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学力のインフレと少子化で大学が潰れる!?

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「ドラゴンボール」は私が大好きなマンガの一つだ。初期の頃は主人公・孫悟空が仲間とともにドラゴンボールを探しながら冒険するストーリーで、ギャグマンガ的な要素が強かった。ところが、強敵・ピッコロ大魔王が登場したころからシリアス路線になってくる。そして、最大のライバル・ベジータが登場する「サイヤ人編」では、本格的な格闘マンガとなった。 

再登場であっさり倒された強敵・フリーザ

「サイヤ人編」では“戦闘力”という画期的な概念が生まれた。このとき、主人公・孫悟空の戦闘力は334だった。その後、修行を重ねた結果、18万に。ところが、宇宙最強の敵・フリーザは53万という想像を絶する戦闘力で、悟空は苦戦を強いられる。

コミックス約7巻分を使ってようやく倒せたフリーザだが、再登場した際にはトランクスによってわずか数ページで倒された。“戦闘力のインフレ”が進んでしまった結果、いつの間にか戦闘力の概念は登場しなくなってしまった。マンガ版のラスボスである魔人ブウを倒したころの孫悟空の戦闘力は、いったいどれほどのものだったのだろう。

かつては超エリートだった大学生

フリーザを倒すことのように、最初は難しかったのに、後の世に当たり前のように可能になってしまったことはたくさんある。

大学への入学もその典型だろう。

文部科学省の統計によると、昭和30年代、日本では大学に進む学生は20%にも満たなかった。そもそも高校に進む学生も少なかったため、現在よりはるかに狭き門である。ゆえに、大学生、大学卒業というだけで超エリートと見られていたのだ。ところが、今や大学進学率は50%を超え、“大学全入”と言われる時代。大学を出ただけで、無条件ですごいと言われなくなった。“学力のインフレ”状態である。

得な大学、損な大学

どんな大学でも卒業できばいい、という時代は終わった。週刊誌や経済誌では、「どの大学を出れば得なのか?」という特集がしばし組まれる。今回紹介する『強い大学』(週刊エコノミスト編集部、後藤健夫、澤圭一郎、 井沢秀、 安田賢治・著/毎日新聞出版・刊)という本も、週刊エコノミストの特集をまとめたものだ。

取り上げられているテーマを見ると興味深い。たとえば、「入りやすくて就職しやすい」大学のランキングなどが紹介されている(1位は仁愛大学、2位は福井工業大学)。就職率は最近の大学選びには欠かせない要素となっているのだ。大学全入時代の到来とともに家計の負担も増えている。子供を大学卒業まで面倒を見ると、1,000~2,000万円はかかると言われる。ゆえに、費用対効果の高い“お値打ち”の大学を選ぶのは自然の流れなのだろう。

増え続ける大学、潰れる大学

現在、受験生を悩ませるもう一つの問題がある。定員割れが続いて、閉校に追い込まれた大学まで出てきていることだ。なにしろ、少子化によって受験生が減っているにもかかわらず、大学の数はなぜか増え続けているのである。戦後は200校前後であった大学が今や800校ほどあり、単純計算で4倍だ。大学が潰れるなんて想像もできないが、経営が成り立たなくなる一歩手前の大学は決して少なくない。できればそうなる大学は避けたい。

母校がなくなると、どうなるか。転職するとき、面接で「私は大学卒ですが、その大学は今ありません」と答えなければならないのは辛い。それ以上に思い出の断片が消えてしまうのは悲しい。思い出の場所を消さないためにも、「強い大学」に入ることは必要なのかもしれない。

大学選びは悔いのないように!

いよいよ秋本番。大学受験のシーズンが近づいてきた。高校3年生は毎日ハラハラドキドキの日々を送っているはずだ。大学受験だけで人生が決まるわけではないが、人生を変える大きなチャンスであることは間違いないだろう。

どの大学に行こうか決めかねている人も多いはずだ。周囲と相談することも重要だが、最後は自分の意思で悔いのない選択をしていただきたいと思う。

(文:元城健)

強い大学

著者:週刊エコノミスト編集部、後藤健夫、澤圭一郎、井沢秀、安田賢治
出版社名:毎日新聞出版
受験生やその家族の大学選びは、多くは偏差値を物差しにしがちだ。しかし、大学の評価は、入学後の学習環境、卒業後の就職状況で大きく変わる。企業と同様、大学もグロバール競争にさらされるなか、「本当に強い大学」、そして「学生によってよい大学」を選びたい。

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