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オーダーメイド感覚の恋愛も可能にする〝予測分析〟の話

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野球好きなら、2016年ペナントレースの行方。今年に限るなら、日本がリオ・オリンピックで獲得する金メダルの数。ぐっと身近なところで言えば、ネットフリックスで今の気分にぴったりな映画が見つかる確率。あるいは、必要な人には必要かもしれない、自分が離婚する可能性の数値化。
すべてに共通するのが、Predictive Analytics=予測分析というキーワードだ。

データが仕切る合コン

東京都目黒区に本社を構える株式会社Chotchyは、〝人工知能コン〟というちょっと変わったコンパを展開しているITベンチャーだ。参加者はスマホを手にイベントに臨み、 まず所定のフォームに自分のプロフィールを入力する。イベント開始の瞬間から、参加者同士の検索およびお気に入り指定回数がデータ化され、それがスマホ経由で人工知能に流し込まれ、リアルタイムで分析が行われる。
そして人工知能がベストマッチと判断した参加者のプロフィールが自分のスマホに送られてきて、その場ですぐに相手と話をすることができる。
嗜好性や趣味といった基本的な要因がすでに細かく分析されているので、さぐりの会話も必要ないし、外見重視で無謀なアタックをかけ、入り口で拒否られることもない。
過去開催された数回のイベントでのカップル成立率は25パーセント。4人に1人はカップルになれるのだ。マジョリティの75パーセントの人たちは辛い思いをすることになるけれども、便利で確実な恋のワンストップ・ショッピングであることにかわりはない。

ゲーム理論は恋愛にも当てはまる

そこで、考えた。ひと昔前、さまざまな媒体で取り上げられていたゲーム理論は、恋愛にも当てはまるのだろうか?
ゲーム理論というのは、こういうことだ。3車線の高速道路を走っていたとする。車の量が増えて、そろそろ渋滞が始まりそうだ。隣の車線を見ると、少しだけ流れが良く見える。今のままの車線に留まっていた方がいいか。それとも、隣の車線に移った方がいいか。
ゲーム理論の基本的性質は、戦略的な判断を迫られる状況で用いられる〝最良の解決策〟を得るための方法論だ。
適用できるのはポーカーやチェスなどのゲームだけではない。投資や顧客管理、自分に最適の仕事の選択、そして実際の戦争の局地戦での戦術にも転用できる。そしておそらく、恋愛にも。

予測分析の三大要素

人工知能コンで用いられるのは、〝ページランクアルゴリズム〟を応用したシステムだ。グーグルが開発したウェブページの重要性を判断するための手順で、複数の検索サイトで使われている。
ただ、それだけではない。ゲーム理論、ページランク、そしてインターネットの普及と共に生まれ、増え続けるビッグデータ(大量のデジタルデータ)を有機的に組み合わせて構築されたのが、冒頭で紹介した予測分析という手法だ。この手法には3つの構成要因がある。
予測モデリング=純粋な推測よりも効果があり、正確ではなくても確かな価値をもたらす予測を立てる過程。
機械学習=統計学とコンピューターサイエンスにもとづく演算と試行錯誤を経て、洞察を積み重ねながら予測能力を高めていく過程。
データ採掘=たとえば大量の顧客記録を機械的に処理しながらデータを巻き上げ、全般的に当てはまるパターンを学習する過程。
ここで紹介した3つの要素について掘り下げ、日常生活レベルの出来事に当てはめてわかりやすく説明してくれるのがヤバい予測学 (エリック・シーゲル・著/CCCメディアハウス・刊)だ。

予測分析でこんなことも浮き彫りになる

本文に示されている中で、面白いと思った実例をいくつか紹介しておく。

・出会い系サイトで「魅力的」と評価されることが多い人ほど、実際はあまり関心を持たれない
・ベジタリアンは飛行機に乗り遅れることが少ない
・小論文の成績を予測する手法が進化して、機械による採点が可能になりつつある
・米国税庁は、あなたが税金をごまかすかどうかを予測する
・オムツを買ったらビールを買う
・マックのユーザーは料金が高いホテルに泊まる
・幸せは伝染する
『ヤバい予測学』より引用

「本書は、定量的な分析をとおして人間の振る舞いを予測しようという1冊だ」
著者のシーゲルさんは、この本をこう定義している。そう。上で紹介したようなことまで明らかになるのだ。序文に、次のような文章が記されている。

要するに、私たちは予測可能な社会に生きている。予測可能な社会で成功する最善の方法は、予測モデルの目的と技術と限界を理解することだ。そして、そのための最善の方法は、このまま最後のページまで読むことだ。
『ヤバい予測学』より引用

始まったばかりの2016年をうまく乗り切っていくために、まずはこの本を最後まで読んでみることにする。

(文:宇佐和通)

ヤバい予測学

著者:エリック・シーゲル
出版社:CCCメディアハウス
予測分析(プレディクティブ・アナリティクス)とは、膨大なデータ群を活用して人々の行動を予測すること。 マーケティングから医療、保険まで多くの分野に導入され、早期退職は寿命を縮める、ベジタリアンは飛行機に遅れないといったことまでわかる。 本書は第一人者が書いた、エピソード満載の一般向け読み物。

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