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月に1度、子どもにしてあげられること。

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ご近所のお母さんは、毎日1枚、子どもの写真をチェキで撮っていた。1年経つと365枚のチェキが溜まっていることになる。10年経ったら3650枚にもなる。少しずつ少しずつお子さんが大きくなっていくのがわかる、素敵なアイデアだと思った。時にはごきげんが悪くて泣き顔で映っている時もあるかもしれない、時には具合が悪くてお布団の中かもしれない。その大量のチェキに、お母さんの愛情もたっぷりこめられているのがわかる。こんな風に、親の愛情を何らかの形で定期的に伝え続けるには、どうしたらいいだろうか。

毎月欠かさずどこかに行く

子どものために毎日欠かさず何かをする、というのは、並大抵のことではない。忙しい時には、ついつい忘れたりサボったりもするかもしれない。中学の陸上部を7年13回連続日本一に導いた原田隆史先生による『カリスマ体育教師の常勝教育』という本がある。そこには日課の大切さが記されている。生徒達は毎日欠かさず何かをやり続けるということでメンタルを鍛えていったのだと。陸上のトレーニングではなく家でのお皿洗いなどでもいい、何かを毎日必ずやる、たとえ熱が出ていてもする、ということを生徒さんに課した。日課をクリアし、日誌に記す。それを毎日続けることで自分自身が少しずつ成長していることが実感できるのだ。

私はすぐに仕事で頭がいっぱいになってしまい、子どものために毎日手料理を作りたいと思っているのに、締め切りが大変な時は、つい出前やお弁当に頼ってしまう。子どものために毎日何かをするなんてとても無理、ああ自分はダメなお母さん、娘に何も愛情を示してあげられない……と嘆いていた時、閃いた。毎日がダメなら、毎週、ううん、毎月だっていいじゃないの、と。

マイ美術館という存在

私が決行したのは、絵描きさんになりたいと言う娘を、毎月1度美術館に連れていく、というものだった。私自身も美術館が好きなので、これなら苦もなく続けられるだろう、と思っていたら、それは間違いだった。忙しいと、あっ、今月行ってない!行く時間も作れそうにない!なんてことになる。そんな時は住んでいる駅にある小さめの画廊を覗いてお茶を濁したこともあったけれど、でも、彼女が中学に入学して3年経ったのだから、おそらく36の美術展を鑑賞してきたはずだ。

私は竹久夢二が好きで、一時は夢二作品を多く所蔵している弥生美術館・竹久夢二美術館の会員でもあったくらい通っていた。娘もレトロな雰囲気が好きなので、ここは2人のお気に入りである。少女漫画の付録などを展示した『日本の「かわいい」図鑑 ファンシー・グッズの100年』は本当に楽しかったし、夢二の作品にもたっぷり親しむことができてよかった。そういえばこの「フムフム」のライター一覧にある私のアイコンは、娘がiPadで描いてくれたものだけれど、どこか夢二の影響があるような気がしてならない(親バカだけど)。

子どもの未来に寄り添う

『東京のちいさな美術館めぐり』(浦島茂世・著/G.B.・刊)は、そんな私と娘には、とてもちょうどいい本だ。大規模な美術展にはない個性が106館分も詰まっている。毎月美術館に行くペースを崩さなければ、制覇するのに8年10ヶ月もかかる計算だ。ちいさな美術館はテーマ性があるものも多く、切手だけを集めた「切手の博物館」や、広告資料を集めた「アド・ミュージアム東京」などもある。どれに興味を示すかは人それぞれだけれど、ハマってマイ美術館として何度も通いたくなる気持ちは、こうしたこだわりのある美術館のほうが芽生えやすいと思う。ちなみに私たち母娘のお気に入りである「弥生美術館・竹久夢二美術館」も紹介されていた。大正ロマンに浸りたかったら、やっぱりここだと思う。

私の娘は絵が好きなので美術館だったけれど、動物が好きなお子さんなら毎月各地の動物園に行くのもいいと思うし、シェフになりたいお子さんなら、毎月美味しいものを食べに行くというのでもいい。子どもの夢に添って何かテーマを決め、毎月続けていくのは、とても楽しい。親の愛情が伝わっても伝わらなくても、多くの素晴らしい作品を観たことは、きっと娘の将来に役立つはずだ。そして毎月娘と共に美術館に向かったことは、私の大切な思い出になりつつある。子どものために何かしたいと思って始めたことだったけれど、実はこれは、親の心の支えにもなっているのだと思う。

(文・内藤みか)

東京のちいさな美術館めぐり

著者:浦島茂世
出版社名:G.B.
これまでのガイド書や雑誌では紹介しきれなかった東京近郊(関東近辺)の個性的な美術館ばかりを掲載。掲載美術館数はこだわりの106館。各美術館のミュージアムショップやグッズ紹介のみならず、隣接のカフェなどのプラスαの情報も豊富な写真とともに紹介。もちろん地図などのアクセスデータも全美術館掲載しています。全ページオールカラー。

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