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日本文化に身を捧げた外国人たち

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私の周囲には自分自身を「ワタシ、ヘンナ、ガイジンデス」と、自己紹介する外国人が多い。 一応、片仮名で書いたけれど、発音は日本語に近く、流暢な日本語を話す人もいる。私からすると、「変な外人」ではなく、「立派な外人」だ。 けれども、不思議なところは確かにある。 異常なほど、日本文化に詳しいのだ。 極東の国である日本に、なぜ彼らはここまで、入れ込むのか?  その博学ぶりに、度肝を抜かれてばかりだ。

根付けフリークのフランス人

だいぶ前のことだが、シルクロードを旅行中に、レストランで出会ったフランス人夫婦も、私の度肝を抜いた人たちだ。
たまたま隣のテーブルに座った、ただ、それだけなのに、「日本人か?」と、尋ねてくる。「はい」と、答えると、「今度のクリスマス休暇に、ネヅケを買うため京都に行くのだが、どのお店がいいか教えてちょうだい」と、たずねる。
「ネヅケ? それって、根付けのこと? 煙草入れにつけるあの根付け?」 煩悶しながら、尋ねると 「そう!!!」という答えるや、ポケットから、ずっと探しているという根付けの写真を取りだした。
小さな子供が彫刻されたもので、象牙でできているらしい。もし、手に入るのなら、高価でもかまわないという。
「どうして欲しいのですか?」と、聞くと、「美しいから」という答えが返ってきた。
美しいから?  ただそれだけ?
わからん。
でもちょっとわかる。
趣味とはそういうものだろう。

私の度肝を抜く外国人達

日本を極めた外国人』(ニューズウィーク日本版編集部・著/CCCメディアハウス・刊)には、これまた度肝を抜くような外国人が16名、並んでいる。
輪島塗の虜になった人もいれば、尺八奏者となった人もいる。
茶道の心に迫ろうと必死になったり、日本のポップカルチャー、いわゆるアニメオタクの世界に飛び込んだ若者もいる。
さらには、囲碁の棋士、ラーメンブロガー、剣道七段で武士道の研究家、芥川賞の候補にもなった小説家、和船を研究する船大工、アニメソングの歌手、寺の住職、琉球語を守ろうとする研究員もいれば、墨絵画家、うどん店経営者、弁当箱サイト管理者、能クリエーターまで、「えっ!! なんで」と、聞きたくなるような人たちばかり。

日本への強いまなざし

彼らの日本文化への傾倒は本物で、徹底的だ。 もちろん、「変な外人」ではなく、日本人より真摯に日本を極めようとしている強者ばかりだ。
国籍も、イギリス、アメリカ、カナダ、ニュージーランドにイラン、フランス、ドイツ、イスラエル、韓国と、多岐にわたる。
日本に来る前の職業も様々で、とても書ききれないほどだ。
しかし、16人に共通するのは、日本への半端ではない興味と、日本を理解し、吸収し、自分の人生を賭けて追求しようとする情熱だ。

 日本人なのにという劣等感

私は自分の国が好きだ。日本文化を誇りに思っている。 茶道や華道にも親しんでいる。着物に対する憧れもある。
けれども、考えてみると、日本人なのだから、着付けくらいできないといけないし、お茶だって習っておくべきだし、床の間の花くらいは自分で生けられるようにしておくべきだという風に、すべて義務としてとらえがちだった。
だから、私よりも日本に詳しく、華道や茶道を究めた外国人に会うと、気後れするところがあった。
日本人なのに恥ずかしいと思ってしまうのだ。

 ヘンナ ガイジン になろう

けれども、『日本を極めた外国人』に登場する人々のエピソードを読むと、ひたすらにありがたいと思う。
日本人の私でも知らないことによくぞここまで打ち込んでくださったと、感動する。
彼らはひたすらに日本文化に触れあおうとしている。
生まれたときから日本人で、日本語を話し、ごく普通に日本のものに触れてきた私とは違って当たり前。同じにはなれない。
だから、これからは「ワタシ、ヘンナガイジン」と、笑いながら言う人に、「あなたのお国のことも教えてください。どこかどう違うの?」と、質問したいと思っている。
そして、「アナタ ヘンナ ニホンジン ネ」と、言われるようになりたい。

(三浦暁子)

日本を極めた外国人

著者:ニューズウィーク日本版編集部
出版社:CCCメディアハウス
日本文化に心底ほれ込み、その道を極めた16人の外国人を紹介! 茶道や能楽といった日本の伝統文化、アニメやラーメンなど日本独自のポップカルチャーに心を奪われ、スペシャリストを目指す達人たち……。 彼らの姿から、日本人が忘れかけていた匠の技、和の心の神髄が見えてくる!
<内容>
1、輪島塗に飛び込んだイギリス人女性の23年
2、「メリハリ」が生む深遠な尺八の調べ
3、「道」に導かれてたどりついた茶道の心
4、HENTAIばかりがアニメじゃない!
5、囲碁という果てなき宇宙へ
6、「週5でラーメン食べてます」
7、剣道の心技を究め武士道の神髄を追う
8、イラン人作家と異文化の風
9、木造和船の秘伝を守り抜く職人魂
10、アニメ主題歌をおしゃれに輝かせて
11、仏教に失望した末に到達した座禅の理想郷
12、消えゆく琉球語を守りたい
13、目からウロコの墨絵をより自由に大胆に
14、元エリート外交官はうどんで日韓の橋渡し
15、クリエイティブで奥深い弁当箱ワールドへ
16、英語で追求する能の道

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