いまどきパソコン情報誌に存在意義はあるのか?

Windows10についてわからないことがあるなら、インターネットで検索するか、詳しい人にお願いするのが解決への近道だ。どちらも難しい場合は、書店に行ってパソコン情報誌を手に取ってみるのも良いと思う。

Google時代における情報誌の存在意義

『IP!』や『Windwos100%』などのパソコン情報誌を読めば、最新OSや便利なフリーソフトの賢い使いかたを知ることができる。わたしが初心者だったころは、パソコン情報誌で紹介されているフリーソフトを、片っ端からインストールして使い勝手を試していた。

だが、心境に変化がおとずれる。パソコンの使用歴が10年を過ぎたあたりから、保守的な態度へと変わっていったのだ。情報誌を読んでいて、あらたに便利なフリーソフトがあると知っても、使い慣れたものからわざわざ乗り換えようと思わなくなっていた。

わたしがパソコン情報誌を頼もしく感じていたのは、せいぜいWindowsXPを使っていた頃までだった。インターネットを検索すれば、どこかの誰かがブログやQ&Aサイトで解決方法を公開しているのを見つけられるようになったからだ。

Googleなどの検索エンジンのおかげで、パソコンにまつわるたいていのトラブルならば、情報誌に頼らなくても自力で解決できる時代がおとずれていた。

いまはスマホ情報のほうが求められている

2015年の5月に「事件」が起きた。インターネット・パソコン・モバイル端末などの総合情報誌である『週刊アスキー』が紙媒体の休刊を発表した。全国の書店やコンビニで売られていたほどの有名雑誌が退場せざるを得なかったわけだ。まさにパソコン情報誌の存在意義を揺るがす「事件」だったと思う。

書店のコンピュータ雑誌コーナーへと足を運べば、スマートフォン関連のものが圧倒的に多い。スマホで遊ぶソーシャルゲームの攻略本や特定の機種(Xperia・iPhone)の情報をまとめた雑誌やムック本が平積みで売られている。

いまのパソコン情報誌は、速報性や検索性で勝るインターネットの後追いになりがちだ。iOSやAndroidというトレンドからも遠く離れている。そのような現状において、パソコン情報誌の存在意義とは何だろうか?

かつてパソコン情報誌の付録DVDには助けられた

わたしがデスクトップ機を使い始めたばかりのころは、パソコン情報誌の付録ディスクを重宝していた。フリーのゲームソフト『フロントライン』を知ったのも、CD-ROM付きのパソコン情報誌だった。『フロントライン』は、寝る間を惜しむくらい夢中になってプレイしていた横スクロールの射撃アクションゲームだ。

当コラム欄の『一周まわって「まなめはうす」にたどりついた私のネット遍歴』という記事でも書いたが、わたしのデビュー機のOSはWindows95だった。自宅にインターネット環境がなかったので、公民館のパソコンで許可されていた「1日30分」だけが情報収集に許された時間だった。

ネットサーフィンできる時間に制約があったわたしのような過疎地の人間にとっては、フリーソフトやフリーゲームがまとめて収録されているパソコン情報誌の付録CD-ROMは、定価の何十倍もの価値に感じられたものだ。

生き残りをかけて太っ腹な読者サービスをしている

ADSLや光ファイバー回線が全国的に普及している2015年現在、パソコン情報誌についてくる大容量ディスクはどうなっているのだろうか。
一例として『Windows100% 2015年12月号』(晋遊舎・刊)の付録DVD-ROMに収録されているデータをリストアップしてみよう。

  • 2015年のBESTフリーソフト156本
  • 定番フリーソフト30本以上
  • 注目のフリーゲーム7本
  • 必須ソフト&ランタイム
  • MMD用の3Dモデルデータ(Sachiko)
  • 今月号のPDFファイル(DRMフリー)

付録である2枚のDVD-ROMには、約2.5ギガバイトのデータに加えて「誌面を電子化したPDFデータ」も同梱している。紙の雑誌を買えば、同じ号の電子書籍がもらえるというわけだ。つまり、従来の印刷物としての雑誌を買ってくれた人がいちばん得をするようになっている。

もちろん、電子書籍版の購入者にも損はさせない。DVD-ROM2枚分のデータをインターネット経由で入手するためのURLとパスワードが用意されているからだ。存在意義をかけて、パソコン情報誌は土俵際でまだまだ踏ん張りつづけている。

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