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〝いい人病〟を克服して楽に生きよう

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観察・分析フェチ。何かにつけてえり好みが激しく、何かにつけて細かい理屈をつけたがる。知識や情報に対して貪欲。失敗を我慢できない完璧主義者。実務的で、日々起きるさまざまな出来事に素早く対処できる。平和主義者。嫌と言えない。八方美人で、便利屋になりがち。
複数の星占いサイトの平均的なところをまとめると、〝おとめ座AB型〟の特徴はこんな感じになる。

俺はそんなに嫌われたくないの?

おとめ座AB男の筆者が気になるのは、最後の部分だ。〝嫌と言えず、八方美人で便利屋になりがち〟という言い方には、何か拒否して嫌われるのが嫌だから、大抵のことはしてしまうというニュアンスが感じられる。確かに自分は、場の空気をあえて乱すようなことはしないタイプだと思う。
飲み会でも、みんなが好きなおつまみを次々に言った後、それまでに挙がっていなければ小さな声で「唐揚げ…」と言い足すようなことが多い。却下されれば「ああ、そうだよね。もうたくさんオーダーしてるし…」と引き下がる。
大学時代も、代返やノート作成をよく頼まれた。なんとなく引き受けてしまうので、それが当たり前になってしまった。そして、一人っ子の筆者は子どもの頃から、両親と一緒にいる時も場の空気を読みながら過ごすのが普通だったような気がする。

高校受験のエピソード

都立高校の入学試験の翌日。たしか7時くらいだったと思う。父親が朝刊の1ページを握り締めて部屋に乱入してきた。「ほら、これ!」と言いながら見せる紙面には、英・数・国の解答が掲載されていた。
え!? 起きぬけに答え合わせかよ。「ああ…」なんていい加減な返事をしながら受け取って出て行くのを待ったが、まあ動かない。薄いリアクションが気に入らないのか、「いいの見つけてやったろ? な? いいの?!」と同意を求めてきた。
おいおい、がさつだな。ナーバスになってるのがわかんないのかよ。そんな気分じゃないし、そもそも頼んでないよ。
頭の中でそう言いながらも、語尾を下げ気味に「ありがとね」と言ったら、父は満足そうなオーラをまといながら出て行った。この時も場の空気を読み、自分の気持ちをそのまま出して父親の気分を害してしまうリスクを回避したわけだ。

相手の気持ちか、自分の気持ちか

2012年、ペンシルバニア大学の心理学教授によって、とある検証が行われた。対象となったのは心理学部の学生216人。3ドル渡された後、以下のような指示がアトランダムに与えられる。
・ユニセフに寄付してほしい
・そのまま持っていてほしい
・好きに使っていい
最大の満足を感じたと答えたのは、貰った3ドルをそのまま持っているよう言われた学生たちだった。検証全体をプロデュースしたジョナサン・バーマン教授は次のように語っている。
「人間が最も好むのは、自分本位の行動です。ただ、常に思ったまま行動するとは限りません。周囲からわがままだと思われるのを恐れるからです」
この検証では、渡された3ドルをそのまま持っていることが自分の意思を最大に反映できる行動であると考える学生が多かったようだ。
バーマン教授が検証を基に書いた『身勝手さのない私欲』という論文の概要に、次のような文章がある。
〝自分の行動に満足できない理由のひとつとして、自分の利益のために他者の利益を犠牲にすることに対する違和感が挙げられる。〟
ならば筆者は、〝せっかく〟―正確には〝たまたま〟だろうが―解答を見つけた父の誇らしい気持ちを犠牲にしたくなくて、本意とはまったく逆の表面的なお礼の言葉を報酬として返した、ということになる。

〝いい人病〟に気をつけろ!

何でもいい。自分が折れるシチュエーションを想像していただきたい。相手の気持ちを尊重しすぎた上で、「ああ、俺はなんていい人なんだろう」なんて思って満足することなんか、まずないはずだ。〝いい人感〟の持続時間はとても短いし、似たようなシチュエーションが繰り返し起きるうち、折れる人という役割を演じる人間が決まってしまう。
筆者にとって、 『「いい人」なんて、もうやめた』 (松原惇子・著/すばる舎・刊)は、刺さる見出しが満載の一冊だ。

・本心を隠して人から好かれてもむなしい
・自分は自分でしかないことを認めよう
・「わたしはわたし」と思えれば、ずっとラクになる
・相手を喜ばせるために、いい顔をしてしまう
・人の目を気にして生きている時間はない

ざっと挙げてもこれだけある。刺さる理由は、筆者が自覚も実践もできていないからだろう。そして、知らない間に忍び寄って来る〝いい人病〟について、まえがきから紹介しておきたい。

「あなたって、いい人ね」と言われて気分を悪くする人はいない。だが、そこに「いい人」の落とし穴がある。人から「あなたって、いい人ね」と言われているうちに、だんだんそんな気になっていき、気がつくと本当の自分を見失っている。
『「いい人」なんて、もうやめた』から引用

被害妄想だよ、と言う人もいるだろう。でも、ほんの少しでも思い当たるところがある人は、今すぐ〝いい人病〟の治療にとりかかろう。こんなにすばらしい処方箋があるのだから。

(文:宇佐和通)

「いい人」なんて、もうやめた

著者:松原惇子
出版社:すばる舎
人からよく思われたい、よく見られたいという思いから、偽りの自分を演じていませんか? いつも「いい人」でいなくては……と気張っていては、自分が疲れてしまいます。 人の目を気にすることなく、自分に正直に生きることで、あなたの心は自由になるはず。 今日からは、「いい人」を卒業し、「自分らしい生き方」をしましょう!!

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