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ゴルフの教科書かと思ったら人生の教科書で、やっぱりゴルフの教科書だった

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人生は、いろいろなものに例えられます。

野球、サッカー、テニス、100メートル競走、10種競技、マラソン、登山、将棋、囲碁、チェス、料理、エトセトラエトセトラ……。

そしてもちろん、察しのいい方は気づいていらっしゃると思いますが、その筆頭ともいえるものの一つが、ゴルフです。

「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』(学研プラス・刊)の著者、阪田哲男さんは、一般的な知名度はそれほどでもないかもしれません。しかし、アマチュアゴルファー、特に競技ゴルフをしている者にとっては“神様”のような存在といえるでしょう。

伝説のアマチュアゴルファー、阪田哲男

日本アマチュアゴルフ選手権に20歳で初出場し3位に入って以降、26年間でベスト10に19回。日本アマのタイトルにこそついぞ手が届かなかったものの、日本オープン(オープンというのは、プロもアマも出られる試合のこと)のローアマ(参加アマチュアの中で最も成績がいいこと)4回、関東アマ6勝ほか、100以上のタイトルを勝ち取っているというレジェンド級のアマチュアゴルファーなのです。

そんな、阪田さんの“神のご託宣”のごとく、ありがたき言葉が並んでいるのが、この本です。

週刊パーゴルフでの連載をまとめたというこの本。連載について、巻頭言の「はじめに」には

テーマは「ゴルフはうまくいかなくて当たり前」(中略)

上級者であれ、アベレージクラスであれ、誰もが「うまくいかせたい」と考える。だが、実はこの「うまくいかせたい」という気持ちがミスの原因になりやすいのである

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

と書いてあります。ほら、もう“人生”の話っぽくなってきたでしょ?

ミスショットを防ぐには“打つ前の準備”が大事

阪田さんが、最も力を込めて伝えたいと思っているのは、本書中でも繰り返し出てくる文言「打つ前にミスをしない」でしょう。第1章の最初の小単元のタイトルが、まさにこれであることからも、それが伝わってきます。

いくらいいスイングをしても、アドレスの向きが間違っていればボールは狙ったところに飛んでいかない。考え方(クラブ選びから状況判断、球筋の選択まで多岐にわたる)が間違っていても同様だ。私の見る限り、一般ゴルファーの10人中9人は、打つ前にすでにミスを犯している

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

つまり、ゴルフにおいて、ナイスショットができるかどうかは、打つ前の準備がうまくできたかどうかにかかっているというのです。うん、やっぱり、人生の話だ。物事がうまくいくかどうかは、事前の準備が大事なのだ。

新しい技術や考え方は試合でしか身につかない

また、阪田さんは

基本を知っていればミスショットした場合に原因を突き止めやすい

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

といいます。セットアップやショット前の準備において、自分の中にある“基本”に忠実であれば、ミスをした時には、スイングのどこかにエラーがあったことが簡単に突き止められるというのです。これも、やるべきことをしっかりやっておいた上で物事に臨んでいれば、失敗した時にどこに原因があったかすぐに把握できるという意味で、人生の話に置換可能ですよね。

さらに、向上を願うゴルファーに対しては、

新しい技術や考え方は試合で、しかも大事な場面で使えてこそ本物になる。本当に身につけたいものならば根気よく練習し、たとえ失敗しても試合で使い続ける勇気が必要なのである

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

と説いています。文章でも、デザインでも、企画書でも、プレゼンでも、営業方法でも、本番で試してこそ向上し、身についていくものと言い換えることに何のためらいもないくらい、この本のゴルフに対する考え方は人生に通じているように思えます。

「はじめに」の中に、

私はアマチュアであるから、プロのように技術を論じることはできない。しかし、アマチュアだからこその自分なりの流儀を伝えることはできる

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

とあるように、本書では、その半分くらいが、マネジメントや心構えに関する話になっていて、難しいスイング理論のような話はほとんど出てきません。つまり、ほとんどがいますぐにでも実行できる内容なのです。おそらく、100前後でラウンドするくらいの腕前のゴルファーでしたら、この本に書いてあることを実行するだけで、平均で5打くらい良くなるような気がします。

ゴルファーはもっと謙虚になっていい

もちろん、ゴルファー目線で読んでも、ハっとさせられることがたくさん書いてあります。
たとえば「第2章 コースとの闘い」の中の「冬のゴルフは3番ウッドを持つな」には

私は冬場になればフェアウエーから3番ウッドで打つことはまずない

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

とあります。日本最強レベルのアマチュアでさえ、“ライがよくないから”という理由で3番ウッドを使わずに、もっとやさしいクラブで打つというのです。「第1章 ゴルフの心」の「ナイスショットは1割でいい」でも、

多くのゴルファーはスーパーショットを追い求めてラウンドしているように感じる

(『「ゴルフ力」の鍛え方 完全版』より引用)

といいます。最初から「ショットはそこそこでいい」という割り切りがあれば、ナイスショットが出なくてもそんなに落ち込むこともないし、自分を責めるようなこともなくなります。ひいては、ラウンド中のメンタルコントロールにも役立つでしょう。阪田さんレベルのゴルファーですらこのような認識なのですから、一般的なアマチュアゴルファーが謙虚になってなりすぎるということはないはずです。

 

「ゴルフはうまくいかなくて当たり前」という意識を持ち、自分の力を謙虚に、客観的に見極め、事前の準備を怠らないことがゴルフにおいて少しでも成功の確率を上げることになるというのが、この本で阪田さんがいいたいことだと思います。でも、それってつまり、人生でも同じことがいえますよね? というわけで、ぜひゴルファーに限らずいろいろな人に読んでいただきたい本なのですが、さすがに、ゴルフをかじっていないとちんぷんかんぷんな内容が大半だと思います。そこで、運良く(悪く?)この文章を読んでしまった、ゴルフをしない人に置かれましては、いますぐにでもゴルフを始めて、この本を読んで、この本がいわんとしていることを理解して、ゴルフにも人生にも役立ててほしいと思う次第でございます。

そして当然のことながら、伸び悩んでいるアマチュアゴルファーにももちろんおすすめの1冊です。この本の考え方が身につくだけでスコアが良くなると思いますよ。

(芥川順哉)

「ゴルフ力」の鍛え方 完全版

著者:阪田哲男
出版社:学研プラス
アマチュアながら100勝以上のタイトルを手にした、ゴルフ界では誰もが認める真の実力者。ほとんどのミスは、打つ前に決まっているという、阪田流の独自のゴルフ理論のもと、多くの迷えるゴルファーのために上達のエッセンスを語る。

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