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誰でもシャーロック・ホームズの推理力が身につく!

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僕は、小学生の頃に推理小説ばかり読んでいた。そのなかでも一番好きだったのが、シャーロック・ホームズだ。

あらゆる分野に精通した知識と、冷静な観察眼。そしてちょっと変わった性格で、次々と難事件を解決していく。子どもながらに、シャーロック・ホームズはすごい人だと思ったものだ。

何を見るのか、何を見ないのか

シャーロック・ホームズの思考術』(マリア・コニコヴァ、日暮雅通・著/早川書房・刊)は、ロシア出身の心理学者が、最新の心理学と神経科学の観点から、ホームズの思考術を考察している。

本書によると、ホームズの考え方は「科学的思考法」というもの。これは

対象物をごく普通に見ることから始まる。つまり、観察だ。

(『シャーロック・ホームズの思考術』より引用)

確かにホームズは、ワトソンをひと目見ただけでアフガニスタンから帰ってきたばかりの軍医であることを見抜いている。

ただし、何でもかんでも見ているわけではない。見てはいるものの、脳に入れるべき情報とそうでない情報を分類し、厳選したものだけを脳に記憶しているのだ。

なんでも記憶しておけばいいというわけではない。記憶したものを瞬時に思い出せなければ、それは記憶しているとは言えない。ホームズは、自分にとって必要な情報だけを、脳という「屋根裏部屋」にきちんと整理して保存している。

だから、誰もが知っているようなことを知らなかったり、景色や天気などに興味を示さないということがある。それは、そのときにホームズが「不要な情報」と判断しているからだ。

ワトソンはごく普通の人

ホームズの相棒であるワトソンは、元軍医。それなりに知性もあるし、人間的にもちゃんとした人だ。しかし、ホームズとは対照的。先入観を持ってしまうから、ホームズと同じものを見たり聞いたりしても、まったく見当違いの答えになってしまう。

本書では、人間の大半はワトソンのような感じだと言う。注意力が散漫で、目の前に現れたことを先入観込みで見てしまう。つまり、脳に入れる情報の取捨選択をすることができず、目の前に現れることをただ受け止めていくだけ。

確かに自分を思い返してみても、直近のことは覚えているが、数日前のこととなると思い出せないことが多い。自分で、必要な情報だけを記憶していくという自制ができていないのだ。

自制は鍛えることができる

しかし、自制は鍛えることができる。心理学者のロイ・バウマイスターは、自制を筋肉に例えたそうだ。つまり、鍛えることで強くすることができるのだ。

では、どうやって訓練したらいいのだろうか。効果的な訓練についてこう記述されている。

効果的な訓練のひとつは、状況を始まりから全部、何も知らない他人に対して説明するように、声に出すか紙に書いて描写することだ。

(『シャーロック・ホームズの思考術』より引用)

ホームズは、小説内でたびたび、ワトソンに自分の推理を話して聞かせることがある。まさにそのことを指している。

これには、「客観的に見る」という意味も含まれている。自分の思考を一旦別な形で出すことで、客観的に見ることができるようになるのだ。

よく観察し、状況を確認する

ホームズ的思考術を身につけるには、物事をよく観察し、必要な情報だけを記憶。そして、迷ったら状況を確認するという作業を日常的に行えるようにすればいいのだ。

僕は、結構これに近いことをやっている。

最近はテレビをほとんど見なくなった。弟や行きつけの飲み屋のマスターなどに「物書く仕事してるのにそれでいいのか」と言われるが、僕は別にバラエティ番組の原稿や、芸能人のゴシップ記事を書いたり、ドラマを見て論じたりする仕事はしていないので、まったく困らない。

それよりも、おもしろそうな本を探して読んだり、写真を撮りに出かけたり、酒場で誰かと馬鹿話していることのほうが重要だ。

また、ものすごい長い原稿を書いたときなどは、プリントアウトして校正する。これは、僕が紙媒体での仕事が長かったら習慣的にやっているという側面もあるのだが、パソコンのディスプレイで見ていると気付かない間違いなども、プリントアウトした紙なら気付くことが多いからだ。

あれ、もしかしたら、僕はシャーロック・ホームズの思考術をもう身につけているのかな? あ、すいません。調子乗りました。もう言いません。

(文:三浦一紀)

シャーロック・ホームズの思考術

著者:マリア・コニコヴァ、日暮雅通
出版社:早川書房
ホームズはなぜ初対面のワトスンがアフガニスタン帰りと推理できたのか? バスカヴィル家のブーツからなぜ真相を見出だしたのか? ホームズ物語を題材に、名推理を導きだす思考術を、最新の心理学と神経科学から解き明かす。注意力や観察力、想像力をアップさせる脳の使い方を知り、あなたもホームズになろう!

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