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家電は進化する、それも、猛スピードで

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今は亡き母は掃除機をかけながら、ぶつぶつ文句ばかり言っていた。
「まったく人類が月にいくって時代に、なんで掃除機にはコードなんてもんがついてんのかしら。邪魔だったらありゃしない」
よほど腹がたっていたのだろう。
母は掃除機を使わないと宣言するや、箒とちりとりで掃除を始めた。コードがないだけ、まだましというのがその理由だった。

掃除機に言いたい、自分で動け!と。

私は心の中で、「電気で動いている以上、コードがあるのは仕方がないでしょう、お母さん」と、思っていた。
しかし、自分が主婦になり、毎日、掃除機をかけるようになると、確かにコードが邪魔で邪魔でどうしようもないと憤慨した。
とくに、息子が幼い頃は、コードをひっぱって抜いてしまうので困り果てた。うなっていた掃除機が急に静かになるのが楽しいらしい。息子は毎日、本当に楽しそうにコードを引き抜いてしまうのだ。
やがて私は息子をおぶって、掃除をするようになった。中断が続くため、いつまでたっても掃除が終わらないからだ。
コードと赤ん坊は家事の天敵、それが私の実感だった。
家電はどんどん進化を遂げるが、充電の技術はなかなか進歩しないものらしい。
もっとも、コードを引き抜いてばかりいた息子はあっという間に大きくなり、独立して家を出て行った。
もうコードを抜く邪魔者はいない。
それなのに、私は掃除機をかける気力を失い、「なんであんた自分で動かないのさ」と、掃除機に憎まれ口をきいていた。孤独だったのだ。

ペットみたいな可愛い掃除機

そんなある日、どかんとでかい箱が届いた。
息子から私への誕生日のプレゼントだった。
いったい何だろうとあけてみると、それはなんと自動掃除機ルンバだった。
夢にまで見たコードのない掃除機。
自分で勝手に動いて掃除してくれるすぐれもの。
なおかつ、掃除の邪魔ばかりしていた息子からの贈り物。感無量である。
翌日から、我が家は劇的に変化した。
家族が一人増えたかのような幸福がもたらされたのだ。
私の言うがままに、動き回る可愛い掃除機。
思わず話しかけてしまうほどで、それは家電と言うより、愛玩動物のような存在となった。

失敗したくない家電選びと配偶者選び

自動掃除機に限らず、家電製品は毎日を変えてくれる力を持っている。
人類が月に行っても、私自身の生活はたいして変わりがない。しかし、家電製品を新しくすると、毎日が変わる。劇的に変わる。
それだけに、選び損なうのはどうしても避けたい。
身近にあるものだけに、「失敗したかな」と思いながら、使い続けるのはつらい。
ほとんどの人が、家電製品はこわれるまで使う。取り替える勇気がない限り、こわれるまで使うしかない。だからこそ、選びそこなうと、取り返しのつかないミスを犯したような気持ちになる。
結婚式で行う「誓いの言葉」のように、「死が二人をわかつまで」、人は家電と毎日を共にする。

家電の発展するスピードに果たして私は追いつけるのか

『いま手に入れたい傑作家電』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)を見ると、家電製品が私が知らないうちに、美しく、華麗に変化していたことに気づき、心から驚く。
私など、コードがなくなった自動掃除機を手にいれただけで、月面着陸を決行したように興奮しているが、家電はあり得ない早さで進化している。
LED電球とスピーカーが合体した製品もある。ソニーの製品だが、「何でもよいから新しいものを作ってくれ」と言われたのが、開発のきっかけだそうだ。
何でもいいからってところがすごい。
さらにはスターウォーズの人気キャラクター「R2−D2」の形をした冷蔵庫もあれば、どうしようもなく美味しいパンが焼けるトースターもあるという。
私がぼーーっとしているうちに、家電はどんどん進化を遂げ、美しく、ワクワクしたものに生まれ変わっていたのだ。
月には行くことはできないが、家電が新しくなると、新世界が広がる。まるで、若返るためのエネルギーを得たかのようだ。
家電、それはあなどれない、大切な家族なのかもしれない。

(文:三浦暁子)

いま手に入れたい傑作家電

著者:学研パブリッシング(編)
出版社:学研プラス
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