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英語なんてこわくない・・・はず・・・だ!

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中学生になった頃、海外に向けて、しょっちゅう手紙を書いていた。
幼なじみの男の子がアメリカに行ってしまったからだ。
何か複雑な事情があるらしく、突如、転校し、姿を消したと思ったら、いきなりエア・メールが届いたのだ。お母さんや兄弟と別れて、一人でアメリカに渡り、お父さんの家族と暮らしているという。
「寂しいから手紙をちょうだい」と、言ってきたので、私はせっせと手紙を出した。
彼にクラスメートのことを知らせたかったこともあるが、エア・メールを出すのが、珍しくてたまらなかったのだ。
赤と青で縁取られた封筒にair mailと綴り、郵便局に持って行くとき、なんだか自分が急に大人になったような気がした。

英語の手紙は気が重い

最初のうち、彼もアメリカでの生活を楽しそうに綴ってきた。
壮大な景色をバックにした写真も送ってくれた。
けれども、文通は突如、終わった。
彼が英語で手紙を書き始めたからだ。日本語を忘れてしまったのだろうか。
いや、それともアメリカでの新しい世界に夢中になって、日本のことを思い出す間もなかったのかもしれない。
もし、あのとき、私が片言でも英語の手紙を書いていたら、文通は続いていただろう。
英語の勉強になるし、書こうかなと思ったこともある。
けれども、面倒くさくてやめてしまったので、彼が今、どこで、何をしているのか、まったくわからない。

再びの英語

私は手紙を書くのが好きだ。
けれども、英語の手紙となると、にわかに筆を持つ手が重くなる。
なんだかテストされているような気分になるからだ。
それでも、いっとき、必要に迫られて、やたらと英語の手紙を書いていたことがある。
独学で始めたインドネシアの絣(かすり)の研究が面白くてたまらず、その資料集めのために、アメリカやイギリスの博物館にじゃんじゃん手紙を書いたのだ。
どうしても返事が欲しかったので、返信用の封筒や切手も用意して、同封した。
そうでなければ、どこの誰ともわからない私に、返事をくれるはずもない。
文面は英語ができる人になおしてもらい、それをコピーして送った。

英語はできて損はない

もっとも返事など来ないと覚悟していた。
世の中そうは甘くないと、わかっていたからだ。
ところがである。
来たのだ。返事が。ほとんど全部、返信があった。
「あなたの英語の手紙の書き方には問題がある」と、添削までしてくれた方もいた。
そして、私が知りたい資料について、わかりやすい英語で説明してくれた。
中には、パンフレットを送ってくれたところまであった。
このときである。
英語はやはり私の大きな力になると知ったのは・・・。

スピードが命

最近は、フェイスブックやメールで、さらに海外との距離が縮まっている。
けれども、英語での投稿やメールは、なんだか恥ずかしいし、気が重い。
英語でウォールをたてたり、メールを送ったりするのが億劫でならない。
かつて、できもしない英語で手紙を書きまくっていた日があったなんて、うそのようだ。
そんなときである。
この『Eメール・手紙で使う英語表現集』(石橋和代・著/ベレ出版・刊)という本に出会ったのは・・・。

短くても間違いだらけの英文でも、出したいと思ったときにすぐに出した方が、気持が伝わるのではないかと思います
(『Eメール・手紙で使う英語表現集』より抜粋)

この言葉を頼りに、私はいくつかの基本文を抜き書きし、組み合わせ、外国人の知り合いに返信してみた。
すると、すごい早さで、また返信がくる。
メールやフェイスブックは手紙と違って、スピードが早い。
瞬時に戻ってきたりするが、それだけに、お喋りをしているような楽しさを味わえる。
実は、最近、このコラムに興味を持って下さった外国の方がいて、英語で質問が来るので、必死に返信しているうち、英語をこわがってばかりいてはいけないなと思うようになった。

定食からアラ・カルトへ

赤と青の縁取りのあるエア・メールは出さなくなったけれど、私の書いた英語の返信が空を飛ぶ様を思い描き、当時と変わらぬときめきを感じている。
例文を組み合わせて書く英文は定食メニューのようかもしれないが、少しずつ少しずつ、自分の言葉を組み合わせていれば、きっとフルコースをアラカルトで頼むような、個性的な、私にしか書けない英語の返信ができるはずだ。
たとえ短くても、間違いだらけであっても、出さないよりはましだと呪文のように唱えながら、私は返信を続けている。
少しずつでも続ければ、基本文例を自分の文章として使えるようになると信じているからだ。

(文:三浦暁子)

Eメール・手紙で使う英語表現集

著者:石橋和代
出版社:ベレ出版
Eメールの普及によって、外国の友人・知人とのコミュニケーションも、ずっとタイムリーで手軽になりました。そこで、英語でももっと気軽に『近況報告』や『季節の便り』『お礼状』などが書けるよう、シンプルで幅広く活用できるフレーズを多数収録しました。組み合わせて書き写すだけでなくきちんとした<気持ちが的確に伝わる>文章を気軽に書くことができます。

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