ハウツーが満載のコラム
文字サイズを変更する

大山のぶ代から金田朋子へ。継承される女性声優タレント枠

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

声優の金田朋子さんをテレビのバラエティ番組でよく見かけるようになった。「おしりかじり虫の声を担当している」と紹介されることが多いが、ファンとしては首をかしげざるをえない。金朋といえば「ちよちゃん」だ。

「タレント・金田朋子」がブレイクした必然性

「美浜ちよ」ちゃん。2002年に大ヒットしたアニメ『あずまんが大王』の主人公であり、ちよちゃんの声を担当したことをきっかけに、声優・金田朋子はオタクのあいだで広く認知されることになった。同名の原作は「萌え四コマ漫画」ブームの源流であり、日本が誇るオタクコンテンツの歴史においても重要な役割を果たすものだ。

ごく個人的な「史観」を述べるならば、90年代アニメを象徴するのがエヴァンゲリオンの「綾波レイ」ならば、00年代アニメは「美浜ちよ」(萌え四コマ原作)と「涼宮ハルヒ」(ライトノベル原作)の時代であった。声色ひとつで一時代を築いたという意味で、まさに金田朋子は生ける伝説なのだ。

「タレント声優」というカテゴリでは、山ちゃんこと山寺宏一(アンパンマンのカバオくん・洋画吹き替え多数)が圧倒的な知名度をほこる。その一方で、テレビへの複数回出演を果たした「女性アニメ声優」カテゴリには、大山のぶ代(ドラえもん)や野沢雅子(孫悟空)を始祖として、戸田恵子(アンパンマン)→矢島晶子(クレヨンしんちゃん)→大谷育江(ピカチュウ)→水樹奈々(紅白歌合戦)という流れがあり、金田朋子(おしりかじり虫)は順当な継承者といえる。

「タレント・金田朋子」の賞味期限はいつか?

2013年から今年にかけて「金田朋子&森渉」夫妻のテレビ出演回数は増加の一途をたどっている。

『アウト×デラックス』や『ナカイの窓』にはじまり、『踊る!さんま御殿!!』『ダウンタウンDX』『ぐるぐるナインティナイン』『有吉ゼミ』『行列のできる法律相談所』『世界まる見え!テレビ特捜部』『ライオンのごきげんよう』など、いわゆる「一発屋タレント」が一巡するコースを順調に突き進んでいる。

もしも『笑っていいとも』が終わっていなければ、まちがいなくテレフォンショッキングに呼ばれていたと思う。一過性かもしれないが、まごうことなき「売れっ子」であり、まさか「おれたちの金朋」がマジョリティに受け入れられる日が来ようとは……。この勢いならば『徹子の部屋』に夫婦で呼ばれる日もそう遠くはないだろう。

アイドル並のルックスをもつ女性アニメ声優は数多くいるが、金朋のようにテレビのゴールデン帯に呼ばれることはめったにない。美貌では勝ることができても、タレント性においては第一線の芸能人には劣るからだ。最近の出演番組をみるかぎりでは、夫・森渉とのボケツッコミによる金朋のリアクション芸は、まだまだ賞味期限をむかえそうにない。

アニメ声優のキャリアプラン

Wikipediaによれば、金田朋子は『アルプスの少女ハイジ』を観てアニメ声優にあこがれたという。大学の建築学科を卒業したのち、昼間は正職につきながら、夜間の声優養成所へレッスンに通っていた。

人は、どのようにしてアニメ声優になるのか。『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』などの70~80年代アニメで活躍していたような声優たちは、もとは舞台役者やテレビ俳優(子役)だった人が多い。アンパンマンの戸田恵子は元歌手、元ドラえもんの大山のぶ代やシャア・アズナブルの池田秀一は俳優だった。当時、はじめから「アニメ声優になりたい!」という人は少なかった。

90年代に活躍する「林原めぐみ」あたりから、アニメ業界に声優養成所出身者が増えはじめる。『こえたま(1)』(桜羽起成・著/アース・スター エンターテイメント・刊)は、現代の声優養成所で切磋琢磨する若き声優志望者たちの青春を描いたマンガだ。現役の人気アニメ声優たちが監修しており、マンガを楽しく読みながら、全3巻を通して声優養成所の実情を知ることができる。

知り合いのアニメ声優志望者の行く末

そういえば……わたしの学生時代の友人に、当時大人気だったエヴァンゲリオンにあこがれてアニメ業界を目指した者がいる。先ごろ、SNSを通じて近況を知った。いろいろあって夢破れたようだが、いまも正職のかたわら、アフター5や休日などに舞台役者として活動しているらしい。

アニメ声優にとっては「コンピュータゲーム」音声の提供も食いぶちになるらしく、わたしの友人も、あと10年ほど生まれてくるのが遅ければ、家庭用ゲーム機を上回る市場規模7000億円とも言われているソーシャルゲームブームに乗っかって、業界の片隅で生きていくことができたかもしれない。

最後に。アニメ以外における金田朋子の名演としては、映画『アイ・アム・サム』における「ダコタ・ファニング」役の日本語吹き替えを挙げたい。言わずと知れた名作だが、主役のショーン・ペンの娘(少女)はまさにハマり役で「あんな声だけど金朋はシリアスな演技もできる」ことがよくわかる逸品だ。ふだんは字幕派のわたしも、思わず観入ってしまうほど仕上がりだった。オススメしておく。

(文:忌川タツヤ)

こえたま(1)

著者:桜羽起成(著)
出版社:アース・スター エンターテイメント
高校二年生の咲本若葉は、どこにでもいる普通の女の子。周りが進路について考え始める中、若葉は『自分のやりたいこと』を見つけられずにいた。そんなある日、偶然出会った天才声優・穂坂透子の存在が、若葉の運命を大きく変えていく・・・。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事