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カナヅチでも海上自衛隊に入隊できるの?

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海の男はかっこいい。

心からそう思ったのは、海上自衛隊の観艦式を見学に行ったときだ。自衛艦の雄姿に圧倒されたが、現場で職務に当たる自衛隊員の姿に見入ってしまった。鋭い眼差しにドキッとさせられた。男に惚れるとはこういう体験なのかもしれない。 

泳げないのに自衛隊員になった友人

海上自衛隊はいわば海のプロフェッショナルである。そんな組織に所属する、隊員の赤裸々な生活やトリビアを知ることができる一冊が『海上自衛隊の中の人』(弐月匡・著/PHP研究所・刊)だ。

私の知人にも海上自衛隊員がいる。彼はものすごく運動神経が鈍く、ちっとも泳げなかった。そんな彼が自衛隊、よりによって海上自衛隊に入隊した。やっていけるのかと不安に思っていたが、もう10年以上勤務している。カナヅチでも務まるのだろうか?

過酷な訓練でカナヅチを克服!

もちろん、最初から泳げるにこしたことはないが、本書によるとカナヅチでも心配無用らしい。曰く「人間は必ず浮くようにできている」し、「徹底的にしごかれるので誰でも泳げるようになる」のだそうだ。そ、そんなむちゃな!

カナヅチの人に向けて、土日返上で練習させられる特別訓練メニューがある。できる人の何倍も練習しまくることで、いつの日か泳げるようになってしまうのだ。習うよりも慣れろ。海上自衛隊の教育はまさにスパルタ方式なのだ。

まだまだある、厳しい訓練

このくらいで驚くのは早い。隊員たちが口を揃えて“ヤバイ”と語る訓練は、まだまだあるのだ。

例えば、カッター訓練。カッターボートという全長約9mのボートに14名が乗り込み、ひたすら漕いで船を進めるというものだ。言葉で聞くだけなら大げさな訓練には思えないが、このボート、全員が均等に漕がなければ前に進まない。14名の息をぴったりにする万全なチームワークが重要なのである。

訓練中は座りっぱなしになるので、終わる頃には尻の皮が剥けてしまう。その日の夕方、風呂場には断末魔の叫び声が響き、夜はあまりの痛さに眠れなくなる人が続出するのだとか。想像するだけでも恐ろしい訓練だ。

約8時間、泳ぎっぱなしの遠泳

もっとも過酷な訓練が“遠泳”だ。テレビ番組でも取り上げられるので、知っている人も多いかもしれない。簡単に言えばひたすら泳ぐことだが、その距離がすごい。幹部候補生は約13キロを約8時間にわたって泳ぎっぱなしとなる。しかも、食事も海に浸かりながら摂らなければならないのだ。

泳ぎが得意で屈強な人であっても、何度も根を上げてしまうほどの苦しさらしい。それでも隊員たちは乗り越えられてしまう。入隊時はまったくのカナヅチだったのに、遠泳までの訓練をこなし、立派に泳げるようになっている人がほとんどなのだ。

愛に生きる人はかっこいい

自衛隊の訓練はその過酷さゆえ、なんて理不尽な……と思ってしまう内容が少なくない。しかし、理不尽さを乗り越えることで、苦境でもめげない精神が養われるのだ。それは、国を、そして愛する国民を守りたいという熱いハートがあってこそ成し遂げられるものなのかもしれない。

自衛隊員がかっこいいのは、情熱ゆえにあふれ出るオーラが全身からにじみ出ているからなのだろう。愛に生きる人はかっこいい。いつの時代も変わらない普遍的な魅力と言えるだろう。

(文:元城健)

海上自衛隊の中の人

著者:弐月匡
出版社:PHP研究所
ミリタリー&アニメ大好きなオタク・甲斐洋(かいひろし)、小柄だが明るく元気なムードメーカー・風間翼(かざまつばさ)、ガタイがよく豪快な体育会系・沖田蒼(おきたあおい)。幼なじみだった三人は、動機も方法も三者三様で海上自衛隊に入隊していた。そんな彼らが、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」で、奇跡の再会を果たす――! 3人は自衛官として厳しい訓練に明け暮れながら、運命の恋人を探し求めたり、オタクライフを満喫したりと大忙し! 海上自衛官たちのリアルすぎる日常(?)が、いま、明かされる――! 海上幕僚幹部広報室協力! 宮城地方本部の有名すぎる広報担当サト吉氏も協力!

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