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「アイデア」っていうのはひらめきや思いつきのことじゃないんですよ

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みなさんは、アイデアのことをひらめきや思いつきだと思っていないでしょうか。何かアイデアを出そうとするときに、ウンウンうなりながら考えていたりしないでしょうか。

実は、私もそう思っていました。ジェームス・W・ヤングの書いた『アイデアのつくり方』という本を読むまでは。

ヤングによると

 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」

(『アイデアのつくり方』より引用)

なのです。たとえば、現代人のほとんどが持っているスマートフォン、これは「電話」+「コンピュータ」ですよね? ほかにも、今ではインフラのようになってしまっているメッセージアプリ「LINE」だって、「チャット」+「ショートメッセージ」のような発想から生まれたのかもしれません。また、少し前に話題になった「おにぎらず」は「おにぎり」+「サンドイッチ」といえるでしょう。

今では私の座右の書の一つとなっているこの本ですが、1時間もあれば読了できる短い本なので、「アイデアを思いつくのは苦手」というような人はぜひ一度手に取ってみてください。

「過去メモ」を「未来メモ」に転換しよう

さて、『すごいメモ。』(小西利行・著/かんき出版・刊)という本の中でも、この一節(「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」)は何度も繰り返し出てきます。著者の小西さんは「伊右衛門」「こくまろカレー」「ライザップ」など、誰もが知っている広告の数々を手掛けている、凄腕のコピーライターです。しかし、彼いわく、最初は仕事のできない、落ちこぼれのような会社員だったそうです。

メモの取り方を変えてからは、扱える仕事の量が格段に増え、仕事の質も高まりました。もちろん評価も上がり、結果的に独立し、会社を立ち上げ、収入も増えた

(『すごいメモ。』より引用)

とのことです。果たして、どんなメモを取るようにしたら、どんな効果があったのでしょうか。それが書かれているのが、この『すごいメモ。』です。

普段何気なくつけているメモが、後で読み返すと内容がさっぱりわからないという経験は、ほとんど誰にでもあると思います。それは、メモが“腐る”からであり、記憶力に頼らない、時間がたっても腐らないメモを書く技術が必要だと、小西さんはいいます。つまり、必要なのは「過去メモ」から「未来メモ」への転換で、これこそが、ビジネスを変えるきっかけになると力説します。後で読む“未来の”自分がわかるように書くから「未来メモ」です。

外部のハードディスクにデータを残すように、脳の外側にいつでも取り出せる情報を蓄積しておくことが大切で、それが「未来メモ」だといいます。情報が溢れるこれからの時代に必要な技術として、小西さんは3つの「未来メモ」を紹介します。

その3つとは、「まとメモ」「つくメモ」「つたメモ」です。もちろんそれぞれ「まとめる」「つくる」「つたえる」の略です。詳細は本書で確認してもらうとして、ちょっと羅列してみましょう。

まとメモ1 3つの「○」

まとメモ2 矢印「→」

まとメモ3 記号VS?○×☆⇔

まとメモ4 吹き出し

まとメモ5 デジメモ検索

つくメモ1 ハードルメモ

つくメモ2 マンガメモ

つくメモ3 ブラック三角メモ

つくメモ4 ホワイト三角メモ

つくメモ5 つなぎメモ

つくメモ6 あまのじゃくメモ

つたメモ1 『見出し』メモ

つたメモ2 ズメモ

つたメモ3 スピーチメモ

(『すごいメモ。』より引用)

……こうしてみると、だいたいなんとなくどんなメモなのかイメージができるのではないでしょうか、二つを除いては。

アイデアを生み出す「ブラック三角メモ」「ホワイト三角メモ」

その違和感のある二つ「ブラック三角メモ」「ホワイト三角メモ」こそ、新しいアイデアを生み出す技術なのです。アイデアを生み出すのは、センスや才能も多少はあるかもしれませんが、それ以上に、技術によるところが大きいのです。その技術の例が、この二つなのです。

その“さわり”だけ、お話ししましょう(あ、ちなみに“さわり”っていうのは、“話の最初の部分”という意味ではなく、“話の重要な部分”という意味です。これ、間違って使っている人が多いようなので気を付けましょう)。

「ブラック三角メモ」は、「不満」のカタマリから真の「隠れニーズ」を導く、画期的なメモ

(『すごいメモ。』より引用)

情報の「送り手(商品情報)」と「受け手(世の中の気分)」の真ん中にある、「共感」(=隠れニーズ)を顕在化させるのが、ブラック三角メモです。三角形を真ん中で少し重なるように左右に描き、左側に商品情報、右側にそのテーマに関する不満をできるだけたくさん挙げることで、その商品が解決できる隠れた不満を顕在化させることができるのです。このようにして生まれたのが「パチパチしないセーター」や「焼かないTシャツ」だそうです。ちなみに、「不満」からアイデアを生み出すので「ブラック」とのこと。

一方のホワイト三角メモは、

ターゲットの「好み」から「隠れニーズ」を探り、今の時代にウケるアイデアを生み出す方法

(『すごいメモ。』より引用)

ブラック三角メモと同様に、真ん中で重なる二つの三角形を描きます。左側にそのテーマに関連する情報をリストアップ、右側にそのターゲットとなる人たちの好きなことをリストアップします。たとえば、「銭湯に若い女性を呼ぶアイデア」を考えるとするならば、左側に銭湯の情報(コーヒー牛乳、富士山の壁画、ケロリンの洗面器などなど)、右側に若い女性の好きなこと(イケメン、壁ドン、おしゃべり、パンケーキなどなど)と書き込み、左右の要素をどんどん結び付けていきます(富士山に壁ドン、ケロリンのパンケーキなどなど)。仮に左右に10個ずつ要素を入れたら、10×10で、100個のアイデアが生まれるわけです。ほとんどは荒唐無稽なものになってしまうかもしれませんが、なかには、まじめに考えていたら絶対に思いつかないような、それでいて実現の可能性が高そうな斬新なアイデアも出てくるはずです。

 

本の最後には、当代きっての人気作家であり、小西さんの友人でもあるという伊坂幸太郎さんとの対談も所収しています。伊坂さんが創作の際にどのようなメモを使うのかという話で、あの巧妙な伏線や登場人物同士の関わりあい方など、“伊坂ワールド”がどのようにできあがっていくかがわかるという、ファンならずとも(私は伊坂ファンですけど)楽しく読めるオマケがついていて、ちょっぴりお得な気分にもなります。

というわけで、今まで仕事などでメモを取っていたものの、それを有意義に使いこなせていなかったというあなた、この本を読んでメモの取り方を見直してみてはいかがでしょうか。

(芥川順哉)

すごいメモ。

著者:小西利行
出版社:かんき出版
サントリー「伊右衛門」ほか、数々の名作CM・ヒット商品の裏に、この「メモ」がありました。著者は、この「メモ書き」で常時、数十もの案件を同時並行で進め、期待以上の結果を出し続けている。「型」となるのは、以下の3ポイント・情報をシンプルにまとめて整理する「まとメモ」・クリエイティブ発想を引き出す「つくメモ」・人に伝えて心を動かす「つたメモ」この3ポイントを中心に、著者の実際の「メモ」を交えながら、打ち合わせをしているとき、ひとりアイデアや考えをまとめているとき、誰かに説明・説得するとき、メモに何を書けばいいのか?を解説する。また、この本では、著者と親交のある「メモの達人」である作家・伊坂幸太郎氏との対談も掲載。

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