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保育園落ちても仕事を辞める女性はほとんどいないフランス

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「保育園落ちた」と嘆くブログが話題になっているこのごろ。私も子どもが小さかった頃に公立保育園に入れず、私立保育園に子どもを預けていたことがあるので、気持ちはとてもわかる。フランスでも保育園は激戦でなかなか入れないらしい。しかし、そのような状況下でも仕事を辞める女性はほとんどいないという。これはなぜなのだろう。

保育園落ちたらどうなるか

日本では公立保育園に落ちると私立保育園やシッターに託すことになるけれど、とても高い。給料のほとんどが保育料に消えていくと嘆く人もいるほどだ。これでは働く意味がない、と、復職をあきらめ、専業主婦となる人もいるが、私の場合、どうしても仕事をやめたくはなかったので、働き続けることを選んだ。実際やってみてわかったのだけれど、保育にお金がかかるのは大抵は数年間。小学校にあがればひとりで家に帰ってこれるし送迎シッターもいらなくなる。保育園を落ちても仕事を続けるためには、この数年間を耐え忍ぶしかないのが現状だ。

子育てをしながら仕事を続けることがなかなか難しいため、日本の出生率は1.42(2012年)にまで落ちている。エッセイ『フランス人は年をとるほど美しい』(ドラ・トーザン・著/大和書房・刊)によると、フランスの出生率は2.02と、意外なほど高い。さらに出産期(25~44歳)の女性の労働力率は日本が69.8%(過去最高数値)に対し、フランスは79.5%とかなり高い。保育園に入りにくいはずなのに、なぜこんなに働くママが多いのだろう!?

保育にお金がかからないフランス

本によると、フランスは育児に対する補助がヨーロッパで一番手厚いのだとか。育児手当は20歳まで出るそうだ。日本の児童手当は15歳まで。塾や受験など、教育費にお金がかかる時期で手当が打ち切られてしまうので、困っている保護者は私の周りにも何人もいる。さらに保育園ではなく「保育学校」というものがあり、3歳から誰でも入れて、その費用は無料であり、保育も18時過ぎまでなので母親は安心して働ける。つまり耐え忍ぶ期間はあったとしても、3年未満なのだ。

私は公立保育園に入れてもらえるまで、子どもを民間保育園とベビーシッターとにお願いして、なんとか乗り切った。ベビーシッターに1日預けると、1万円を超えてしまうこともあった。あまりに費用がかさむので、確定申告の頃に税務署に「ベビーシッター代を経費にすることは可能ですか?」と問い合わせたことがある。仕事を続けるためにかかったお金なのだから控除が切実に欲しかった。けれど、こんな風に突っぱねられた。「あなたの育児は、仕事とは直接関係ないことです。そんなことを言われたら親の介護費用がかかっている人たちも控除しなくちゃならなくなりますよ!」

子育て費用は税金控除

税務署の人が言った通り、皆、それぞれの事情を抱えて働いているのだと思う。係の人に言わせればそれは個人の事情。親御さんをヘルパーさんに頼む人も、赤ん坊もシッターさんに頼む人も、それはプライベートなことなので仕事の経費として認められないというのだ。そう言われ、あきらめて今日まで過ごしてきた。でも、フランスではベビーシッターを雇用した際は税金控除があると知り、ショックを受けた。認めてくれる国は、認めてくれるのだ。さらに国立大学の費用も登録料が数万円かかる以外は無料だという(日本では年間約54万円)。子どもにあまりお金がかからないから、出生率も高いのだろう。

日本ではシッターを頼むということを躊躇する家庭もいまだに多いけれど、フランスでは時には夫婦2人でデートに出かける時にもシッターを利用するし、そうした暮らし方が社会で認められているという。「毎日一生懸命頑張っている子育てを、時々少しお休みするだけの話です」(本書より)という考え方は本当にうらやましい。ついでに調べたのだけれど、ドイツもかなり育児に関する控除が素晴らしく、私立学校に進学した場合、授業料の30%が控除されるという。日本も育児に対する負担感を減らすためにも、こうした控除の充実が必要なのではないだろうか。

(文・内藤みか)

フランス人は年をとるほど美しい

著者:ドラ・トーザン
出版社:大和書房
年をとることは成熟すること。「自分がわかる」「智恵がつく」「自信がつく」「距離感が保てる」……成熟することで、女性は磨かれる。わがままに、自由に、細かいことは気にしない! 東京在住のフランス人が教える最高にHAPPYな年のとり方。

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