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俺は〝今この瞬間〟の大切さを本当にわかっているのか

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『Given~いま、ここ、にあるしあわせ~』というドキュメンタリー映画をご存じだろうか?  主役は三つの家族。共通しているのは、重い病気と闘うお子さんがいることだ。 両親や兄弟は、まず難病という事実を受け容れる。次に、それと闘っていく覚悟を決める。そして、日々を淡々と過ごしていく。その過程で、筆者を含めごく普通の生活を送っている人たちが忘れがちな、誰にとっても大切なはずのものが浮き彫りにされる。 それは、〝今〟という二度と来ない瞬間だ。

過去を悔やみ、未来を恐れるメンタリティ

人間が自分の力でかろうじてコントロールできる時間があるとすれば、それは〝今〟という瞬間しかない。どんな過去であれなかったことにはできないし、未来を自分の思いどおりにしようと思っても不可能だ。なのに人間は昔の失敗を悔やんだり、まだ何も決まっていない未来を恐れたりすることで〝今〟の価値を低めてしまいがちだ。 過去の時間軸における〝今〟が積み重ねられた結果が現在だし、〝今〟の行いが未来を創っていく。『Given~いま、ここ、にあるしあわせ~』は、こうした事実について改めて気づかせてくれる。

先を恐れる時間があるなら、今できることに充てる

あの時こうしていたらよかったとか、この先どうなるのだろうかとか、無駄な反省や必要のない不安にさいなまれる瞬間は誰にでも訪れる。筆者は、過去を振り返って悔やむことはあまりない。でも、先のことを思い悩んでしまう悪い癖がある。 会社勤めではないので、次の次、いやその次の仕事まで決まっていないと、本当の意味では安心できない。 言いしれぬ不安に襲われた時は、その時点で取りかかっている仕事をとにかくこなす。だから、実際の締め切りよりもずっと早く終わってしまうこともある。さしあたっての仕事をこなした後は、さらに次の仕事に手をつける。不安になっている暇があったら、その時できることをやって忙しくすることを心がけている。物理的に忙しくしていれば、先を恐れることに費やしてしまうかもしれない時間の絶対量が減っていくことを経験則的に知っているからだ。

あと半年しか生きられないとしたら、何をしますか?

こんな言い方はどうだろう。国内でも海外でもかまわない。すごく楽しみにしていた旅行が実現したとしよう。本当の楽しみは目的地に向かう電車や飛行機の中、いや、実際は乗るところから始まっている。行きたいところに行って食べたいものを食べ、したいことをしているうちに時間はどんどん過ぎる。 ある朝目覚めると、もう明日帰らなければならないことに気づく。やり残したことはないか。あと1日しかない。その瞬間に一番したいことは何だろう?
論理の展開がドラスティックすぎるかもしれないが、あと半年しか生きられないとわかったら、猛烈なスピードでしたいことが次々と思い浮かぶのではないか。それは、バケットリストという言葉で表現することもできる。誰にでも、やらずには死ねないと思っていることがあるに違いない。今という瞬間の大切さは、バケットリストの向こう側に広がっている。

してしまったことに対する後悔と、しなかったことに対する後悔

よく言われることだが、後悔にはしてしまって感じるものと、しないまま終わってしまって感じるものがある。後悔の大きさとしては、しないまま終わってしまったものに対してのほうがはるかに大きな気がする。何かをすべき理由。それは、その時の自分をどれだけ信頼できるかによって強くなったり弱くなったりする。もちろん、時間軸の中の〝今この瞬間〟という点を基準にして。

〝今の自分〟をもっと好きになろう

『こじらせない練習。―「今」に生きる人のための心理学』(石原加受子・著/すばる舎・刊)は、今の自分をもっと好きになるべき理由が記されている。そして、〝今〟という瞬間の主人公は自分自身でしかあり得ない。あれこれ考えず、自分という存在だけを意識する。

思考に囚われている状態のときは、「今に生きていません」。 どんなに考えても、「今に生きる」ことを忘れてしまっている状態で、こじれてしまった感情をゆるめることはできません。 『こじらせない練習。―「今」に生きる人のための心理学』 (石原加受子・著/すばる舎・刊)より引用

「今に生きる」とは、具体的にどういうことなのか。

この「今に生きる」というのは、「今を実感する」ということと同義語です。今を実感すると、心地よい感覚が起こります。それは、「今の私を愛する」ことでもあるからです。

そして、自分自身との間に信頼関係が築かれる。

今に生きているときに感じる、その感じ方そのものが「自己信頼の感覚」だと言っていいでしょう。

過去を悔やみ、未来を恐れるのは、今の自分を貶める行いにほかならない。だからこの原稿も、今という一瞬を大切に感じながら書かせていただきました。

(文:宇佐和通)

こじらせない練習。――「今」に生きる人のための心理学

著者:石原加受子
出版社:すばる舎
「どうせ私なんて」「私は悪くないのに」「やっぱり苦手」「どうしても許せない」――モヤモヤ・クヨクヨ・イライラ、なぜか複雑怪奇にこじれていく心をスーッとときほぐすレッスン。 ほうっておくと、どんどん溜まるネガティブ感情を上手に洗い流して、「今」の幸せを感じる能力を磨いていきましょう!

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