二郎をはじめとする技術者を有する戦前の日本は、世界屈指の航空大国だったのである。中島航空機をはじめとする有力メーカーがしのぎを削り、戦闘機や旅客機の開発を行っていた。敗戦を機にGHQから新たな航空機の開発を禁止され、一気に日本の航空機産業は衰退してしまった。その後、1965年には戦後初の国産旅客機であるYS-11の運行が開始されるも、事業としては失敗に終わってしまった。

現在、ANAやJALの旅客機を見ても、米国のボーイングか欧州のエアバスの旅客機がほとんどである。2006年にYS-11が引退してから、日本の空は海外製の旅客機が占めており、国産旅客機の開発は航空関係者の悲願でもあったのだ。

MRJが初飛行に成功!

そんななか、2015年に名古屋空港で戦後2機目となる旅客機「MRJ」の初飛行が行われた。YS-11はプロペラ機だったので、ジェット旅客機では史上初の国産機となる。初飛行の様子はテレビ中継もされ、大きな話題となった。そして、2018年にはANAが運用を開始する予定だ。

ここのところ、日本のモノづくりのすごさを紹介するテレビ番組や雑誌が増えている一方で、シャープが海外企業に買収されるなど暗いニュースが相次いでいる。MRJは日本モノづくりの底力を示している製品といえるだろう。小型機であるぶん、シャープでスマートな印象で、純粋に見た目がかっこいい点も魅力だ。子どもが憧れる飛行機のイメージそのものなのだ。

日本は再び航空大国となるか

日本人は良い製品を開発しても、海外に売り込むのが苦手と言われている。YS-11はその性能は評価されていたものの、販売戦略がうまくいかなかったことが失敗だった。MRJはこうした過去の反省点を検証して販売に力を入れている。既に400機以上の受注を獲得し、一定の成功を収めそうなプロジェクトといえる。

世界を飛べMRJ』(杉山勝彦、鈴木一義、奥田章順、杉浦一機、藤田公子、柿本与子、竹内修、週刊エコノミスト編集部・著/毎日新聞出版・刊)を読むと、関係者の期待の大きさが強く感じられる。航空機は非常に多くの部品で造られているため、部品の製造に関わるメーカーが群を抜いて多い。そのため、製造が軌道に乗れば大きな雇用が生まれるに違いない。景気回復の起爆剤になるか、今後に期待したいプロジェクトだ。

(文:元城健)

世界を飛べMRJ

著者:杉山勝彦、鈴木一義、奥田章順、杉浦一機、藤田公子、柿本与子、竹内修、週刊エコノミスト編集部
出版社:毎日新聞出版
国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナル・ジェット)の開発が進んでいます。2015年11月11日には名古屋空港で初飛行に成功しました。今後は型式証明を取得して量産体制に入ることを目指し、飛行試験を続けていきます。ただブラジルのエンブラエルなど強力なライバルも存在します。開発の現状と今後の課題を徹底取材しました。

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