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アラサー女子の生きざまに影響を与えた、あのマンガ

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「月に代わって、お仕置きよ!」

という決めゼリフで知られる少女マンガと言えば、1990年代に大ヒットした『美少女戦士セーラームーン』だ。マンガを読んだことがなくても、そのタイトルを知っている人は多いはずだ。90年代当時の人気ぶりはすさまじく、連載されていた『なかよし』の発行部数を200万部にまで押し上げる原動力になった。その圧倒的な人気ゆえ、リアルタイムでマンガを読んでいた少女たちの生き方にも、大きな影響を与えているのだ!

ありのままの自分でいたい!

90年代に『セーラームーン』を読んでいた少女たちは、ちょうど現役のアラサー女子に該当する世代だ。『セーラームーン世代の社会論』(稲田豊史・著/すばる舎・刊)から、アラサー女子たちの特徴をピックアップしてみることにしよう。

『セーラームーン』に登場する月野うさぎが変身するときの掛け声がある。「ムーン・プリズムパワー! メイクアップ!」だ。メイクアップとはもちろん化粧のことだが、うさぎたち“セーラー戦士”は、戦隊ヒーローのように仮面をかぶったりはしない。基本的に素顔のまま、変身前のパーソナリティのまま戦っているのだ。著者はこう指摘している。

この「飾らない素の自分こそが魅力的なのだ」という強い自己肯定感は、セーラームーン世代に含まれる「ゆとり世代」の特徴と、良くも悪くも共通する要素である。

『セーラームーン世代の社会論』より引用

ちなみに、セーラー戦士たちは地球の存亡がかかったような戦いの最中でも、恋バナは欠かさない。女の子らしさを忘れないのだ。

女子が最前線に立って戦う

セーラー戦士は、月野うさぎを筆頭に複数名いる(時期によって変化するが、基本は5人)。アラサー女子たちは、彼女たちのチームワーク、すなわち戦いぶりから知らず知らずのうちに“仕事術”を吸収していると筆者は指摘している。

セーラー戦士たちは、タキシード仮面のようなサポート要員もいるが、基本的に女子だけで戦う。つまり、女子が最前線に立って活躍するのが『セーラームーン』なのである。男女混合のチームである戦隊ヒーローとは根本的に異なる部分だ。しかも、バブル世代の女子のように男子への対抗心で前線に立つのではなく、自立心に根ざした前線志向の持ち主だと、筆者は解説している。

結束力も見逃せない

さらに、筆者は5人のセーラー戦士たちの性格や趣味がバラバラであることにも注目している。小学校からの友人同士というわけでもない。前世からの宿命という要因によって、半ば強引にチームを組まされている。にもかかわらず、共通の敵を倒す目的のために一致結束しているのだ。

この柔軟性がセーラームーン世代の美点だとすれば、第三者によって突然編成されたプロジェクトチームで結果を出さねばならないというとき、彼女たちはきっとその真価を発揮してくれるだろう。

『セーラームーン世代の社会論』より引用

筆者はこのように、セーラームーン世代は普段の趣味嗜好がバラバラであっても、仕事に対する結束力は強いのではないかと解説している。『セーラームーン』から学んだチームワークが、アラサー女子を“できる”女子にしているのだ。

共通の興味が多かった90年代の子供たち

ところで、最近はインターネットの普及により、誰もが共通して持つ趣味、興味の対象が少なくなった。『セーラームーン』がヒットした90年代と言えば、少年マンガでは『ドラゴンボール』『スラムダンク』が人気で、オリコンでは小室ファミリーがミリオンヒットを連発しまくっていた。

現代の某アイドルは握手会のチケット目当てにCDを買う人も多いことから、当時の小室ファミリーとはファンの数が明らかに異なるだろう。共通の趣味がなかなかない、現代の若者たち。10年後くらいに、いまの10代は“何世代”と呼ばれるのだろうか。気になってしまった今日この頃だ。

(文・元城健)

セーラームーン世代の社会論

著者:稲田豊史
出版社:すばる舎
本書は、「セーラームーン世代」を分析する本です。『セーラームーン』に登場した敵の主張には、セーラームーンたちの「正義」が隠れており、さらにセーラーチームの日常は、現在のアラサー女子の仕事観や、女性観などに多大な影響を及ぼしています。また、月野うさぎを分析すれば、セーラームーン世代の恋愛観までもが浮き彫りに……。「『セーラームーン』ってこんなに深かったの!?」と思わずにはいられない読み応えたっぷりの1冊!

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