ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

ドローンは、私たちの味方なのか、敵なのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

2015年は「ドローン元年」と呼ばれる。日本で初の「国際ドローン展」が開催される一方で、首相官邸にドローンが墜落するなど、良きにつけ悪しきにつけ、注目が集まっている。

誤爆が多発したドローン空爆

河鐘基『ドローンの衝撃』(河鐘基・著 /扶桑社・刊)は、無限の可能性を秘めたドローンを様々な着眼から考察する1冊。いくつものビジネスを革新する一方で、不吉な利用法もほのめかされるドローン。本書の著者がドローン制作者に話を聞く中で共通していた見解は、「ドローンはロボットと人間の共生の第一幕を開く」「ドローンの未来に必要なのは世論の同意」だったという。可能性が正しく開花するかどうかは、これからどのように認知されていくかに握られているのだろう。

「複数のプロペラを持ち、機種によっては自律飛行も可能なこの小型無人航空機」=ドローン、実際に手にしたことのない人にとっては、負のイメージが強い。アメリカは2001年のアフガニスタン戦争で「タリバンやアルカイダを討伐するために、ドローンを大量投入」した。イラク戦争では、ドローンによる大規模な空爆を行ったものの「誤爆が多く、そのミスのせいで多くの一般市民が犠牲になった」という。これまで2000人〜3000人の死亡者が出たという報道もある。自分たちの身の安全は約束されるが、だからといって誤爆の多いドローンを嬉々として兵器に使う姿勢はいただけない。

注文後30分以内の商品配送を可能にする

ドローンは思わぬ確執を生み出してしまうこともある。2014年のサッカーW杯ブラジル大会、ホンジュラス戦との初戦を控えているフランス代表チームがグラウンドで非公開練習を行なっていると、その上空でドローンが飛行、練習の内容が盗撮されていたという。犯人は特定されていないが、当事者からしてみれば決して公開したくない場面であっても、上空からは覗き放題になってしまう。加えて、ドローンは、誰が飛ばしているかを特定することが難しい。「回収して販売経路を辿るか、あるいはドローンを操作しているところを現行犯で取り押さえなければ難しい」というから、いくつもの抜け道が用意されているのが現状だ。

このドローンの有効活用を画策しているのが「物流」の世界。アマゾンが2013年に発表したプライム・エアサービスでは、「8つのプロペラを備えたオクトコプター・ドローンが配送センターから商品を出荷」し、配送距離や重量に制約を設けつつも「注文後30分以内で商品の配送が可能だとする」プランを発表した。すでに何カ国では実験済みで近いうちにサービスを開始したい考えだ。ウォルマートやグーグルも追随している。クリックした当日に無料で届く仕組みは物流革命を起こしたが、ドローンが本格導入されれば、既存の物流ビジネスは根本的に見直しを余儀なくされるのではないか。

ボーダーラインがしっかりと決められていない

とにかくドローンについては、可能性も懸念も未知数である。法律も同様。この日本の航空法では、ドローンは模型航空機に該当し、「地表または水面の上空250m以上、航空路内の地表または水面の上空150m以上の高度の飛行が禁止」されている。公道の上を飛べば「道路交通法違反の可能性」があり、「空撮では肖像権侵害も懸念」されるというから、そのボーダーラインがしっかりと決められていない状況だ。災害時や警備の分野では多大な成果を期待されてもいる。世間が正しく理解する前に、利便性も懸念も膨らんでいる状態なのだ。

(文:武田砂鉄)

ドローンの衝撃

著者:河鐘基
出版社:扶桑社
首相官邸不時着事件で一躍有名になったドローン。2015年は日本を含め、世界的に「ドローン元年」といわれる。最新テクノロジーのしくみからドローン特区まで解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事