ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

ペ・ヨンジュンは、完璧なまでにペ・ヨンジュンだった

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

2004年4月4日。日本が一人の男性に釘付けになった日だ。そう、韓国の俳優、ペ・ヨンジュンが初来日し、渋谷公会堂でファンミーティングを開催した日だ。

僕は当時、ライターとして主にパソコン誌で原稿を書いていた。と同時に、デジタル一眼レフカメラを買って、独学ながら写真を撮り始めていた時期でもある。

パソコン誌ブーム終焉と韓流ブームの到来

2003年頃、大きな出来事があった。僕の一番のお得意先であった出版社が、一気にパソコン誌から撤退。それにより、収入が激減したのだ。

まあ、基本的にのん気なので、仕事がなければ遊んでましょうという感じだったのだが、やはり仕事をしないとお金が入ってこない(当たり前だ)。

そんなとき、日本は韓流ブームを迎える。韓国ドラマ『冬のソナタ』がNHKで放送されるということで、出版業界にも韓流ブームが巻き起こった。

とはいえ、僕は韓流ドラマなどは見たことがないし、興味もなかったのでブームに乗れず、相変わらず仕事がないのをいいことに、家でギターなど弾きながら歌う毎日を過ごしていた。

そんなとき、知り合いの編集者から連絡があった。

「今度、韓流のムックやるから、カメラマンやってくれませんか?」

当時、ちょっとだけ雑誌で写真の撮り方のような連載をしたり、デジカメのレビューをしていたので、写真が撮れる人だと思われたらしい。でも、実際には当時珍しかったデジタル一眼レフを買ったというだけで、そういう仕事が来ていただけで、写真がうまいわけでもなく、それほど自信があったわけではない。

でも、仕事はなんでも受けることをモットーとしているので、引き受けた。内容を聞くと、主に韓流スターが来日したときに行われる記者会見やイベントの撮影をしてほしいということだった。

ペ・ヨンジュンの完璧な振る舞い

デビュー戦は、NHKで行われた『冬のソナタ』放送開始記者会見。ユジン役のチェ・ジウが来ていた。

それを皮切りに、韓流スターが日本に来るたびに、あちらこちらに出かけて報道カメラマンと一緒に写真を撮りまくっていた。

そして、2004年4月4日。日本での人気が沸騰していたペ・ヨンジュンの初来日。渋谷公会堂で行われたファンミーティングには、ペ・ヨンジュンファンの女性が結集していた。

ファンミーティング終了後は、マスコミ向けにペ・ヨンジュンの記者会見が行われた。僕はカメラを構えて、客席からペ・ヨンジュンが登場するのを待ち構えた。

ステージ上にペ・ヨンジュンが現れた。僕は夢中でシャッターを切っていた。そして、あることに気が付いた。

「ペ・ヨンジュンは、ずっとペ・ヨンジュンだ」

ということに。

それまで、何人か韓流スターの記者会見などの撮影を行った。決めポーズをしているときやインタビューに答えているときは、テレビや映画で見るスターなのだが、ちょっと気を抜いた瞬間などはごく普通の人のような表情になることが当たり前だった。

しかし、ペ・ヨンジュンは違った。記者会見の約1時間、彼はペ・ヨンジュンだったのだ。ステージに現れてから、退場するまで、完璧なまでにペ・ヨンジュンだった。

僕は写真を撮りながら、いつどの瞬間を撮影してもペ・ヨンジュンであることに感動した。

今、当時の写真を見返しながらこの原稿を書いているのだが、300枚ほどのカットのうち、変な顔や気が抜けたカットがない。常に柔らかい笑顔を浮かべている。

記者からの質問に真摯に答え、予定時間をオーバーしても「もう質問はありませんか?」と気遣うペ・ヨンジュンを、今でも覚えている。

誠実で優しい人柄がそのままにじみ出ている

僕は、ペ・ヨンジュンを深く知っているわけではないので、当時は「この人はプロ意識の高い人だな」と思っていた。しかし、どうやらその認識は少し違ったようだ。

人はなぜペ・ヨンジュンに惹かれるのか』(康熙奉、河鐘基・著/収穫社・刊)に、このような記述がある。

何よりも、彼が持つ誠実さと優しさが、ごく自然な形で顔に出ている。(中略)ペ・ヨンジュンに関しては裏までのぞく必要はなさそうだ。彼はどこまで行っても、見た通りの人間である。

(『人はなぜペ・ヨンジュンに惹かれるのか』より引用)

つまり、ペ・ヨンジュンは僕が抱いた印象そのままの人間なのだろう。仕事柄、さまざまな芸能人や有名な方に会っているが、ペ・ヨンジュンのような人は、見たことがない。

現在、ペ・ヨンジュンはメディアにあまり出ていない。もともと寡作な人ということで、充電期間に入っているのだろう。

しかし、彼はいつでもペ・ヨンジュンのままだ。また、あの柔らかい微笑みを携えて現れ、ファンたちを楽しませてくれるだろう。

ペ・ヨンジュンは現在43歳。俳優として脂が乗り切ったときと言える。今度はどんな演技を見せてくれるのか。次の作品を気長に待ちたいと思う。

(文:三浦一紀)

人はなぜペ・ヨンジュンに惹かれるのか

著者:康熙奉、河鐘基
出版社:収穫社
★★★ペ・ヨンジュンの魅力を語り尽くす珠玉のエッセイ★★★
「愛してるっ!!韓国ドラマ」シリーズに連載された人気エッセイ「人はなぜペ・ヨンジュンに惹かれるのか」が電子書籍版に。ペ・ヨンジュンの素顔に長らく迫ってきた著者・康熙奉が、心の趣くままに綴った一冊。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事