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クリスマスは愛を叫ぶ日

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クリスマス・シーズンを迎えた。
恋人とうっとり過ごす人もいるだろう。
子供達へのプレゼントをどうやって渡したらよいのかと、悩んでいるパパとママも多いかもしれない。
今日こそ、稼ぎ時だとハッスルするレストランの支配人もいるに違いない。
多くの人にとって、クリスマス・イブは、大切な日。
きっと何か素敵なことが起こると、期待をもって過ごす特別な日だ。

クリスマスは忙しい

かつて息子が幼い頃は、私も一応、母親だから、クリスマス・イブまでの日々はめまぐるしく、忙しかった。
クリスマス・ツリーを飾り、生誕シーンのお人形を出し、ケーキを注文する。ごちそうの下ごしらえもしなくてはならないし、プレゼントも買って、隠しておかなくてはいけない。
イブの当日は、興奮して、なかなか寝つかない息子に、「ぐっすり眠らないと、サンタクロースは来ないことになっている。昔からそういう約束になっている」などと、言ってる自分でもよくわからない理由をこねくりまわし、脅しをかける必要もあった。
息子はサンタさんが入りやすいようにと、窓を開け放って寝るので、風邪をひかないように、そして、起こさないように、こっそりと窓を閉めて、隠しておいたプレゼントを枕元に置かねばならない。
毎年、こそ泥みたいな気分になった。

ウキウキ感がとまらない

クリスマス・シーズンを迎える度によく聞く台詞がある。
「日本人はキリスト教徒でもないのに、どうしてこんなにクリスマスを祝うことに夢中になるのだろう」ということだ。
確かに・・・。
日本人のメインイベントであるお正月が控えているのに、クリスマスはとりわけ一生懸命に心をこめる。
おかしいと言われればそれまでだが、町がクリスマス・イルミネーションで輝き始めると、心がウキウキしてくる。それは理由のない高揚感で、「ダメと言われても仕方がないじゃない? 嬉しいんだからいいじゃない?」と、言いたくなった。

クリスマスツリーはこういうものだったのか!

私のウキウキ感は、クリスマスツリーを見ると、頂点に達した。
門松よりも、クリスマスツリーの方が、心に響く。
なぜだろう。
不思議である。
長年、感じてきた不思議を解決したくて、『クリスマスの文化史』(若林ひとみ・著/白水社・刊)を読んだ。
実にこまやかにクリスマスの意味や歴史、人がなぜクリスマスにこだわるのかが、詳しく書かれている。
クリスマスツリーについても、「フムフム、なるほど」と、うなりたくなるような説明があった。

今日のようなクリスマスツリーは、十九世紀ドイツ、しかもプロテスタントの地域を中心に形作られたものである
(『クリスマスの文化史』より抜粋)

さらには

クリスマスツリーは、キリスト教以前の異教時代に、冬至に魔除けとして常緑樹を家の内外に飾った習慣にその起源を持つ
(『クリスマスの文化史』より抜粋)

フムフム、なるほど。

悩みを払拭するクリスマスの力

クリスマスツリーばかりではなく、イエス・キリスト生誕シーンやサンタクロース、そして、クリスマスソングからクリスマスケーキまで、クリスマスに関することが網羅して、書かれている。
それもそのはず、著者の若林ひとみは、クリスマス研究家だ。
ドイツに留学したとき、カルチャーショックを受けて、留学しない方がよかっただろうかと悩んでいた頃にクリスマスに遭遇した。町が急に華やぐのを見ているうち、苦しみから立ち直ることができたのだそうだ。
以来、クリスマスの研究に取り組み、文献を読み込み、取材を繰り返してきた。
誰にとっても、クリスマス前後は、何かと気ぜわしく、悩み多い季節だろう。苦しさのあまり、きらびやかな町から目をそらしたくなることもある。
けれども、クリスマスくらいは、大事な人とうっとりしっとり過ごしたいものである。
私にとっての、クリスマスは、結局のところ、周囲への愛を放出するためにある。クリスマスの知識を仕入れ、町の雰囲気に酔いながら、自分にはこんなにも愛している人がいるのだと、大声で叫び出す大切な一日として、今年も自分自身の胸に愛を刻印しようと思う。

(文:三浦暁子)

クリスマスの文化史

著者:若林ひとみ
出版社:白水社
サンタクロースとは誰? ツリーの発祥は? 意外と知られていないクリスマスの歴史を本場ドイツを中心に紹介し、さらにはカードやお菓子の知識、貴重で楽しい図版も満載。北原照久氏推薦。

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