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「転生」や「生まれ変わり」の名作マンガといえば?

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もしも「今までの記憶や経験を失わずに16歳に戻って人生をやり直せる」としたら。あなたは2度目の人生を、1度目の反省を活かしたものにできる自信があるだろうか? 「YES」と断言できる人はきっと少ないと思う。

人生をやり直せてもうまくいくとは限らない

なぜなら、30~40年も生きれば、おのれの器量や才能というものをイヤでも自覚するからだ。たとえやり直せたとしても「行きつくところは大差がない」と想像がついてしまう。どうせ似たような結果になるのだから、さえない人生を繰りかえすのはかえって面倒……という結論に達する。

もしも16才に戻って、学生時代に好きだったあのひとに告白できたとしても、たぶんフラれる。もともと釣り合わないからだ。アベノミクスによる高騰を事前に知っていたとしても、たぶん株で大儲けできない。安いときに買うことはできても、売りどきを見極めるのは難しいからだ。

人生をやり直すチャンスを与えられたとしても、おのれが凡人であることや、他人とくらべて優れているわけではないことを再確認するだけだ。みじめすぎる。

代紋TAKE2が「SF」ならば、CUFFSは「オカルト」

CUFFS(カフス) 傷だらけの地図』(東條仁・著/ゴマブックス・刊)は、ケンカばかりして生きてきた35才の不良中年が転生して、別人としての16歳から人生をやり直すというストーリーの漫画だ。週刊ヤングジャンプで1997年から2005年まで連載していた。全32巻。

「ヤクザな男が人生をやり直す」といえば、週刊ヤングマガジンで連載していた『代紋TAKE2(エンブレム・テイク・ツー)』が有名だ。31歳のさえない暴力団構成員が、不慮の死をきっかけにして、記憶や経験を保ったまま21歳からやり直すことになる。1度目の人生では、出世した弟分にパシリをさせられるほど情けない中年ヤクザだった主人公が、10年分の知識と経験をもとに、2度目の人生では出世街道を駆けぬける。

一方の『CUFFS(カフス)』は、ヤンキーの生き方を35歳まで続けていたケンカ最強の中年男の魂(たましい)が、不慮の死をきっかけに、同じ日に自殺未遂を起こした16歳の少年に乗り移ってしまう。その少年は、むかし深い仲であった女がひそかに産んでいた「息子」であることを知る。

日本版ジャッキーチェンが八面六臂の活躍をするヤンキーコメディ

不良中年である龍二は、ヤクザとの揉めごとで射殺されたのち、高校1年生の沢渡憂作として生まれ変わった。かつて捨てはずの女が、子供を産んでくれたうえに、いまでも龍二のことを慕い続けていることを知って、16歳の憂作(龍二)は心機一転まじめに生きようと心に誓う。

しかし、登校1日目からヤンキーにケンカを売られてしまい、憂作は持ちまえの暴力性をおさえらなくなる。その後、あっというまに学校のナンバーワン不良生徒を倒してしまう。ケンカ最強中年がインストールされている憂作は強すぎるので、自分からケンカを売ることはなかったが、均衡を保っていた周辺の不良校とのパワーバランスが崩れていく。憂作たちが住む街は、あらたなヤンキー戦国時代をむかえることになる。

典型的な「ヤンキー国盗り物語」かといえば、そうではない。あくまでも憂作の内面は、35歳までのケンカ人生を「後悔している」オッサンだ。挑みかかってくる不良たちはひとまわり以上も年の離れたガキなので、憂作は拳を交わしながらも「こんな生き方はくだらないから真面目に生きろ」と忠告をしつづける。

相手を挑発するため、シリアスな場面なのに憂作が「おやじギャグ」を飛ばすことが多く、読者のこちらまで不意をつかれて吹き出してしまうほど「コメディ色」が強いヤンキー漫画でもある。全32巻も続いただけあって、不良や殺し屋たちとの格闘シーンは読んでいる者を飽きさせないほどのバリエーションがある。まるで「ジャッキー・チェン主演の香港映画」を観ているような「一人対多勢」のシチュエーションが多く、小道具を使ったユニークな攻撃方法や、身体性の限界に挑んだ格闘バリエーションが楽しめる作品だ。

(文:忌川タツヤ)

CUFFS 傷だらけの地図(1)

著者:東條仁(著)
出版社:ゴマブックス
「不良の聖地」と呼ばれる東京都・達川町(作品内での架空の街)で最強のチンピラと恐れられた久宝龍二(くぼうりゅうじ)。若い頃から喧嘩にあけくれ、素手では負け知らずだったが、ある日ヤクザと喧嘩になり、ピストルで頭を撃ち抜かれ死んでしまう。しかし神のいたずらか彼の魂は16歳の少年の体に乗り移ってしまう。しかもその体は、16年前に捨てた妻・沢渡涼子の息子、沢渡憂作(さわたりゆうさく)であった。龍二は憂作として第二の人生を歩み始めることになる。
<目 次>
#1  俺は誰だ!
#2  理想の親父
#3  表れた男
#4  ムカツクぜ!
#5  宇田川の過去
#6  こんなモンだ
#7  宇田川特効!
#8  痛みを知る者
#9  貸し借りナシだ

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