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日本人男性の5人に1人が結婚しない。

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臨床心理士の信田さよ子さんによると、適齢期の日本人がほぼ全員結婚できていたのは高度成長期の時だけで、奇跡の20年間と言われているという。他の時代は生涯独身のままの男性も多く、明治・大正時代は男性の3人に1人は結婚をしないままだったという。そして現在の日本ではかなりの勢いで結婚しない男性が増えている。生涯未婚率が2005年では15.96%だったものが、2010年には20.14%にまでなった。特に東京と沖縄は突出していて25%を超えている。つまり4人に1人が生涯独身のままなのだ。いったいなぜこのような状況になっているのだろうか。

生涯未婚率という数字

生涯未婚率とは、つまり生涯一度も結婚しない人の割合である。一体どうやって割り出すかというと、50歳になっても一度も結婚していない人の割合で推計するようだ。今は40代での初婚はかなり見聞きするけれど、50歳過ぎというのは確かにほとんどいない。つまり50歳になっても結婚していなかったら、この人はおそらく一生結婚しないであろうと統計上は推定されてしまうのである。

国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集によると、2010年の生涯未婚率は男性が20.14%、女性は10.61%だった。なんと男性のほうが女性の倍も未婚率が高い。私はこれを「残り10%の女性は外国人と結婚してしまうのだろうか」と考えたのだが、数学好き大学生の息子にそれは違うと指摘された。「バツイチの男性と結婚する初婚女性が多いからでしょ」というのだ。どうも息子の説のほうが正しそうである。実は離婚経験者の再婚率は男性が70%。女性が60%。なんとここでも10%の差がついていた。どうやら息子の言う通り、バツイチの男性が初婚の女性と結婚しているようなのだ。

再婚率での性差

「えっ、未婚のままの男の人が増えているのに、再婚するのは男の人の割合のほうが高いということは……!?」
「つまりこういうことだよ。二度結婚する男の人と、一度も結婚しない男の人がいるってこと」。
なんということだろう。二度離婚している私よりも、未婚の息子のほうが世の中を見通しているではないか!

そして私は再婚していない離婚経験者女性の40%の中に入っている。この中には母子家庭が相当数含まれているのではないだろうか。私も離婚当初は再婚する気満々だったのだが、子どもを2人抱えた身だと向こうも敬遠するし私もそれどころではなかった。けれど、子どもと同居していないバツイチ男性ならば身軽に再婚活ができる。常々羨ましいとは感じていたけれど、やはりこうして数字に性差が現れてくるのであろう。

格差社会のひずみ

ちなみに、明治・大正時代に3分の1の男性が未婚だった理由は、経済力がなかったかららしい。妻子を養えない男性は結婚できなかったのかもしれない。しかし今はどうだろう。女性が働き、男性が家のことをするという逆転の形の結婚も出てきているし、必ずしも経済力が結婚の決め手になるわけではない気がしている。とはいえ、今の稼ぎでは結婚することは難しいと嘆く男性の声も耳に入ってくる。

『息子の将来、だいじょうぶ?』(細川貂々・著/平凡社・刊)は、なぜ勉強するのか、なぜ受験するのか、いい大学にいっていい就職するというのはどういう意味があるのかという疑問を、小学生の子どもがいる著者が、多方面の識者に尋ねていくコミックエッセイだ。冒頭の「奇跡の20年」の話もこの本に収録されている。親として、私も子ども達の将来についてしばしば心配になる。私が子どもだった頃よりもずっと環境汚染が進んでいるし、終身雇用制度も崩れつつある。就職も、正社員になりたくてもなれない人が増えていると聞くし、親として心配は募るばかりだ。

年収や雇用形態も、結婚に大きく影響する。2012年のニッセイ基礎研究所の「若年層の結婚観」調査によると20~30代の非正規雇用男性の既婚率は5%以下だという。つまり95%が未婚! これは大変な数である。さらに年収300万円未満の男性の既婚率は10%に満たないが、300万円を超えると25%に急上昇する。この厳しい世の中で私の息子は就職し、所帯を持つことができるのだろうか。私は息子に「自分は結婚できると思うか」と尋ねてみた。すると「まず僕の大学を出た人の既婚率を調べてみたい」という答が返ってきた。どうやって調べるのかわからないし、調べたところで息子が結婚できるわけでもないけれど、もし可能であるのならば、いつか孫の顔を見てみたいな、とそっと考えてしまう私なのだった。

(文・内藤みか)

息子の将来、だいじょうぶ?

著者:細川貂々
出版社:平凡社
お受験して息子は幸せになるの? 小1の息子を持つ学校嫌いの貂々さんが難関校から社会学者までを全力取材のコミックエッセイ。

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