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女子中学生が感動する名作映画3本

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突然、中学3年生の娘が映画にハマった。毎日1本という勢いで観続けている。彼女は最近の流行のものはあまり関心がなく、過去の名作を選ぶことが多い。彼女が100本以上観たなかで「本当に観てよかった!」と心底感動し、今だにそのことについて語り続けている映画3本をご紹介したい。

『ショーシャンクの空へ』

娘が「とにかく大好き!」というのが『ショーシャンクの空へ』。冤罪で投獄された銀行員が、未来への希望を失わずに、真っ直ぐに生きていく姿に感動したのはもちろんのこと、登場するひとりひとりの人生についても思いを巡らせたり、撮りかたがカッコいいと感心したり。女子中学生にとって未知である刑務所の世界に驚き悲しみそして怒り……たくさんの感情がいちどきに訪れたらしい。この映画はアカデミー賞にノミネート止まりで受賞していない。なぜかというと『フォレスト・ガンプ』が強かったからである。どんな映画だったのかと『フォレスト・ガンプ』を借り、またそれに衝撃を受け、娘の映画好きは、さらにヒートアップしていった。

『誰も知らない』

邦画で一番ショックを受けていたのは『誰も知らない』。YOU演じるシングルマザーの母親が、4人の子ども達を置いて出ていってしまい、子ども達だけの生活が始まるという映画である。母子家庭暮らしの娘には相当心に湧き上がるものがあるらしかった。母子家庭にとって頼る存在は母親しかいないことが多い。もしある日私が帰って来なかったらどうやって生きていったらいいのか、映画は、娘が常日頃抱いていたうっすらとした不安を実写化していたのだろう。

『誰も知らない』が本当にあった事件を元に作られた映画だと知ってさらに衝撃だったらしく、ネットでそのことも色々調べていた。カンヌ受賞作だと知り、カンヌ映画祭にも関心が湧いたらしい。なお、娘が「この映画のお母さんって、ちょっとママに似てる……」とつぶやいていたけれど、私は決して子どもを置き去りにして男のところにいったりはしない。そう何度も説明したけれど、娘はまだ100%信じてはくれていない。

『レオン』

フランスとアメリカの合作映画である『レオン』は、殺し屋と少女がひょんなことから行動を共にすることになる物語。日本の女子中学生にとって非日常の銃が出てくる世界で、けなげにも逞しく生きるヒロインのマチルダに娘はすっかり感情移入してしまい、しばらくの間、うっとりとその世界に浸っていた。映画に出てくるフランスの部屋のインテリアが素敵なのでマネしてみたり、テーマソングを歌っているスティングの他の曲を聴いてみたりと、娘の世界が広がるきっかけにもなったようだ。

映画数珠つなぎ本

私自身は映画を観るクセがついたのは20歳のことだった。中学生の頃からたくさんの名作を味わっている娘のことがうらやましくてならない。今から感動を蓄えておけば、きっと将来、何かの作品を彼女が作る際には、それが絵であれ映像であれ文章であれ、役に立つに違いないのだ。だから私は、自分の記憶に刻まれている素敵な映画をたくさん娘に教えてきた。そして最近はネタが尽きかけていてSNSで友人知人に教えてもらったり、あちこちのおすすめ映画リストをチェックしたりもしている。

『映画一日一本』(芝山幹郎・著/朝日新聞出版・刊)は、映画評論家の著者が、365本もの映画を監督や映画のジャンルなどによって分類している。この映画が良かったなと思ったら、似た系統の映画をすぐ探せるようになっているので、好みの映画が見つけやすく、とても便利だった。『ショーシャンクの空へ』が好きなら『シンデレラマン』がいいかな、などと、次の映画を見つけることができた。プロの解説を読むとへえ、と思うことも多い。たとえば『ショーシャンクの空へ』の映画の原作小説はスティーブン・キングで『スタンド・バイ・ミー』もそうなのだなどと。「あの映画良かった! あんな感じの映画をまた観たいな」と考えているかたには絶好の一冊だと思う。

(内藤みか)

映画一日一本

著者:芝山幹郎
出版社:朝日新聞出版

DVDやCSTVなどで膨大な数の映画が楽しめるようになった今、何を観ればよいか迷っているあなたへ贈る究極のシネマガイド。気鋭の実力派評論家が、間違いなく「面白い!」作品を精選。ビリー・ワイルダー、クリント・イーストウッド、成瀬巳喜男作品など、古今東西の傑作・快作・異色作を見逃さないために、ぜひ手元に置いておきたい1冊。従来の映画ファンはもちろん、ビギナーの入門書としても最適。

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