ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

国語辞典にまつわる『日本エレキテル連合』問題とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

紙の国語辞典を所有していない、あるいは、所有しているけれどインターネット検索で済ましてしまう。最近そんな人が増えているのではないだろうか?

いまや、漢字や語句の意味を調べるならインターネットで検索したほうが早い。
ちょっとした計算をしたければ電卓専用機を探すのではなく肌身離さず持ち歩いているケータイやスマホの内蔵電卓を使う、それと同じような感覚。

けっして、紙の国語辞典が不便なわけではない。コンピュータやインターネットがあまりにも身近で便利になりすぎたのだ。

つくっている人たち

国語辞典を使うとき、まっさきに目につくのが「金田一京助・春彦」両先生の名前だ。ありとあらゆる国語辞典に顔を出し、あの名探偵と同姓であるというミステリアスさもあいまって、多くの学生たちに強い印象を与えてきた。

しかし、国語辞典は金田一ファミリーの独占事業ではない。小説や漫画を作るためには編集者が欠かせないように、国語辞典にも多くの編集者が携わっている。

知られざる辞書編集の世界

小説『舟を編む』は、ある出版社の辞書編集部が国語辞典を10年以上かけて完成させる物語だ。原作は本屋大賞受賞作であり、松田龍平と宮崎あおい主演で映画化された。

辞書や辞典には正確さや公平さを求められるので、お堅いイメージがある。しかし、商業出版社が発行しているだけあって、各社の辞書編集部は少なからず「競争心」や「遊びごころ」を持ち合わせている。

遊びごころの極北は、かの有名な『新明解国語辞典』だ。辞書編集者の創意工夫によって、読みたくなる国語辞典に仕上がっている。

『新明解国語辞典』における「恋愛」の語釈
nihongo_renai
(『日本人ですが、ただいま日本語見習い中です!』から抜粋)

「おなら」の語源は?

辞典編集部を扱っているものとしては『日本人ですが、ただいま日本語見習い中です!』という漫画がある。先行作品である『舟を編む』を補足するような辞書ウンチクを含んでおり、とくに語源や新語にまつわる記述が興味ぶかい。

たとえば『銀ブラ』は、もともと「銀座でブラジルコーヒーを飲む」という意味であり、「屁」のことを『おなら』と言いはじめたのは室町時代の女性たちだったという。
nihoigo_inyo_01
(『日本人ですが、ただいま日本語見習い中です!』から抜粋)

『日本エレキテル連合』問題とは?

国語辞典は、数年に1度の頻度で改訂する。辞書編集部は、いわば改訂に向かって突き進んでいるわけだ。
この国では、毎日のようにあたらしい「ことば」が生まれている。次の改訂版のなかに流行した新語を加えるか否かについて、辞書編集者たちが日夜議論を交わしているという。

昨年、わが国において『日本エレキテル連合』が大ブレイクを果たし、あろうことか「ダメよ~ダメダメ」というフレーズが2014年の流行語大賞になってしまった。

この非常事態を受けて、各社の辞書編集部は大混乱に陥っているかもしれない。
なぜなら「ダメよ~ダメダメ」というフレーズを連呼している『未亡人朱美ちゃん3号』がダッチワイフだからだ。

じつをいうと、書店に並んでいる中型サイズの国語辞典に「ダッチワイフ」の項目が収録されているものは、ほとんど見当たらない。

もしも『日本エレキテル連合』がこのまま一発屋で終わることなく、なにかの間違いで歴史に名を残すような国民的お笑いコンビになってしまった場合。ほとんどの国語辞典に「ダッチワイフ」の語釈が掲載されていない状況が発生するわけであり、ヒジョーーーにマズイことになる。なぜなら、我が国における日本語辞典の歴史において政治的空白ならぬダッチワイフ的空白が発生するからだ。

日本エレキテル連合は芸能界で生き残れるのか? 2015年以降の改訂作業においては、各社の辞書編集部員の「お笑い大局観」が問われることになりそうだ。

(文:忌川タツヤ)

日本人ですが、ただいま日本語見習い中です!

著者:学研辞典編集部(監修) ふじいまさこ(絵)
出版社:学研教育出版
辞典編集室って一体どんな仕事をしているの・・・? 編集部にアルバイトにやってきた大学生の花川ミホと楽しい辞典編集部の人々を通じて、”日本人でも知らなかった日本語”を、楽しく学べるコミックエッセイ。日本語がもっと知りたくなる!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事