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日本初の歴史書は日本初の官能小説だった!?

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「エロいこと」への興味というのは、少なからず誰もが持っていることだろう。人間の基本欲求のひとつでもあるわけなので、それは特に変なことでもなんでもない。

現代は、インターネットやゲーム、マンガなどなど、さまざまなメディアが発達しているため、「エロいこと」が割と普通に身近にある状況といえる。

しかし、昔々は写真もビデオもない。メディアといえば文字と絵くらいだ。それに、ほかに楽しみがあまりないため、どうしてもそういう方面へ興味が向きがちだったのではないか。

禁止されるほど見たくなるのは人間の性

最近“春画”がブームだが、これは江戸時代のエロ本といってもいいだろう。落語などには“バレ噺”と呼ばれる、男女の隠微な世界を描いたものもある。明治時代などは一般の寄席では上演できないため、地下の秘密の場所でバレ噺の会なども開かれていたようだ。禁止されてもやっぱり聴きたい。人間の欲望というのは、禁止されるほど燃え上がるものなのかもしれない。

日本初の官能小説ってなんだろう?

日本で最初の官能小説はなんだろうか。僕は「古事記」だと思っている。

古事記は、712年に編纂された日本最古の歴史書。ご存じの方も多いはずだ。古事記では、一番初めに「天之御中主神(アメノミナカタヌシノカミ)」が現れ天地を創造。次に「高御産巣日神(タカミムスビノカミ)」、その次に「神産巣日神(カミムスビノカミ)」が現れた。これにより、万物の中心、広大なるもの、神を生み出す三柱が揃い、そこからさまざまな神が生み出されていく。

このような日本の歴史書である古事記だが、基本的には性交の話ばかりだ。

そうだったのか! 古事記』(睦月影郎・著、秋雨前線・絵/イースト・プレス・刊)は、官能作家である著者が、古事記をそういう視点で解説している。

いたるところに出てくる性器の象徴

日本列島は、伊邪那岐(いざなぎ)の神と伊佐那海(いざなみ)の神が創りだしたのは有名な話だ。

そこで落ち着いた二神は、あらためて互いの肉体に関心を寄せた。
「貴女の身体はどのように出来ていますか」
イザナギが言うと、イザナミが答える。
「私の身体は、出来上がって、出来きらない場所が一つあります」
「私は、出来上がって、出来過ぎた場所が一つある。私の出来過ぎたところを、貴女の出来きらない場所に挿し込んで、国を生み出そうと思うがどうだろうか」
「それがいいでしょう」

『そうだったのか! 古事記』より引用

まあ、そういうことである。僕は中学生のころに古事記を原文で読んだことがあるのだが、このあたりはたいそう興奮した記憶がある(中学生というものはたいていにおいて想像力が豊かなのだ)。

古事記に出てくるさまざまなものは、たいていは男性器や女性器の象徴だ。8つの頭、8つの尾を持つ大蛇「ヤマタノオロチ」も、男性器そのものであるし、天照大神(アマテラスオオミカミ)が隠れる天の岩戸は女性器の象徴。そういう観点で古事記を読んでみると、神々の官能小説と読めなくもない。

興味があれば原文を読んでいただきたい

というか、結局地球(古事記では日本)が生まれてから、今日まで続いているのは、性欲がなければありえない。人間にとって、一番大事なのは性欲であるということを伝えている書なのではないだろうか(そんなことはないと思うが)。

古事記は、原文では読みづらいと思われがちだが、読んでみると意外と馴染む。それに、書いてあることがこういう官能的なことばかりなのだから、結構頑張って読んでしまうはずだ。

日本初の歴史書であり、日本初の官能小説でもある古事記。一度読んでみてはいかがだろうか。

(三浦一紀)

そうだったのか! 古事記

著者:睦月影郎(著)、 秋雨前線(絵)
出版社:イースト・プレス
古事記を読んだことのない世代に、日本にはこんなに面白く優れた書物があったことを知ってもらいたい!?と、官能作家の睦月先生が一大決心。秘書の忍ちゃんを相手に、この日本最古のロマンを読み聞かせることに…。イザナギ、イザナミの二神が子造りをする色っぽい冒頭に始まり、日本初のストリップを披露したアメノウヅメの命のエピソードなどなど、知ってるようで知らない古事記を丸ごと新解釈。

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