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あなたを強くする「アニメの名言」

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人生を加速させる二次元名言集』(宮典希舟・著/DoCompany出版・刊)は、珍しいコンセプトの自己啓発本だ。

二次元は「平面」のことだが、この本では「マンガ」や「アニメ」や「ゲーム」のことを指している。それらは「つくりごと」であり、紙に印刷されたり液晶ディスプレイに映っているだけにすぎず、生身の人間に比べれば存在感は希薄だ。しかし実際には「マンガ」や「アニメ」や「ゲーム」を受容するなかで、たしかに心を突き動かされることがある。泣く人もいるくらいだ。二次元は、決してあなどれない。

『Fate/stay night』の名言

『忘れるな。イメージするのは常に最強の自分だ』

(『Fate/stay night』から引用)

ゲーム『Fate/stay night』(フェイト・ステイナイト)におけるセリフだ。テレビアニメ版『fate』では、第14話「理想の果て」に該当シーンが収録されている。

発言者は、作品内で「アーチャー」と呼ばれている壮年の男性だ。強大な敵に追いつめられた絶体絶命の状況下で、せめて他の仲間たちを逃がすために、体を張って、まさに死地へ向かおうとしている直前のシーン。

みずからの死を悟ったアーチャーが、主人公である衛宮士郎という少年に向けて、さらに語りかける。

外敵など要らぬ。おまえにとって戦う相手とは、自身のイメージに他ならない。

(『Fate/stay night』から引用)

このとき、ゲームのプレイヤー(アニメの視聴者)は「おいおい、いきなり自己啓発セミナーみたいなこと語りはじめたよ……」とは思わない。

なぜならアーチャーという人物は、主人公の士郎少年に対して、それまでは冷淡な態度をとっていたからだ。すべては士郎の将来を案じるがゆえの態度であって「もっと強い男になれ」というエールなのだ。アーチャーは、士郎のことを嫌っていたのではなく、あえて突きはなすことで成長をうながそうとしていたことを、このとき初めてプレイヤーが知ることになる。胸が熱くなるシーンだ。

アーチャーという心強い仲間を失った士郎は、そのあと悩みながらも、戦いに身を投じていくうちに「強さとは何か」を自覚していく。士郎が葛藤しながらも自分の弱さに打ち勝っていく過程は、どうすれば成長できるのかをわたしたちに教えてくれる。

『攻殻機動隊』の名言

社会に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ。それも嫌ならっ…!

(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』から引用)

テレビアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』におけるセリフだ。 第1話「公安9課 SECTION-9」に該当シーンが収録されている。

発言者は、草薙素子(くさなぎ・もとこ)という女性の武装警察官(機動隊員)だ。そして、派手な追跡劇アクションのすえに、追いつめられたテロリストが吐き捨てるように言う。

おまえら警察か…っ。もはや体制に正義は成し得ない!

(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』から引用)

このあと「社会に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら~」という草薙素子のセリフがつづく。発言者は公安警察の一員であり、そのまま受け取るならば、官憲による横柄な決めつけのように聞こえる。

しかし、物語が進行していくうちに、草薙素子という女性警察官が、誰よりも「生き続けるために激しい苦痛に耐えて自分を構成するあらゆる部分を変えてきた」人物であることを、わたしたちは思い知る。

『攻殻機動隊』の主人公である草薙素子は、全身を義体化した女性型サイボークなのだ。唯一、生身といえるのは「脳」だけ。それすらも「電脳化」という情報化処理がなされているため、草薙素子は「もともと草薙素子という人間は実在せず、もしかすると自分は草薙素子という仮想人格を与えられているだけの機械人形ではないのか?」という実存の不安をかかえながら生きている。

そんな草薙素子ですら頑張っているのだから、テロリストが「人生うまくいかないのを政府や他人のせい」にするのはお門違いというものだ。ちなみに、先のセリフ「それも嫌ならっ…!」につづく言葉は、素子がテロリストのこめかみに銃口を突きつけているとことから察せられる。

『BLACK LAGOON』の名言

先に紹介した『人生を加速させる二次元名言集』に触発されたので、わたしが好きな「二次元名言」をひとつだけ紹介させてほしい。

「正義」か……。
これほど万人に愛される言葉もないな。
すばらしい言葉だ。

……しかしな。
自分の力を行使するでもなく、他力本願で誰かの死を願う。
おまえが言う「正義」も、ずいぶんと生臭いぞ。
血だまりのにおいが鼻につく。

(『BLACK LAGOON』から引用)

テレビアニメ『BLACK LAGOON』(ブラック・ラグーン)におけるセリフだ。 第23話「Snow White's Payback」に該当シーンが収録されている。

発言者は、バラライカという名前の「ロシア人マフィア」だ。上記のセリフを述べたのは、激高したバラライカが、主人公である岡島緑郎(通称・ロック)に銃口を突き付けているシーンだ。

『BLACK LAGOON』を知らない人に、経緯をかんたんに説明しよう。ロックは「元商社マン」という経歴の日本人青年だ。会社の不正取引を揉み消すために東南アジアに派遣されたが、上司の裏切りにあって、ついに日本を捨てる決意をしたロックは、なりゆきで裏社会の仲間入りをする。

しかしながらロックは平和主義者であり、温室育ちをうかがわせる外見、そして内面すらも裏社会の人間になりきれていなかった。

あるとき、おなじ裏社会に属するロシア・マフィアの頭目バラライカ女史の「同時通訳者」として、ロックはひさしぶりに日本に帰ってくる。バラライカの目的は、東京の一角に拠点を築くことだった。

いちど見切りをつけた母国だったが、ひとときの帰郷を楽しんでいた岡島緑郎ことロックは、ひとりの少女に出会う。雪緒(ゆきお)というセーラー服の女子高生だ。

一方のバラライカ女史は、圧倒的な銃火器をもちいて、ロシア・マフィアの拠点候補地を縄張りとする「鷲峰組(わしみねぐみ)」を壊滅に追い込んでいた。なにを隠そう、岡島緑郎ことロックの顔見知りである女子高生は、バラライカ女史が滅ぼそうと目論んでいた「鷲峰組」組長・鷲峰雪緒だった。

フィクションにこめられたリアリズム

バラライカ女史が日本に来るまでは、雪緒はふつうの女子高生として暮らしていた。だが、ロシア・マフィアとの抗争に際して、組長代行をつとめていた幹部が命を失ってしまった。雪緒は、鷲峰組を存続させるためにやむをえず暴力団組長を襲名したのだ。バラライカ女史は、相手が誰であろうと容赦しないと言う。

面識のある雪緒を救うため、岡島緑郎ことロックは、マフィアの意思決定者であるバラライカ女史に直訴する。「すでに鷲峰組は弱体化している。なりゆきで襲名した少女組長を殺しても意味がない。あなたにも信じる正義があるだろう」と。

ロックが、マフィアに向かって「正義」を問うたのには理由がある。バラライカ女史が、旧ソ連の元エリート軍人であったからだ。かつては国家の大義をはたすために戦いに明け暮れる人生を送っていたが、あるとき「任務中に難民の子どもを助けた」という理由で、軍を追放される。そしてソビエト連邦解体をきっかけに、バラライカは裏社会へと身を投じた。

要するにバラライカ女史は「カチンッ」ときたのだ。会社から見捨てられて裏社会に流れてきた半端者で「通訳さん」にすぎないロックごときに、かつては国家の大義のために手を汚してきたバラライカ女史が「正義」を問いただされるのは不愉快にちがいない。

《自分の力を行使するでもなく、他力本願で誰かの死を願う。おまえが言う「正義」も、ずいぶんと生臭いぞ》

これは自己啓発の名言というよりも、どちらかといえば政治色の強い名言だ。世界各国で絶えない紛争や、わが国の防衛体制にまつわるアレコレをするどく言い表している。二次元の言葉は、決してあなどれない。

(文:忌川タツヤ)

人生を加速させる二次元名言集

著者:宮典希舟
出版社:DoCompany出版
「面白いッ!」
アニメを観ていて、このように感じたことはないでしょうか?魅力的なキャラクター、心を掴んで離さないストーリーの虜になったことはないでしょうか?
人生を加速させる二次元名言集では、あなたの心に響く二次元(アニメ・漫画・ゲーム)の名言を、様々な観点から噛み砕き、飲みこみやすい形に因数分解して紹介します。本書は四部構成です。第一章では、基礎となる人間力を底上げする「人生を加速させる二次元名言集」、第二章では、より豊かで幸福な人生を送るために必要な、感性というキーワードに焦点を当てた「豊かな人生のための二次元名言集」、第三章では、より艶やかで温もりのある人生を送るために、幸せな恋愛をするためのヒントを散りばめた「幸せな恋愛ができる二次元名言集」、最終章は、現代における、生きる力の象徴である仕事にフォーカスした、「最高の仕事ができる二次元名言集」をお送りします。
三次元(現実)をより加速させるための二次元、二次元をより楽しむための三次元です。二次元と三次元の正のスパイラルと、二次元の名言達との出会いが、あなたの人生を加速させんことを。FOR WISEMAN、未来の賢者達のために、アニメから学ぶ自己啓発、人生を加速させる二次元名言集をお送りします。

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