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そろそろ、クスクスが流行る気がする。

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クスクス。最近、ちらほらとこの食材の姿を見かけるようになった。ビュッフェレストランの料理のひとつになっていたのを見かけたし、家の近くの小さなスーパーにも入荷していた。クスクスは、食べたらその優しいおいしさに魅了される不思議な力がある。この夏あたり、流行し始めるかもしれない。

ソロモン王が癒された味

私が初めてクスクスを口にしたのは、モロッコレストランだった。スパイシーな味付けの小さなつぶつぶしている白い食べ物で、口にすると、ほっとするような柔らかい味がひろがった。スパイスの味が中まで染み込んでいて、噛むと色々なハーモニーを奏でてくれる。「なにこれおいしい!」と、その時以来、年に一度はどこかのモロッコレストランまでクスクスを食べに行っている。

初めて口にして以来、どうしようもなくクスクスを食べたくなり、取り寄せたこともあった。なぜだろう、と不思議だった。たとえて言うなら、学校で疲れて家に帰った時に、親からもらった野菜入りの、あまり甘くないふかし蒸しパン。そんな感じの懐かしい美味しさがそこにあり、たまらなく口にしたくなる。つまり、癒される味なのだ。『クスクスの謎』(にむらじゅんこ・著/平凡社・刊)という本によると、昔、ソロモン王がシバの女王への恋煩いをクスクスで治したとも書かれているのだから、すごい。

万能食材、クスクス

私はしばらくこれを、中東の雑穀だと思っていた。後になって実はデュラム小麦の粒をさらさらの小麦粉でコーティングした、世界最小のパスタと言われているものだと知った。始まりがモロッコレストランだったので、暑い国の、スパイシー料理と一緒に出てくる食材、というようなイメージがあった(本によると実際、クスクスを主食にしている地域は、アルジェリア、モロッコ、チュニジア、モーリタニア、リビアだそうだ)けれど、今ではイタリアやフランスでも多くの人が食べているという。

フランスのクスクスは、中近東よりソースが甘めで、羊肉が載っているのだとか。もう、読むだけで美味しそうである。クスクスは変幻自在だ。サラダに混ぜたり、ごはんのように主食にしたり、スープの中に入れてボリュームを出したり、ケーキのスポンジ台のように軽く固めて、中や上にドライフルーツなどを加えてデザートにもできる。アイデア次第でさまざまに味わいを変えるし、色々な調味料にも合うし、とても不思議な食べ物だ。

非常食にもなるクスクス

クスクスはすぐ出来る。お湯をかけてフタをして5分蒸らせば、ほかほかしたご飯に似た食べ物ができるので、好みの味付けをすればいい。私が先日箱で買ったクスクスの賞味期限は1年半も先だった。お湯をかけると私の実感として3倍くらいには膨らむので、これは確実に非常時の保存食にもなるだろう。実際、アルジェリアでは地震に備えて保存している人もいるのだとか。

日本のカフェなどでは、雑穀のように、サラダに混ぜて出されることがほとんどだけれど、モロッコレストランでは、クスクスの上にスパイシーな野菜や鶏肉の煮物をどんとかけてくれるので、スープごはんのような感じでいただける。お米より10分の1くらいに小さい粒なので、お腹に入ると、すみやかに溶けて、体に温かみしみこんでいく気がする。本でも、フランス人が体調が悪い人にクスクスを勧める様子が出て来るから、体に優しい食べ物なのだろう。

ちなみに私は、クスクスを鍋で軽く煮ている。その時にはお湯の中にコーンか押し大豆を一緒に入れている。味付けは少しの塩とコショウとコンソメとターメリック。最後に油を少し入れる。簡単にできるので、実は記事を書きながら食べたくなって作ってしまった(調理時間10分未満)。これを肉のおかずの隣に添えるのが我が家流だ。サラダの量が足りない時にサッとふくらませることもできるし、家に1袋あると重宝することは間違いない。最近は日本でもクスクスのレシピ本が出版されだしたというし、やはり、もうすぐクスクスブームが来るような気がしてならない。

(文・内藤みか)

クスクスの謎

著者:にむらじゅんこ
出版社:平凡社
一般に北アフリカ発祥といわれるが、その起源は謎に包まれたままのクスクス。自由自在に姿を変えながら人の移動とともに国境を軽々と越え、土地の伝統に融け込む「食のなかの食?」へ。人々を魅了しつづけてきたその正体とは?国や民族、宗教の多様性を豊かさに変え、世界中で愛される粒パスタの魅力に迫る。

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