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悩んでいる子どもに効く魔法の言葉

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私の息子は中学2年の時に、不登校気味となった。登校時間になると吐いてしまうのだ。本人は真っ青な顔をしながらも「大丈夫」と言うのだけれど、大丈夫なわけがない。医者に診せようとしたらそれがまた大変だった。どの児童心療内科に問い合わせても、1ヶ月以上待ちだと言われてしまったのだ。

診察まで1ヶ月待ち!

これほど混み合っているだなんて。東京ではどれだけの子ども達が心の調子を崩してしまっているのだろうとショックだった。私の息子は毎朝吐いているというのに、1ヶ月もどうしたらいいというのだろう、と不安でパニックになりかけた。幸いなことに、児童専門ではなく大人も診療してる心療内科で診てもらえることになったけれど、それでも1週間ほど待った記憶がある。

なぜこのようなことが起きているかというと、児童専門の精神科医が非常に少ないからだという。子どもの診察は時間がかかるわりに診療報酬が少なめなので、あまりなりてがいないという記事を以前読んだこともあるけれど、SOSを発している子ども達が1ヶ月以上も苦しむ現状は、あまりにも気の毒で、なんとかならないのかと今でも思っている。

うつの子どもへのNGワード

近年、うつ症状を訴える子どもたちが増えているという。北海道大学傳田健三教授の調査(2003年)では12人に1人の小学生、4人に1人の中学生が抑うつ状態だった。うつ病の初発年齢は20代であると言われるなか、10代が増えてきているのは、その年代がかなりのストレスを抱えつつあるからに他ならないだろう。私の息子は「適応障害」と診断された。学校という居場所が辛いゆえの一時的な症状であり、環境を変えればあっけなく治癒する可能性があるとのことだった。実際、転校したら症状はけろっと治まった。

子どもをうつから救う! 家族のための症例別対応ガイド』(武田浩一・著/株式会社インプレスR&D・刊)には、うつを発症した子どもたちの症状と対応策が書かれている。いじめ、虐待、受験など、現代の子ども達を取り巻く状況はかなり過酷だ。中には自傷行為を繰り返したり、自殺を決行する子どもの姿もある。著者の武田 浩一さんは、ひとりひとり時間をかけて丁寧に話に耳を傾け、言葉かけを大切にしているかたのようだ。本には追い詰められ、元気を失っている子どもにかけてはいけない言葉も記されていた。それは「頑張れ」や「大丈夫」などという励まされている感じがするものだという。

うつの子にかけてあげたい言葉

では彼らにどんな言葉をかければいいのだろうか。本には魔法の言葉が載っていた。それは「なんとかなる」である。確かにこの言葉は気持ちが楽になり、なんだかほっとする。無理して頑張らなくてもよさそうだし、自分が決して大丈夫ではないことも受け入れてくれている。そして良くなるとも悪くなるとも言っていない。「なんとかなる」、そう、なるようになるのである。

沖縄の言葉で「なんくるないさー」という、いい響きの言葉があるが、それもまた「なんとかなる」と同じ意味だ。「なんとかなる」や「なんくるないさー」からは「このままじゃいけない、なんとかしなくては」などという焦りを感じない。ありのままの自分を認めてくれる、とても素敵な言葉なのである。そしてそこには「いつなんとかなるかはわからないけど、なんとかなるまで私はあなたに寄り添っているよ」というような温かさすら伝わってくる。

子どもだけではない

私の息子をいじめたのは、担任教師だった。担任による生徒いじめは実は少なくない。教師だって人間だ。合わないと感じる子どももいるかもしれない。でも、傷つけていいわけがない。本書の中にも学芸会の役決めで担任に「あなたは醜い役がぴったり」などと言われ、不登校に陥る女の子の話が出てきてとても残念に感じた。

子どもが不登校に陥った際、本来であれば保護者は担任と相談しながら子どもの回復を見守ることとなる。しかし不登校の原因が担任によるいじめだった場合、親は相談する相手を失ってしまう。そのため親はいじめ問題に孤独に立ち向かわなくてはならなくなってしまう。私も本当につらくて、出口の見えない真っ暗なトンネルの中を息子と這いずり回っているかのような気分がずっと続いた。本書にも親子での受診が必要なケースもあると書かれているが、あの頃、専門のカウンセラーさんに話を聞いてもらっていれば、私は必要以上にオロオロせず、「なんくるないさー」と息子に微笑むこともできていたかもしれないな、と今では思う。

(文・内藤みか)

子供をうつから救う!家族のための症例別対応ガイド

著者:武田 浩一
発行:株式会社インプレスR&D
本書は、子供の問題行動に悩む家族のための対応ガイドです。子供の不登校、粗暴な行為、自傷行為の裏には発見が難しい子どものうつ病が隠れていることが多く見られます。これは早期発見、早期治療がなによりの処方となります。いち早く”ヘルプサイン”=体の不調(頭痛や胃腸不良、息苦しさ、微熱、イライラ、無気力、小さな自傷行為など)に着目し、これに気づき、対応するためのポイントや、その後の対処法について事例ごとにコンパクトにまとめます。

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