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女は嫉妬した時こう行動する

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女性が同性に嫉妬するのは、相手が自分より何かが優れている時だという。たとえば収入、リア充度、学歴、持ち物など、比べるものはいくらでもある。今日マチ子さんのマンガには、女性同士のドロッとした心情がかわいらしい絵柄で描かれていて、読むとドキっとさせられる。第二次大戦中の沖縄が舞台の『cocoon』と関東大震災時の東京が舞台の『ニンフ』(今日マチ子・著/太田出版・刊)から、女同士の嫉妬のパターンを考えてみた。

ピンチになっても放っておく

取っ組み合いの喧嘩になるような男同士の争いに比べ、女同士の争いは、目に見えない。なぜなら気に入らない相手には「無視をする」ことが多く、それは直接的な攻撃行動ではないので、表面化しにくいのだ。でも無視はかなりキツい仕打ちである。マザーテレサも「愛の反対は無関心です」と説いている。気にかけてもらえない、つまり、助けてももらえないのだから。

『cocoon』では、看護学生としての勤めを果たさず、鏡ばかり見ているタマキという女の子に、皆は冷たい。彼女が手術の助手というハードな仕事をいきなり命じられた時も「あの人は掃除をしなかったから」という理由で、何の助言もせずに向かわせてしまう。でもおそらく「掃除をしなかったから」は建前で、非常時だというのに鏡ばかり見ているという、美人で男好きなタマキに嫉妬していたのではないだろうか。

弱みを握り、それを告げ口をする

『ニンフ』は、関東大震災の際に家族とはぐれ、浮浪児となって生きていた美少女ユキが、大金持ちに拾われる物語。その家にはすでに実の娘の百合子が暮らしていて、彼女は父親に可愛がられる新入りに、当然ながら激しい嫉妬の炎を燃やす。百合子はなんとかユキの尻尾を掴もうと、彼女を尾行しまくる。すると、屋敷の他の男達とも親しく会話を交わしている姿が目に入ってきた。

百合子は折に触れ、色々な人にユキはふしだらな女なのではないか、という情報を流す。なんとか彼女の清純なイメージを崩し、地に堕とそうとしているかのように。嫉妬する相手の悪評を、噂話を装って吹聴するというのも、女同士の争いでしばしば見られる光景だ。

別のことで勝とうとする

百合子はユキになんとか勝とうと、整形手術で美しくなろうとしたり、または勉強して賢くなろうと努力したりする。まるで嫉妬のエネルギーが百合子をどんどん成長させてくれているかのようだ。相手と自分を比べて一喜一憂するという女性ならではの気持ち。でもみっともないから人前では出さないようにしている、ねっとりした情念。できれば正視したくないその感情の流れを、作者は丁寧に描き続けていく。

女には、相手と自分を比較する癖がある。チラッと見た知り合いの女性のバッグが自分より高かったりセンスが良いものだったら、上着や靴を比べ、どこか自分が勝っているところがないかを探し、気持ちを落ち着けようとしてしまったり。そして恋のライバルがすごく美人で名家のお嬢様で成績も優秀で英語も堪能で料理上手で、勝ち目なんて全くなさそうだったりしたら、もう、何のために自分は生まれて来たのだろう? と問いかけたくなるくらいに落ち込んでしまったり。

今日マチ子さんの漫画に描かれている女の子達は、強くて弱い。一歩前に進む努力もするけれど、何か辛いことがあったら泣いて逃げ出したがったりもする。彼女達の生きるエネルギーは、世界で起きている何か大きな出来事から得ているのではない。身近な女友達から受け取っているのだ。彼女らは嫉妬すらもパワーに変える。そして同年代の女の子同士で比べ合いながら、この部分は負けない、という自分の個性を見つけていく。女同士の嫉妬しあいは、自分探しのためには必要な過程なのかもしれない。

(文・内藤みか)

ニンフ

著者: 今日マチ子
出版社:太田出版
この子が生まれたら 私の世界は変わる ■瓦礫の中、ひとり空を見上げる少女の身体に小さな命が宿る。今日マチ子が描く、震災のあとを生きるということ。 ■震災で父をなくし、母の行方も分からず、瓦礫の山となった街で生きる少女・ユキ。大きなお屋敷の主人にひきとられ、実子の百合子と共に娘のように可愛がられるが、やがてユキの妊娠が発覚し――。

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