ハウツーが満載のコラム
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イギリスは、もしかしたら、全部がやばくて、素敵な場所なのかもしれない

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最近、日本中のホテルが混み合っていると聞く。
外国人観光客が日本に押し寄せているからだ。
とりわけ関西地区は紅葉シーズンを迎え、どこもかしこも満杯で、しかも、部屋代が高い。驚くほどだ。
ところが、私の夫はどこからともなく安いホテルを探してくる。

安い部屋には訳がある?

先日も、「うそ!」と思うくらい、安い部屋に泊まった。
その夜、友達に自慢したら、「それって、いわゆるひとつのやばい部屋じゃないの?大丈夫?」というメールバックがきた。
何がどうやばいのかと思ったら、いわゆる事故部屋ではないかというのだ。
たとえば心中とか、もしかしたら自殺があったとか、幽霊が出るという噂がある、とか。
そして、「すぐに調べてあげるから、待ってて」と、言ってきた。
何でも、そういう「やばい部屋」を探すインターネット・サイトがあるのだという。

「やばい」場所を調べるサイトがあるという

「うん、じゃ、お願い」と頼んだものの、私は眠くてすぐに寝てしまった。
快適な睡眠で、お化けにも遭わなかった。たとえ、遭っても私に何かするとは思えない。だって知らない人だもの。
それでも、朝になると、携帯電話がピカピカ光っていた。着信があったと知らせているのだ。こわごわ見てみると、「大丈夫。事故部屋じゃないみたい。安心して寝て」と、あった。ありがたい知らせだったが、もう安心して寝た後だったのがおかしい。
もっとも、返信を見て、ほっとしたりもしなかった。
都会は毎日のようにどこかで誰かが亡くなっている。喜んで亡くなっていく人は少ないから、誰もが、この世に思いを残していくものだろう。悲惨な死に方をした人だって、たくさんいるはずだ。
人間が暮らしている場所はすべて、ある意味「やばい」のではなかろうか。

歴史があるということは・・・

とくに歴史があるところは、「やばさ」が増す。
古いから、亡くなる人だって積み重なるようにいる。
これが埋め立てたばかりの土地だったら、まっさらで、お化けも出にくいかもしれないが、古く歴史がある土地はそうはいかない。由緒があるということは、お化けが出てもおかしくはないほど、いろいろあったということだろう。
たとえば、ロンドンやパリやローマ。
美しい遺跡や見事な博物館がある一方で、おどろおどろしい事件や、身の毛もよだつような残忍な処刑が行われた場所があちこちにある。しかも、みんながそれを知っている。

イギリス中がお化けだらけ

『イギリス怪奇探訪 謎とロマンを求めて』(出口保夫・著/PHP研究所・刊)には、そうした「やばい場所で起きたやばい事件の主人公達」が満ち満ちている。

イギリスじゅうに、お化けや亡霊の出ない村はなく、教会の墓地にはかならず妖怪などが出没していたのである”
(『イギリス怪奇探訪 謎とロマンを求めて』より抜粋)

著者である出口保夫は著名な英文学者だが、これまで、私のような素人にも楽しめる内容の本をたくさん出版している。この本も、「イギリスのお化けめぐり」のような内容で、本当に面白い。

ロンドンは「リンディン」だと知ってましたか?

ロンドンの名が、ケルト人の言葉「リンディン」から来ていることも初めて知った。沼澤の砦という意味だそうだ。
まるで、大阪の梅田みたいではないか。
梅田は泥地をうめたてたから「うめだ」というのだと、聞いたことがある。
梅田にもお化けが出るのだろうか。私はあまり聞いたことがない。
ロンドンには石器時代から人が住み始めたそうだから、歴史の古さが違うのだろうか。

イギリス中に満ちる怪奇な現象

亡霊の街ロンドンでは、毎日、実に様々なことが起こっている。
幽閉と処刑が繰り返されたロンドン塔。ペストが蔓延したロンドン市街。ロンドンは大火に見舞われたことでも有名だ。
古い劇場、奇妙な酒場、シャーロックホームズの部屋まで、幽霊、もしくは怪奇な話で彩られている。ロンドンの管理人は幽霊なのではないかと思うほどだ。

紹介されているのは、ロンドンに限らない。
イギリス中に、不思議な伝説が満載で、かつそれを裏付ける怪奇現象が起こっている。
埋めても埋めても埋まりきれない遺体が、夜のとばりと共に目の前に現れるかのようだ。
背筋が凍るような思いを味わいながらも、昔話が現実のものとして今も生きているのだと実感させられる。
怖い怖い、でも見たいと思う気持ちを抑えられなくなる。
もし、許されるなら、今すぐ航空券を取って、iPadを小脇に抱え、イギリスに行きたい。行きたくてたまらない。
そして、妖怪ハンターを真似て、幽霊を追いかける旅をしてみたい。
今は無理でも、いつか必ず行くぞ〜〜。
そんな思いにさせられる、怖くて魅惑的な本、それが『イギリス怪奇探訪 謎とロマンを求めて』であった。

(文:三浦暁子)

イギリス怪奇探訪 謎とロマンを求めて

著者:出口保夫(著)
出版社:PHP研究所
人気の国・イギリスは、アーサー王の話をはじめとする不思議な伝説や、魔女や妖精の伝承、シェイクスピアやバイロン卿にまつわる謎など、ちょっと怪奇的で不思議な話の宝庫である。本書は、そんな怪奇的な伝説・伝承をたよりに、首都ロンドンを皮切りにイギリス各地を訪ねる異色のガイドブック。写真も豊富で、読み物としても存分に楽しめる。イギリスの知られざる魅力に出会える書。

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