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「ニベもない」の「ニベ」って何?

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普段、何気なく使っている慣用句。会話の端々に入れたり、文章を書くときに使ったりすると、ちょっと頭がよく見えますね。

かといって、あまり多用するのも鼻についた感じがしてしまうので、さじ加減には注意しましょうね。

慣用句の本当の意味、知ってる?

僕のような文章を書く仕事をしていると、慣用句というのは割と数多く頭に入っているほうだと思います。冒頭の文章を見ても「鼻についた」「さじ加減」といった慣用句を、あまり意識せずに使っています。

しかし、これらの言葉の本当の意味はわかっているかというと、いささか疑問です。なんとなくの意味はわかっていますが、語源は何? と尋ねられると、答えられません。

まあ、慣用句なのでそんなものだと言われればそれまでですが、ちょっと気になってしまいますね。

例えば、このコラムのタイトルにしている「ニベもない」。意味としては、愛想がないといった感じでしょうか。

この「ニベ」って何でしょう?

「ニベ」とは接着剤のこと

答えられそうで答えられない語源』(出口宗和・著/二見書房・刊)によると、「ニベもない」は以下のように解説されています。

ニベが魚(イシモチと同類)で、昔からその浮き袋を材料に膠(ニカワ)が作られていたことがミソ。今の接着剤だ。ニベはニカワの代名詞。だから「ニベなく」となると、くっつかないこと。つまり、相手にされない、愛想がないこと。

(『答えられそうで答えられない語源』より引用)

なるほど。ニベとは接着剤だったのですね。接着剤がないから、お互いがくっつかない。だから愛想がないということになったのでしょう。

「おっとり刀」は「のんきなこと」じゃない

昔から、なんとなく意味がわからないのが「おっとり刀」です。よく「おっとり刀で駆けつける」というような使い方をされますが、なんとなく語感から「現場に後からやってくる」というような、大御所が最後に「やあやあ」と言いながら現れるといった、ちょっとのんきなイメージがありました。

しかし、実は違うようです。

あわてて飛び出すこと。大急ぎ。「押っ取り刀」と書く。つまり、急いでいるため、刀を腰に差すヒマもなく、手に取って駆け出す様子のこと。

(『答えられそうで答えられない語源』より引用)

想像していた意味と真逆でした。「おっとり」という語感だけで意味を想像してはいけませんね。

言葉の本当の意味を知ることは大事

言葉というのは、必ずその源となった出来事などがあります。それを理解すると、言葉の本当の意味というのが理解しやすくなります。

言葉をたくさん知っているということも大事ですが、その本質を知っておくということも同じくらい大事なこと。

特に、僕のように言葉を扱う仕事をしているのならば、なおさらです。

言葉というのは、時代によりその意味が変わってしまうあいまいなものですが、本当の意味を知っておくということは必要でしょう。

「のっぴきならない」「尋常じゃない」「すっぱ抜く」……。普段何気なく使っていますが、本当の意味は知らないかもしれません。

これからは、気になった言葉は語源を調べて、正しい日本語を蓄積していきたいと思います。

(文:三浦一紀)

答えられそうで答えられない語源

著者:出口宗和
出版社:二見書房
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